東京都は9月9日に新築住宅などに太陽光パネルの設置を義務付ける新たな制度について2025年4月の施行を目指すと発表しました。資源高の影響で住宅価格が高騰する中、住宅への太陽光パネルの導入は進むのでしょうか。
東京都 太陽光"義務化"へ
全国初の取り組みのワケ
東京・杉並区にある戸建住宅。屋根には2キロワットの太陽光パネルが設置されています。
山本裕司さん
きょうは曇っているので残念ながら発電量は少ない。
1年前、住宅メーカーのウェルネストホームでこの家を建てた山本裕司さん。太陽光パネルを付けるための初期費用はおよそ70万円でした。
山本裕司さん
建築費の中で設置費が突出することはなく、十分支払うことが可能な額だった。
メリットは電気代が安くなる。
2人ぐらしの山本さん、先月の電気代を見せてもらうと…
山本裕司さん
4,188円が先月の電気代。
一般家庭の電気代に比べ、山本さんの家の電気代はどの月も半分以下になっています。
山本裕司さん
初期費用は必ずペイできると思う。
電気を自活できるにもかかわらず、しないのはもったいない。
決して趣味で終わるのでなくてメリットがある。家計的にも。
こうした住宅を増やそうと東京都は9月9日に新築住宅などに太陽光パネルの設置を義務付ける制度の創設を目指すと発表しました。
東京都
小池知事
住宅に屋根が付くのが当たり前のように、その屋根が発電するのも当たり前。
そういう機運をムーブメントを醸成していく。
2025年4月の施行を目指すという今回の制度。対象となるのは都内にある延べ床面積が2,000平方メートル未満の一戸建てを含む新築住宅やビル。屋根の面積が20平方メートル未満は対象外となる予定です。実現すれば一戸建てへの義務化は全国初です。
ただ、設置の義務を負うのは家の購入者ではなく、住宅を供給するメーカーやデベロッパー。大手のおよそ50社が対象となる見通しです。
東京都
小池知事
今、新しい建物が40年、50年使えるとなったら、40年、50年先のCO2排出を決定付けていく。
新制度で目指すのは二酸化炭素の排出削減。
東京都のエネルギー消費量を部門別で見ると業務部門や運輸部門は減少しているのに対し、家庭部門は増えています。この改善を図りたい考えです。
住宅価格高騰の追い打ちに?
ただ設置が義務化された場合、住宅価格への影響が懸念されます。
こちらは都内のモデルハウス。
パナソニックホームズ
小金井営業所
平山高彬主任
このモデルハウスは二世帯住宅になっていて、後からリフォームして用途転換できるような将来を見据えた提案も良くしている。
番組スタッフ
このモデルルームでいくら?
パナソニックホームズ
小金井営業所
平山高彬主任
1億5,000万円ぐらい。
都内の場合、立地が良いと家賃収入が期待できるため将来、賃貸物件として貸し出しやすい間取りが人気だといいます。
こうした住宅に標準的な家庭で使われる5キロワットの太陽光パネルを導入した場合、一般的な設置費用はおよそ150万円。これが住宅価格に上乗せされることになります。
さらに…
パナソニックホームズ
営業戦略課
西崎恒河さん
資材はかなり高騰している。
そこに太陽光パネルを搭載していなかった人にも義務化となると初期費用も上がる。
東京都の戸建ての住宅価格は木材を始めとする資材の高騰などで1年前に比べておよそ1,000万円、18%ほど値上がりしています。
設置が義務化されれば購入者の負担がさらに増えることになるといいます。
パナソニックホームズ
営業戦略課
西崎恒河さん
太陽光や環境商材は国も含め、都からも現状、補助金が出ている。
購入される人の資金計画をサポートできる支援策があれば勧めやすいので支援策に期待したい。
こうした要望について東京都は…
東京都
小池知事
この制度が円滑にスタートするために都民、事業者の理解協力が不可欠。
そのために新しい制度に対応した住宅の普及に向けた後押し、補助制度の充実に取り組む。