新型コロナの影響で減った客足を取り戻しつつあるのが東京ディズニーリゾートです。入園者数は着実に回復しつつありますが、コロナの収束が見込まれる2年後の目標として打ち出したのはピーク時よりも2割ほど少ない2,600万人程度にすることです。入園者数を増やすのではなく、あえて絞り込むという大きな方針変更の狙いはどこにあるのか、経営トップに聞きました。
東京ディズニーポストコロナ戦略!「大きな方針転換」のワケ
田中瞳キャスター

東京ディズニーランドに来ています。平日ということもあり園内は落ち着いた様子です。
まず訪れたのが…
田中瞳キャスター

ミッキーが早速出迎えてくれました!
キャラクターと距離を取りながら交流するなど現在もコロナ対策は継続している東京ディズニーリゾート。
園内を歩くとある変化に気付きます。
田中瞳キャスター

こちらはバズ・ライトイヤーの人気アトラクションですが待ち時間は5分です。
スペースマウンテンは10分待ちなどどれも以前の平日より短い待ち時間です。
オリエンタルランド
吉田謙次社長

ゲストが快適に満足感を十分にもって楽しんでもらえる環境を作り直している。
田中瞳キャスター
あえて人数を抑えている?

オリエンタルランド
吉田謙次社長

抑えている。
以前は需要に対してキャパシティー(入園者数)を拡大するという形だったが、コロナを経て入園者数をある程度抑えて満足度を高める施策に変えている。
開業以来、右肩上がりだった入園者数、コロナ禍前の2018年度には過去最多の3,200万人。しかし…
オリエンタルランド
吉田謙次社長

混雑感は今後課題を増していく。対策を考えていたところコロナに入った。
コロナというピンチをチャンスに変えることができたとはまだ言えないが、そういったトライ、チャレンジを始めたところ。
そこでチケットの販売数に上限を設定。さらに2年後の入園者数の目標についてはコロナ前より2割も少ない2,600万人としました。
田中瞳キャスター
"詰め込む"楽しみ方から変わった?

オリエンタルランド
吉田謙次社長

変わってきた。
ゲストの満足度を高めることが今回の中期経営計画の柱だ。
客数をコロナ前よりあえて絞り込む一方で客単価の目標をこれまでより2割高い1万4,500円に引き上げました。
客単価1万4,500円目指す新戦略!アトラクション&レストランも変化
それを実現する一手として今年5月にある仕組みを導入しました。
田中瞳キャスター

美女と野獣のエリアに来ていますが、こちらのアトラクションは並ぶと30分待ちという行列ができていますが、2,000円のプレミアアクセスというチケットを購入すると早く乗れるそうです。
乗りたい時間を指定し、スマホで購入。
田中瞳キャスター

通常の列と隣合わせのこちらを進んでいきます。
行列を飛ばし、あっという間に建物の中に。乗り場に着くことができました。
田中瞳キャスター
2,000円という価格について?

オリエンタルランド
吉田謙次社長

初動の反応は非常に好調だ。想定していたよりも販売枚数は多い。
一方、ディズニーシーでは…
田中瞳キャスター

この辺りは音楽も雰囲気全体的にゆったりと落ち着いています。
川沿いには優雅な雰囲気のレストランも。混雑を緩和したことでこんな効果も。
オリエンタルランド
吉田謙次社長

アトラクションに短い時間で乗れるので空いた時間に買い物をしたり、ゆっくり食事をするお客様が増えている。
窯焼きで本格的なピザなどを提供するこちらのレストラン。コースは1人5,000円ほど。アルコールを頼む人も多く、客単価の上昇にもつながっています。
また土産店でも新たなジャンルの商品を導入しました。今年発売したディズニーリゾートで初めてとなる冷凍食品。購入すると後日、自宅に配送される仕組みです。
販売員がダンスを披露?従業員の働き方でも新施策
一方、お客さんの満足度を上げる取り組みも。取材中、突然…
田中瞳キャスター

