
株式会社ステイト・オブ・マインド
[blogcard url="http://state-of-mind.co.jp/"]
東京・渋谷区。
マンションの一室に新しいアパレルのサービスを展開するベンチャー企業、株式会社ステイト・オブ・マインドがあります。
社長の伊藤悠平さん(38歳)。
2年前まで個人で仕事を請け負う縫製職人でした。
賃金の安い海外に仕事を奪われる日本の縫製職人。
一方で伊藤悠平社長が目を付けたのが個人で洋服をデザインして販売する人たちが国内で増えていることでした。
アパレルメーカーのサンプルや衣装を一点一点縫うことを生業にしている職人が世の中に結構いる。注文数が少ない商品を個人の職人が縫ってくれるなら、すごくニーズがあると思って始めた。
nutte(ヌッテ)
[blogcard url="https://nutte.jp/"]
伊藤悠平社長が作ったのは、服を縫って欲しい人と、それを請け負う縫製職人を直接つなげるサイトです。
その名もnutte(ヌッテ)です。
ヌッテの仕組みは依頼者が作って欲しい洋服のデザインをサイト上にアップします。注文は写真や簡単なスケッチでも構いません。
するとヌッテの登録している約1,000人の職人が仕事の内容を見て工賃や納期を提示します。
依頼者はその中から条件に合う職人に発注するのです。
ヌッテの取り分は工賃の20%です。
有限会社丸信縫製
秋田市。
ヌッテに登録して仕事を請けている職人がいます。
職人歴28年のベテラン、伊藤美智子さんです。
あるものを見せてくれました。
奥に眠っています、看板。
有限会社丸信縫製と書かれています。
伊藤美智子さんの父親がここで経営していた工場の看板です。
倒産です。
最盛期には10人以上の従業員がいましたが、海外との競争に敗れ20年前に倒産したのです。
伊藤美智子さん、仕事を探すのにも苦労をしていましたが、ヌッテと出会って状況が一変したそうです。
営業に行く交通費もかからないし、何もいらない。座って仕事が探せる。
この日もヌッテで見つけた仕事に取り掛かります。
東京のアパレルショップから注文を受けたブラウスです。
5着、手取りの工賃3万円で引き受けました。
胸元には複雑なデザインが施された、なかなか難しい仕事です。
助かります。地方の人間には。「ヌッテ最高!」って言うしかない。
株式会社はらっぱ
[blogcard url="http://www.harappaaizu.com/"]
8月上旬、福島県会津若松市。
ヌッテの伊藤悠平社長、今度は地場産業の職人を救うために動き出していました。
この地域の伝統産業会津木綿という生地の製造工場です。
伊藤悠平社長、高い技術がありながら不況に立たされている生地メーカーを発掘しに来たのです。
案内するのは株式会社はらっぱの営業担当、原山修一さん。
会津木綿は約400年の歴史があると言われています。
職人が糸を1本1本、手で並べて作る鮮やかな縦縞が特徴です。
職人が並べ終えた縦糸。
そこへ、別の横糸を打ち込むことで糸の色合いや並べ方が変わり、様々な柄の生地が出来上がります。
伊藤悠平社長、早速、生地のサンプルを見せてもらいました。
新しい柄でいうと、代表的なものはこういったもの。
幅が違うのがいいですね。
縞の太さを変えて模様を作った生地。伝統の柄なのに、なぜか新しい。
途中で糸の色を変えるデザインもありました。
伊藤悠平社長、こうした特別な生地を扱うことでヌッテのサイトをより魅力的なものにしようと考えていました。
まだアパレルメーカーでは扱われていない生地で独特の柄があったので、ぜひ一般の方にも販売していければ。
一方、工場にとっては受け継がれてきた職人技を守るチャンスです。
もともと30軒近くあった織元が今ではもう2軒しかないので、残していかないといけない。ヌッテの力を借りて生地を広めていければ。
会津木綿
数日後、ヌッテの本社では早速テスト販売の準備が進んでいました。
サイトに会津木綿の生地の写真を載せていきます。
色や柄の異なる29種類の会津木綿を用意。価格は1メートル、1,000円からです。
これを使って個人が服を作れるようにしました。
富山県・上市町。
この街に住む小見彩さん。
これまでにもヌッテで洋服を注文していました。
一人娘の詩ちゃんとヌッテのサイトを見ていた小見彩さん。
