9月10日のニューヨーク証券取引所。
明日の9月11日で同時多発テロから20年となるのを前に追悼式が行われました。
世界経済の中心を襲ったテロ。あれから20年です。世界経済を取り巻く環境はどう変わったのでしょうか。
株式会社野村総合研究所
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世界金融の中心部を直撃した同時多発テロ。
当時ニューヨークに駐在し、世界貿易センタービルの崩壊を目の当たりにした野村総研の木内登英氏。
世界貿易センターから200~300メートル離れた別のビルにいて、ちょうど会社に出社したころに1機目がぶつかり、しばらく外を見ていると2機目が南棟にぶつかるところを目の当たりにした。
世界経済が一変したこの20年。最大の変化は中国の台頭です。
アメリカはテロとの戦いを20年間やってきたが効果があまり見られなかった一方で、やはりアメリカにとっての脅威は中国になった。
木内さんは同時多発テロが起きたこの2001年こそが中国台頭のきっかけになった年だと指摘します。
中国の加盟を承認する。
実は中国はこの年、WTO(世界貿易機関)に正式に加盟。それが中国製品の輸出を後押し、飛躍的な経済成長の引き金となったのです。
一方、アメリカは大きな痛手を受けることに…
サブプライムローン問題を発端とする2008年からの世界金融危機です。アメリカをはじめとする先進国の経済が大きく打撃を受けました。
このリーマンショック後にさらに存在感を示したのが中国です。
中国のGDPが世界経済に占める割合はこのあとおよそ10年で7%から17%に。
そして今、世界は新型コロナの感染拡大による未曾有の危機に。
アメリカをはじめとする先進国が中国と対立を深める中、中国は独自のワクチン外交などを通じて新興国などへの影響力を格段に強めています。
行き着く先は世界経済の分裂。
経済だけでなく政治、外交、安全保障も分裂していく新しい冷戦構造。
新興国、中国がだんだん離れてしまえば日本経済の潜在力ももっと落ちてしまう。
接点を見いだしてできるだけ歩み寄ることが、結局はアメリカや日本にとって利益になるのではないか。