従業員の皆さんが急に拍手をし始めました。そして向こう側を見てみるとカートを押しながら何人かこちらに向かっています。
あっという間にこの人だかり。大人も皆踊っています。中心には人気キャラクターがいるかと思いきや、居たのは店舗の販売員です。プロのダンサーではない従業員が踊ることでお客さんも参加しやすい雰囲気を演出。これも人気となっています。
実はこれまで従業員は大きく4つの部署に分かれ、それぞれが自分の仕事に徹していました。それをお客さんの満足度向上のため部署を超えてアイデアを出し、実践するように変えようとしているのです。このダンスも従業員のアイデアから誕生しました。
こちらの店ではレストランスタッフに加わり、ショーなどの誘導係も接客に加わります。こうした取り組みは運営コストのスリム化にもつながっています。
オリエンタルランド
吉田謙次社長

フード本部のシェフの知識と商品本部の商品開発の知識、こういったものを融合させることでより一段上違った形の商品を提供できる。
入園者数を絞り込み、満足度を高めるという大きな方針転換を進める東京ディズニー。
お客さん

ゆっくり前よりも過ごすことができた。
田中瞳キャスター
全体の満足度は?

お客さん

すごく高い。
お客さん

アトラクション中心に来たのでちゃんと回れてだいぶ楽しめた。
お客さん
グッズもいっぱい買えたし、アトラクションもいっぱい乗れたからすごく満喫できた。

お客さん

お値段以上みたいな。
今後のチケット価格は?新エリアで500億円増収う見込む
一方、お客さんが最も気になるのは今後のチケット価格です。現在は7,900円から9,400円の混雑予測に合わせた変動性を導入していますが…
田中瞳キャスター
この幅は今後変更していくのか?

オリエンタルランド
吉田謙次社長

幅を広げた方がいいのかどうかは今後もう少し検証してから対応すべきだ。
田中瞳キャスター
検証によっては上に幅を広げる?

オリエンタルランド
吉田謙次社長

上下含めて。
そして次に案内してもらったのが今後のディズニーリゾートで最重要と位置づける新たなアエリアです。
オリエンタルランド
吉田謙次社長

2023年度に開業予定の「ファンタジースプリングス」。
まさに建設中。
アフターコロナの希望の星なので大変期待している。
およそ14万平方メートルの新エリア「ファンタジースプリングス」。人気映画の「アナと雪の女王」や「ラプンツェル」など題材にしたアトラクションや高級路線のホテルなどが建設されます。
オリエンタルランド
吉田謙次社長

これによってディズニーランドとキャパシティーの面では同等になる。
新エリアで約500億円の増収効果を見込んでいる。
その一方で意外な事業にも乗り出していました。
東京ディズニーが"変化"!メタバースにも意欲!?
東京・日野市にある小中向けの学習塾「個別指導 コノ塾 日野校」。創業から2年のベンチャー企業「コノセル」が運営しています。
教室長を務める山手浩史さん。実は…
個別指導 コノ塾 日野校
山手浩史教室長

テーマパーク(東京ディズニーリゾート)で時間帯責任者として働いていた。
オリエンタルランドはグループ会社を通してこれまで8社のベンチャー企業に出資してきました。山手さんのように投資先に社員を出向させ、ベンチャー精神を学んでもらうことも目的にひとつです。
個別指導 コノ塾 日野校
山手浩史教室長

ベンチャー企業だとどこにも正解がなくて、自分たちが正解だと思うものをいったんやってみる。
デジタルとリアルを融合した事業をやっているのでオリエンタルランドの新規事業の創出に関わりたい。
新規事業への投資を加速させるオリエンタルランド。2026年度までに累計100億円を投じる計画です。
田中瞳キャスター
100億円投資の具体的な内容は?

オリエンタルランド
吉田謙次社長

細かいところは決まっていないが、まさに種まきを行っている時期。ベンチャー出向などで知見を獲得しながら人材面でも育てていく。
テーマパークセグメント、ホテルセグメント、その他セグメント。その次につながるひとつのセグメントに2030年度頃までの実現を目指す。
さらにエンタメ業界でいま各社が開発を競い合うメタバースについては…
オリエンタルランド
吉田謙次社長

メタバースのようなデジタル技術を使ってエンターテインメントを楽しんでもらう。
そういったことは非常に重要になってくると思う。
もちろんリアルも大事だが今のメタバースの技術でいくとまた違った楽しみができる可能性も十分にあると思うし、両方とも考えていく必要がある。
田中瞳キャスター
オリエンタルランドはメタバース事業に参入するか?

オリエンタルランド
吉田謙次社長

まだ決まっていることはないが当然興味を持っている。