おおしま眼科クリニック
大阪にある眼科クリニック「おおしま眼科クリニック」。
45歳の女性は2016年1月から目に異常を感じ、通院を続けています。
この日、詳しい検査を受けました。
血がたまっている。
ある病が見つかりました。
網膜の検査画像を見ると出血を起こしています。
病名は「糖尿病網膜症」です。
痛みはない。
糖尿病網膜症
この病の原因は糖尿病です。
糖尿病になると網膜の血管がボロボロになり、すると網膜に血液が流れにくくなり、酸素や栄養不足を補おうと細い血管が無数に作られます。
この血管は非常に脆いため、すぐに出血してしまう。
出血した血液は薄い膜のようなかさぶたになり、網膜の上で徐々に収縮しながら固まっていきます。
すると膜が固まっていく際に網膜も一緒に引っ張り、網膜剥離を起こして失明してしまいます。
糖尿病網膜症が進行すると白く霧がかかったように見えたり、小さなゴミが飛ぶように見えたりします。
糖尿病網膜症の患者数は現在、約300万人。
10年ほどかけてジワジワと進行し年間、約3,000人が失明しています。
東京慈恵医科大学附属病院の眼科、渡邉郎准教授によると
初期の糖尿病網膜症は自覚症状がほとんどない。
気付かない内に失明に至る恐ろしい糖尿病網膜症。
治療と検査の最前線を追いました。
治療
負担が少ない糖尿病網膜症の治療が登場しています。
60代の小林光子さん(仮名)は20年以上前から糖尿病の治療を続けてきましたが去年、糖尿病網膜症と診断されました。
治療が始まりました。
医師が手にしたのは硝子体カッターと呼ばれる最新の治療器。
直径わすが0.4ミリの細い針のような器具。先端には小さな穴が空いています。
硝子体カッターを目に挿入する。
細い針のような部分は管のようになっていて、先端の小さな穴から網膜から出血した血液を吸い取ることができます。
治療はまず出血して目に広がった血液を吸い取ります。
そして網膜に広がったかさぶたのような膜を取り除きます。
最後に出血していた細い血管の周りにレーザーを照射し、再発しないようにします。
レーザーの照射が始まりました。
レーザーを約400発、出血を起こした網膜全体に照射していきます。
手術時間は30分ほどです。
傷口が小さいため、日帰りで治療ができます。
治療費は保険が適応され約15~120万円です(3割負担)。
経過
翌日、小林光子さんが再び診察にやってきました。
果たして経過は?
経過はよさそう。
小林光子さんは失明を免れました。
明るく見えるようになってうれしい。
おおしま眼科クリニックの大島佑介院長は、
患者さんの負担やストレスが少ない、クオリティーの高い手術ができるようになった。
東京慈恵医科大学附属病院
糖尿病網膜症を早期に発見できる新しい検査も登場しています。
57歳の佐藤文子さん(仮名)は、20年ほど前から糖尿病の治療を行っています。
最近、視界に白い霧がかかったように見え始めたため検査を受けに来ました。
検査に使うのは広角眼底撮影装置という最新の機械。
まず血液に集まる性質がある薬を腕から注射します。
そして検査装置で佐藤文子さんの網膜を撮影していきます。
すると網膜の一部が白く光って映し出されました。
これは細い血管が新しいできた部分。血液が多いため薬がたくさん集まっています。
この検査によって、病気の早期発見が可能になりました。
検査の結果が伝えられた。
放置すると悪くなるので、すぐに治療を始めた方がよい。
幸い進行していなかったため、手術をせずに治療できることになりました。
佐藤文子さんは、
痛みがないと病院に行こうと思わない。
治療開始
佐藤文子さんの治療が始まりました。
治療に使うのはマルチカラーレーザーという最新の装置。
今回、行うのはレーザー光凝固治療です。
目の外から網膜にレーザーを照射し、出血を止めるとともに新しい血管ができないようにします。
レーザーを網膜全体に照射します。
1回の治療は約10分間。4回ほどに分けて約2,000発のレーザーで焼いていきます。
治療費は保険が適応され約5万円(3割負担・片目)です。
東京慈恵医科大学附属病院の眼科、渡邉郎准教授は、
早期の段階で糖尿病網膜症を見つけ、しっかり管理することが大事。
失明を引き起こす恐ろしい糖尿病網膜症。
糖尿病と診断されたら必ず眼科を受診することが必要だといいます。
コメント