今日の注文は会津木綿を使った子供服のシャツとパンツに決めました。
イメージをノートに書きます。
かっちりした印象にも見えつつ、着やすさも取り入れて、オールマイティーに着られる服ができれば。
蛯名智子さん
8月下旬、宮城県石巻市。
小見彩さんからの仕事の依頼を請けたのは、この道20年以上の蛯名智子さん。
もともとは個人でアパレルメーカーと契約し、オーダーメイドの服などを縫っていましたが、取引先が倒産。
仕事を失っていた時期にヌッテに出会ったそうです。
お客様にいかに売り込むかという力は技術とは別のところにあるので、そういうところをサイトが代行してくれる。職人にとってはすごくありがたいシステム。
蛯名智子さんは小見彩さんの注文を工賃1万2,500円で請け負いました。
ダンボールに入って送られてきたのは小見彩さんが選んだ会津木綿です。
使う生地は合わせて6メートル。約7,000円。
生地代は注文した小見彩さんの費用です。
会津木綿を使うのは初めてだという蛯名智子さん。
まずは広げた生地の端を白い糸で縫います。
定規で測ること、丁度1メートル。ここにも白い糸を縫い付けていきます。
次にお湯を掛け、生地を洗い始めました。
木綿のような天然素材の生地は洗うことで大幅に縮みます。
仕上げの参考にするため、縮む割合を調べるのです。
乾燥するまで丸一日。
一度洗ってから計ってみると、なんと90cm。10cmも縮んでいました。
縦で1割縮んだ。
すると蛯名智子さん、今度はパソコンに向かいます。
型紙の修正です。
今後も洗濯で縮むことを計算して丈を長くしました。
ベテラン職人の経験がなせる緻密な技。
続いてはアイロン掛けです。
このアイロン掛けが一番時間がかかる工程。
アイロン台に生地を置くと縞模様が曲がっています。
縦糸と横糸が直角に交差している状態が本来正しいけれど、洗ってゆがんでいる。
アイロンをかけて丁寧に生地のゆがみを取り除きます。これだけで1日仕事。
その作業を終えると縫い合わせたときに縞模様がずれないよう型紙にしるしを付け、やっと布を裁断。
あとは一気にミシンで縫い合わせます。
縫い合わせたところは、ほとんど継ぎ目が分かりません。
仕上げは手縫い。袖口の布の継ぎ目など子どもが激しく動いたときに痛みやすい部分を補強していきます。
生地の到着から3日、会津木綿のシャツとパンツのセットが完成しました。
生地の特性は生かす仕上がりにできた。ちっちゃくてすごくかわいい。
小見彩さん
富山県、上市町。
ヌッテを通して会津木綿の子供服を注文した小見彩さん。
石巻の蛯名智子さんから服が届きました。
生地と工賃を合わせて約2万円のオーダーメイドです。
最高です。イメージ通り。まさか着物の生地を使っているとは思えない仕上がりで満足しています。
納得の出来栄えのようです。
シェリムボート
8月27日、富山市。
オーダーメイドの子供服を作った小見彩さん、ある店に向かいました。
そこは子供服の店でした。
すると会津木綿で作った子供服をマネキンに着せます。
実は小見彩さん、自分で子供服ブランドを立ち上げ、この店の棚を借りて販売しているのです。
上下セットで1万6,000円。
まずは手にとってもらえるように、今回は赤字覚悟の価格設定です。
すると早速、お客様が…。
着物に使われている会津木綿の生地を使って。
子供服だけど、大人っぽい感じで、すごく素敵だなって思う。
この反響の良さに小見彩さん、同じデザインの量産を検討することに。
そうなればコストが下がり、十分利益が出るそうです。
小見彩さんのブランドに新たな定番のラインナップが増えることになりそうです。
染色工場
一方、ヌッテの伊藤悠平社長はサイトの充実を図る次の一手に出ていました。
70年以上続く染色工場。
新たな職人とタッグを組もうというのです。
今後、古着の染め替えやヌッテで仕立てた洋服の染め直しなどのサービスを考えています。
天然素材だからいい色になりますね。
伊藤悠平社長は日本各地の職人と手を組み、その技を守る取り組みを広げていきたいと考えています。
アパレルの下請けだけやっていたら全然、職人たちは食えなくて、技術がちゃんと若い人につながっていかないので、ヌッテを使ってもらって自分を売っていく場になったらうれしい。
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