ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS]パナソニックHD トップに聞く!CO2排出 3億トン削減…狙いは!?[パナソニック ホールディングス株式会社]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

年間3億トン。これは現在世界で排出されるCO2の1%にあたる量です。この膨大な量を2050年までに1社で減らそうとしているのがパナソニックです。一体なぜ、どうやって削減をするのか、経営トップがWBSの単独インタビューに応じました。

猛暑でも電気代実質ゼロ!?エネルギー"地産地消"の街

異例の猛暑となった今年。家庭を悩ませているのが電気代です。その電気代をある方法で抑えている家があります。4人で暮らす福井宏樹さんです。

関係ない時は使わないようにしている。

たまに電気を消している。

子どもたちも節電に協力的ですが、さらに…

福井宏樹さん

発電しながら電気を使っているので電気代も抑えられている。

実はこの家、屋根の上に太陽光パネルを設置。燃料電池でガスから電気も作っています。その結果…

福井宏樹さん

5,000円くらいの電気代と1万円以上の売電収入がある。収入の方が多い。

発電ができない夜に電気代がかかりますが、昼間に作った電気を売ることでむしろ収支はプラスだといいます。

実は福さんが住んでいるのはパナソニックが街づくりを主導するFujisawaサスティナブル・スマートタウン。エネルギーの地産地消を目指し600近くある世帯全てに太陽光パネルや燃料電池などが設置されています。その結果、この街のCO2排出量は1990年と比べ平均70%以上の削減ができているといいます。

CO2削減 2050年に3億トン!パナソニック 新CEOの野望

そのパナソニックが7月13日に改めて打ち出した戦略が。

パナソニックHD
楠見雄規グループCEO

パナソニック グリーンインパクト
2050年に現在の世界のCO2総排出量の1%にあたる3億トン以上の削減貢献インパクトを目指す。

3億トン以上のCO2削減。そんな大胆な目標を掲げたのはパナソニックホールディングス、楠見雄規グループCEOです。

実は楠見さん、テレビと関係の深いあるものを開発した人物。それはデータ放送を意味するdボタン。楠見さんはそのデータ放送とテレビ番組を連動させる仕組みを作ったのです。

パナソニックHD
楠見雄規グループCEO

店員がお客様に説明しているのを見て今でも思い出すが涙が出た。

去年6月にグループCEOに就任した楠見さん。今年4月には創業以来の体制改革を行い、会社をホールディングス化。各事業会社に自主責任で経営をさせることで競争力を高める狙いです。

大江麻理子キャスター

ホールディングスの社長はどういう役割なのか?

パナソニックHD
楠見雄規グループCEO

グループ全体として30年間成長していない。
30年前から進化していないことがあるから成長していない。
車載事業で関わったトヨタは現場が日々進化していた。トヨタの言葉でいえば「改善魂」。
それをもう一度勉強しなければならない。こういうことについて音頭をとっていく。

大江麻理子キャスター

「競争力の低い事業は冷徹かつ迅速な判断でポートフォリオから外すことも考える」と?

パナソニックHD
楠見雄規グループCEO

競争力を高めるスピードが大事。そのスピードを高めていけるかを見極める。
高めていけないのであれば他者の力を借りる必要があるケースもあるだろう。

さらにグループ全体の競争力を高めるためにも必要不可欠なのが今回のグリーンインパクトだといいます。

パナソニックHD
楠見雄規グループCEO

地球環境問題は喫緊の問題。CO2削減は社会の要請になるだろう。若い、意識の高いお客様からしたらそういう会社の商品しか選ばなくなる。

楠見さんが考えるグリーンインパクトには3つの段階があります。

製品の省エネ化を進めたり、自社工場の電力を再生可能エネルギーに転換することで1.1億トンを削減するほか、既存事業や新たな技術による削減貢献で合わせて2億トンを減らせるとしています。

パナソニック グリーンインパクト
自社バリューチェーンでの削減
(製品の省エネ化・工場の再エネ化など)
1.1億トン
既存事業による「削減貢献」1億トン
新技術などによる「削減貢献」1億トン

エアコン1台で冷やす住宅!省エネの秘密は"熱交換"

パナソニックが力を入れる削減貢献とは一体どんなものなのでしょうか。大阪のモデルルームを訪ねると、一見普通のリビングですがエアコンらしきものが見当たりません。代わりに天井にあったのは小さな引き出し口です。寝室にも。

ファミティホーム
上嶋雅也さん

こちらの吹き出し口から冷たい空気が出ている。

どの穴からも冷たい空気が出ていました。その空気を送り出しているのが2階に埋め込まれたたった1台のエアコンです。

ファミティホーム
上嶋雅也さん

全館空調といって天井裏のダクトを通じて各部屋に空気を送っている。

家全体の温度を一定に保てるため空調が安定し、省エネにつながるといいます。

ファミティホーム
上嶋雅也さん

普通のエアコンだと暑い時だと「強」運転とかして冷房回すが全館空調は電気代は抑えられる。

さらに省エネを促す秘策が…

ファミティホーム
上嶋雅也さん

こちらが熱交換気。外からの暖かい空気が室内の冷たい空気と熱交換することで冷やされて冷たい空気が循環していく。

換気部分に設置されていたのは熱交換気と呼ばれる機器。例えば外の気温が33度、室内が26度の場合、換気で外に出る冷たい空気が入ってくる暖かい空気を冷やすことで27度程度まで下げることができるのです。

エアコンが冷ます空気をあらかじめ冷やしておくことで消費電力を減らしCO2の削減に貢献できるといいます。

こうした技術のほか、電気自動車のバッテリーや水素を使った発電システムなど削減貢献を目標とすることが新たなビジネスにつながると考えています。

パナソニックHD
楠見雄規グループCEO

少なくともエネルギーを使う商品を提供しているわれわれとしては地球温暖化を少しでも早く食い止めないと私たちの事業もなくなる。
それをやるということは世界中で必要なこと。
デマンド(需要)になっている。
削減貢献をするということは事業機会にもなる。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-,