2017年に取材をした中国・北京市内の北朝鮮レストラン。
国連の安全保障理事会による北朝鮮への制裁決議に基づき中国では、こうしたレストランのほか、北朝鮮関連企業に1月9日までの閉鎖を求めていました。
しかし取材を進めると北朝鮮の制裁逃れの実態が見えてきました。
七宝山ホテル
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中国・遼寧省瀋陽市にある七宝山ホテル。
約4年前に撮影した映像でホテルの正面に掲げているのは北朝鮮の国旗。
実はここは北朝鮮の資本が入るホテルです。
しかし、2018年に入りエントランスにある告知が…。
国連安保理第2375号の決定を実行し一切の営業活動を停止する。
ホテルの従業員は、
客室は全部閉めました。
「再会は?」
上からの指示を待つしかないが、再会のめどは分からない。
経済制裁
背景にあったのは2017年、国連安保理が決議した北朝鮮に対する制裁措置。
これに基づき中国政府の北朝鮮の資本が入った企業に120日以内に閉鎖するように通知していました。
1月9日にその期限を迎え、ホテルやレストランなど北朝鮮の関連企業が複数閉鎖に追い込まれたのです。
北朝鮮レストラン
北京市中心部、2017年9月にWBSではある北朝鮮レストランを取材していました。
このレストランは今、どうなっているのでしょうか?
1月10日、つまり制裁の期限を迎えた翌日に訪ねてみると、出迎えてくれたのはチマチョゴリを着た若い女性。
店内にはお客様の姿も見られ、営業は続いていました。
お薦めの料理は?
北朝鮮の東海(日本海)のカニだから、とても甘いんですよ。
1杯約2万円の毛ガニ。1キロを超える大きさで数日前に獲ったものだと言います。
さらに、
北朝鮮の東海(日本海)の塩焼きエビです。
カニもエビも全部、北朝鮮の東海(日本海)のものです。
中国が1月12日に発表した貿易統計では北朝鮮からの輸入額は前年に比べ33%程度減少しています。
制裁決議によって海産物などの輸入が禁止になったことが影響しているはずねんですが…。
「北朝鮮の海産物は禁輸されているのでは?」
ずっと売っていたよ。
取り扱っている海産物のほとんどが北朝鮮産と主張する従業員。
彼女たちは北朝鮮出身だといいます。
私は平壌出身です。北京に来て約6ヶ月になります。
しかし新規発給が制限されているビザについて話が及ぶと「よく分からない」と言葉を濁しました。
店内は2017年に取材した時とほぼ変わらないようですが…。
「店のオーナーは北朝鮮人か?」
いいえ、中国人よ。
2017年9月の取材時は中国と北朝鮮、両方の資本が入っていましたが、今は中国資本だけになったと主張したのです。
純粋な中国資本に切り替えることで制裁を回避する企業も少なくないと見られています。
「制裁で生活に影響はない?」
まったく問題ない。
金正恩将軍、私たちは彼を尊敬しているし、まさに朝鮮人民の父だわ。
抜け道
北朝鮮による制裁の抜け道。
1月2日、韓国政府はある発表を行いました。
韓国外務省の会見、
船主は台湾所在の企業、船舶登録は香港。
香港船籍のタンカーが公海上で石油精製品を北朝鮮船舶に密輸していたというのです。
台湾メディアによると取引には中国人ブローカーを介していたといいます。
こうした動きはほかにも。
アメリカ財務省が発表している写真、撮影は2017年10月19日。
北朝鮮の会社の船が海上で別の船に横付けをして精油と思われる物の受け渡しをしている様子が捉えられています。
本当に制裁の抜け道はないのか?
中国政府は、
中国は安保理の常任理事国として厳格に安保理決議の国債義務を守っている。
国内の法律・法規違反や抜け道がある場合は確実な証拠をつかんだ上で中国として厳格に法に基づいて調査・処理している。
制裁の実行を強調する中国。
これに対して北朝鮮や中国の情勢に詳しい専門家、龍谷大学の李相哲教授は、
中国はまだまだ北朝鮮に対して真剣に取り組んでいない状況。制裁はギリギリまでやるが、決定打は与えないのが中国の戦略。