ミレービスケット。レトロなパッケージ、素朴な味わいでここ5年で売上高が3倍になるほどいま急成長を遂げています。実は発売からおよそ60年経つロングセラー商品なんです。

皆さんはこのミレービスケットご存知でしょうか?

有限会社野村煎豆加工店
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ときは東京タワーが完成した1950年代。

この頃誕生したのが素朴な味わいで人気のミレービスケット。

発売から60年以上経ったいま、地方のソウルフードから全国へと羽ばたきました。

そのロングセラーの極意とは?

街の声
まずは東京都内で聞いてみました。

「ミレービスケット知ってる?」
知らない。

知らないです。

知っています。

素朴な感じでおいしかった。

最近見ます。

最近、都内でよく見かけるようになったというミレービスケット。

ところ変わって高知では…

みんな知っている。

3日前くらいに食べました。

「ミレービスケット好き?」
うん!

「お子さんも?」
好きです。

小さい時から食べています。何十年と…

高知のソウルフード。

高知県では老若男女問わず馴染みの菓子でした。
ミレービスケット
高知市内にある野村煎豆加工店。

ミレービスケットはこの小さな工場で60年以上、ほぼ同じ製法で作られています。

ビスケットを油で揚げて、味付けにタライに塩をひと振り。これで完成です。


野村煎豆加工店の戸田祐一常務、
ただ本当に揚げているだけ。

半世紀以上、同じ製法で作っているので。

野村独特の味わい。

独特の味わいの秘密
独特の味わいの秘密はなんなのか。

実はビスケット自体は素焼きされた状態で愛知の食品メーカーから仕入れています。

ここではそれを揚げているだけ。

同じメーカーの素焼きビスケットを揚げて販売している会社はほかにもありますが、なぜか野村のミレーだけが特に売れています。


その訳は、
元々豆菓子のメーカー。

豆を揚げて、その油をミレーに使ったのが始まり。

野村煎豆加工店は社名の通り、豆菓子の店として大正12年に創業。

今も創業当時と同じ機械で豆菓子を作っています。

実はその豆を揚げた油を使うことが味のポイントなんです。

新しい油だけで商品を作ったらお客様から「いつもの味と違うよ」と。

豆を揚げた油を使っていない。

「ああ、これだ」と思った。

あの独特の風味は油に残った豆の香りでした。

だが、その美味しさが人々に受け入れられるのにはかなりの時間がかかりました。
ミレービスケットが誕生した1950年代は当時の皇太子殿下と美智子様のご成婚でテレビが売れるなど、人々の生活が豊かになり始めた頃でした。

当時流行したお菓子もチョコレート菓子やキャラメルなどのちょっと贅沢なもの。

そんな中でミレービスケットは卵も牛乳も使わず油で揚げただけの素朴な菓子。ほとんど売れませんでした。


野村煎豆加工店の野村有弘専務、
動物園のサルやゾウのエサとして。

そんなことまでして売っていた。

創業者の息子の野村さんはミレービスケットを売りさばくため動物園に通ったことも。

ところが次第にこの素朴な味が受け入れられるようになり、地元高知では誰もが知る菓子となりました。

そして12年前、全国のバイヤーが集まる展示会に出展。素朴さが人々の目に新しく映り、全国のコンビニなどにも置かれるようになりました。いまでは7割以上が県外への出荷。


売上高はおよそ16億円とここ5年で3倍となりました。

キティちゃんとのコラボ商品やトリュフ風味、さらには土佐茶味まで、今やその数60種類以上。




ロングセラーの極意
ミレービスケットに見るロングセラーの極意とは?

ただ真面目に考え、真面目に売り、真面目に取り組む。
