年金の給付水準に関して8月27日、重要な見通しが発表されました。それが財政検証です。将来どれくらい年金がもらえるのか、その見通しを5年に1度公表しています。

前回は6月に公表されましたが今年は7月に参議院選挙があったことが影響したのか8月になっての公表でした。少子高齢化が進む中、年金は経済が成長しても目減りが避けられないという厳しい見通しとなりました。

年金
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80代の女性、
年々年金が下がる。不思議なことに。

商品は高くなる。

働いてきたからなんとかやっているけれど、ちょっと大変。

40代女性、
全然もらえないとは思っていないけれど、ちょっとしかもらえないんだろうな。

働けるうちに働いて、ためられるだけためようという感じ。

財政検証
厚生労働省が発表した財政検証。

5年に1度、公的年金の給付水準の見通しを示しています。

経済成長が続く標準的なケースでは夫婦2人のモデル世帯はおよそ30年にわたり給付水準は抑制され、年金額は実質的に2割近く目減りします。

ただ現役世代の収入に対する年金額の割合を示した所得代替率は50%は維持できるともあります。

根本厚労大臣、
経済成長と労働参加が進めば引き続き所得代替率50%以上を確保できることを確認。

おおむね100年間の給付と負担が均衡し持続可能なものとなる。

100年安心と呼ばれた年金。
老後はどこまで安心できるのでしょうか?

財政検証の結果、将来年金が一体いくらもらえるかということをまとめました。

ここで紹介するのは夫が会社員、そして妻が専業主婦で2040年代以降に夫婦で年金がいくらもらえるかというものです。

厚労省では6パターン出していましたが、WBSではそのうち3つに絞ってお伝えしていきます。
ちなみに現在の支給水準は22万円です。夫婦の基礎年金と夫の厚生年金を合わせた金額です。

注目したいのは金額ではなく所得代替率。この数字です。

所得代替率は現役世代の収入との対比ですが、これはその時の男性の平均の手取り額に対して年金でもらえる額が何%にあたるかということで、現在は61.7%になっています。

では、厚労省がベースとする標準的な成長の場合、2040年代には所得代替率が50.8%となります。これは現在よりも10ポイント以上下がります。ただ支給額を見てみると現在の22万円から24万円に増えています。

金額は増えていますが、物価上昇率1.2%が前提となっています。物価のことを考えると現在に引き直するとおよそ18万円になります。約2割、実際よりも目減りしていることになります。


高成長、マイナス成長はどなるかというと…

最も高成長を遂げた場合でも所得代替率は51.9%と標準とそれほど変わりません。

経済成長率は0.9%ですので、それほど現在と変わりません。ただし、物価上昇率が2.0%というのは黒田日銀総裁がずっと目標に掲げて達成できない数字です。ですのでかなり実現性は難しいということです。

マイナス成長のシミュレーションでは所得代替率が36~38%、マイナス成長ですので年金の積立が160兆円ありますが、これが2052年には運用が難しくなり枯渇するという前提となっています。

いまの年金制度は所得代替率が5割を下回るということが明確になった場合は年金制度そのものを抜本的に見直すことになっています。
こういった見通しについて街の人はどう見ているのでしょうか?
そして専門家の意見も聞きました。
街の声
年金受給者は、
ありえないよ。もらう額が減っちゃうって何それ。

仕事辞めてからではためられない。

30代の男性、
高成長はないと思う。

高成長するわけない。

「どれくらいの予想?」

標準でもだいぶ楽観視しているのではないか。

株式会社日本総合研究所
[blogcard url="https://www.jri.co.jp/"]
一方、税制に詳しい専門家は経済成長が見込めない予測を中心に考えるべきだといいます。

日本総研の西沢和彦主席研究員、
一見マイナス成長はドキッとするが、実は人口減少していくわが国において、それほど悪い数字ではない。

成長しなかったとしても財政が持続可能であるような政策を早め早めに打っていく必要がある。

給付水準を下げていかないといけないことは間違いない。

年金不安に備える!ハンドメイド&プログラミング!
新たな政策が必要ということですが、一方で目減りが続く年金だけでは将来に不安を感じる人達が新たな動きを始めています。
年金だけに頼らない人生100年時代の老後のためには何が必要なのでしょうか?

GMOペパボ株式会社
[blogcard url="https://minne.com/"]
2人の子どもを持つ本田夕子さん(42歳)。

派遣社員として働いていますが、もうひとつの顔が…
ハーバリウムといって2年前からはやっているフラワーインテリア。

自らデザインして制作したハーバリウム。3,000円で販売しています。

本田さんは将来のことを考え、ハンドメイド専門EC「minne」にフラワーデザイナーとして登録。多いときで月40万円を売り上げました。

年金生活だけでというのは現実的には難しいなと。

すべを見つけて行動しないと。

本田さんのようにminneに登録する人のおよそ50%が副業という形をとっています。

その背景には…
minne事業部の和田真歩さん、
年金を受給するようになって、いつまでもらえるか保障がない中で少しでも自分で収入を得られればと考える人が多い。

株式会社div
[blogcard url="https://tech-camp.in/"]
一方、老後の不安に備えて新たにスキルを身に着けようとする人々も。

こちらは東京・渋谷で開かれているプログラミングの短期集中講座。

受講料は1週間でおよそ18万円。ウェブサイトを作るための基礎知識を学ぶことができます。

集まった受講生は29人とほぼ満員。今年の夏の講座の参加者は去年の夏と比べて3.2倍も増えました。

老後の不安について受講者に聞くと、
年金がもらえなくなるかなぐらいは考える。

これからプログラミングやテクノロジーがいろいろなところで使われていくので何かしら将来の武器になる。

すぐに仕事に結びつくとは限りませんが、将来を見据えてこのプログラミング講座を選ぶ人が増えたといいます。
TECH::CAMPの渋谷拠点責任者、中島悠希さん、
これからの時代、「何か×IT」というのがはやってくる中でプログラミングはこれから絶対になくならないと言われている中の1つなので、プログラミングをピックアップする人が多い。

小泉進次郎議員
今回の検証について自民党厚生労働部会長の小泉進次郎議員がインタビューに応じました。
将来の給付水準は減るけれど、増やせる改革の余地は大いにある。

厚生年金の適用拡大、年金の受給開始年齢を拡大する。

将来の年金の給付水準を自分たちで上げていく。

それが可能となるような制度改革に汗をかいていく。
