シリーズ「コロナクライシス トップの決断」。
今年9月、本社機能を東京から兵庫県の淡路島に移転すると発表した人材派遣大手パソナグループ。
オフィスの東京一極集中に一石を投じた決断の裏にはある壮大な計画がありました。
株式会社パソナグループ
[blogcard url="https://www.pasonagroup.co.jp/"]
兵庫県の淡路島。
大阪市内から車で1時間あまりの場所にある東京23区とほぼ同じ広さです。
その北部、淡路市にあるこちらの建物。学校のようですが…
その2階に上がってみると、集まっていたのは生徒ではなく取締役副社長や常務執行役員など企業の役員です。
もちろんトップの姿も。
パソナグループの南部靖之代表、
パソナグループ全体の経営会議。常務以上のメンバーが集っている。
実はここ、パソナグループが所有して運営する施設で定期的に経営会議を行っています。。
今まで東京で経営会議をやっていたのがうそみたい。
東京一極集中に一石を投じたトップの決断に迫ります。
東京駅前のビルに本社を構えるパソナグループ。
従業員およそ2万人を抱える人材派遣大手です。
新型コロナの影響で採用を控える企業から請け負うアウトソーシング事業が伸び、6月から8月は営業利益が前の年の5.8倍に。
業績が好調の中、なぜ東京の本社機能を淡路島へ移すのでしょうか?
コロナ禍が東京に一極集中で集まって、ここで仕事することに関して不安な気持ちにさせた。
地方に行こうと決断させてくれた。
「迷いはなかったか?」
迷いましたよ。すごく迷った。
でも、それ以上に企業の継続性、ビジネスを続けていく不安の方が大きかった。
「なぜ淡路島?」
空港が1時間圏内に4つもある。
関西国際空港、伊丹空港、神戸空港、そして徳島空港。
その淡路島には新たなオフィスを開設。
すでに東京から人事や経理などの社員が引っ越してきて仕事を始めています。
その一人が渡邊直登さん(33歳)。入社以来ずっと東京での勤務でしたが淡路島で働く道を選びました。
30歳を超えたところで新しいことに取り組みたい。
もう1つは子育て面で淡路島の豊かな環境がいい。
妻と1歳の息子と淡路島に引っ越してきて暮らしています。
人事部の仕事を担当し、畑などで新入社員研修を行う渡邉さん。自然に囲まれた仕事にやりがいを感じているといいます。
ただ大きな課題も…
パソナは2008年から淡路島で地方創生事業を展開。ハローキティやナルトなど人気アニメとコラボした観光施設も相次いで開業。
この秋にはゴジラのアトラクションも誕生しました。
しかし…
「淡路島を含む地方創生ソリューションは18億円の赤字。地方創生事業の黒字化は可能か?」
頑張らないと。
こういう数字を見るとやったるぞ、頑張るぞ。
今は弓を構えて引っ張っている。
引っ張るほど遠くへ飛ぶ。
そんな中で南部代表が下した決断とは。
淡路島で雇用の場を造る。
10年前にアウトソーシング事業を作り、企業から請け負う仕組みを作った。
これをもっと拡大する。
一企業が全部社員に社内業務をやってもらう時代は終わった。
健康管理から経理事務、新規ビジネスを作るセクションでもいい。
そういう専門家を教育して企業に送り込んでいく。
ここ淡路島を全国の企業の事務作業を請け負う拠点にする壮大な計画です。
すでに淡路島の住民を新たに雇い、企業の経理作業をサポートする業務が始まっています。
採用された地元住民は、
スーパーのレジなどの仕事しかない。
大きい会社が来てくれたら可能性も広がる。
「日本経済の行方は?」
3年ぐらい下がったきり。
日本経済は今後3年間は下がったまま戻らない。その中で企業が生き残るためには、
新しい産業を作っていかないと。
汗水流して社員が努力して新産業を作っておけば必ず5年後、10年後には花咲く。だから投資は続ける。