東京都では12月15日から全国で初めて新築の戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務化する条例が成立しました。
今後、太陽光パネルのさらなる需要拡大が見込まれる中、いま中古のパネルに注目が集まっています。
東京都 太陽光パネルを義務化
課題は"発電量"と"価格"
東京都は12月15日に全国で初めて新築の戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務化することを決めました。
2025年4月から住宅メーカーは2,000平方メートル未満の住宅を建てる際に太陽光パネルを設置しなければいけません。
小池知事
2030年のカーボンハーフにむけての1つの歩み。
今回事業者への義務化をすすめさせていただく。
設置が義務化された大手住宅メーカーの一つ「オープンハウス」。
オープンハウスグループ
矢頭肇執行役員
17畳程度のLDK。
土地面積としては15坪から20坪。なるべく居住空間を広く設計。
オープンハウスが手掛けるのは都心部の狭い土地を活用した注文住宅が中心です。2025年度からはその屋根に…
オープンハウスグループ
矢頭肇執行役員
太陽光パネル。モデルルームなら7~8枚載るかたちになる。
この太陽光パネル8枚でおよそ3kWh。家庭用エアコンなら3時間以上使えますが、課題もあるといいます。
オープンハウスグループ
矢頭肇執行役員
角度のついた屋根など、どうしても発電効率がわるくなる。
さらに太陽光パネルは設置費用などを含めると120万円以上かかることも住宅を販売する上で課題になるとみています。
オープンハウスグループ
矢頭肇執行役員
土地価格も建設費も上がっているので物件価格自体が上がっている。
太陽光パネルを載せることで、どのような影響になるか、よく注視して決めないといけない。
中古品に脚光 新サービスも
こうした中、注目を集めているのが中古の太陽光パネルです。
都内にある廃棄物の処理業者「浜田 京浜島エコロジセンター」を訪ねると、そこには使用済みの太陽光パネルが大量に積まれていました。
浜田
山本祐輔さん
こちらが今後リユースできるパネルになっている。
表面裏面をきれいに水洗い洗浄。その後発電の簡易検査を行い、合格であれば梱包。それでリユースされる。
太陽光パネルの寿命は通常20~30年といわれていますが、こちらのパネルは使用期間が10年ほど。事業所の閉店などで破棄されましたが、発電効率はほとんど落ちていないといいます。
この企業では洗浄や検査を行った上でリユース品として出荷。新品の太陽光パネル価格の5割ほどで販売しています。
浜田
山本祐輔さん
東京都が住宅向けに設置義務化を発表してからすごく問い合わせの案件というのは増えている。
5割ぐらいは相談件数が増えている。
一方で寿命を迎えたパネルのリサイクルも行っています。
浜田
山本祐輔さん
シートとガラス部分を切断している。大体1枚の処理に1分半。
ガラス部品は住宅用の断熱材に、発電シートは細かく粉砕して銀などを抽出し、資源として再利用できるのです。
浜田
山本祐輔さん
新しい工場の設置、人員の確保をして、今以上の処理力を高める取り組みをしたい。
リユース市場の拡大を見込み、新たに動き出した企業も。
丸紅 電力アセットマネジメント部
渡辺剛史副部長
使用済み太陽光パネルの売り買いと処分ができるサービスになる。
丸紅が開発したのは中古の太陽光パネルを売買するための新たなサービス。
使用済みの太陽光パネルを売りたい人がパネルのメーカー名や型番、使用開始時期などを入力。すると中古品として売買できるかどうかが自動的に判断されます。
販売が可能となると専門業者による検査などを受けて見積もりが行われます。
丸紅 電力アセットマネジメント部
渡辺剛史副部長
見積り依頼が来た場合、仕入れ価格をベースに輸送費・検査費用などを加えて売却価格を算定してお客様に伝える。
パネルごとの情報を公開し、売買を仲介するのです。
さらにこのサービスのカギとなるのが…中古パネルに損保ジャパンが保証をつけることで購入者に安心感を与え、購入を促す仕組みです。
損保ジャパン
井口洋輔さん
中古品なので保証のありなしというのは一つのポイントになってくると認識している。
丸紅は損保ジャパンをタッグを組み、来年度からサービスを開始する予定です。
丸紅 電力アセットマネジメント部
渡辺剛史副部長
リユースパネルは使えるという習慣を日本国内に根付かせ、新たな流れを作っていきたい。