新型コロナの変異ウイルス「オミクロン株」を警戒し、日本政府は11月29日に全世界からの外国人の新規入国を原則停止することを決めました。

世界の株価がどうなったか見てみると日本や中国、韓国などアジア各地の株価は下落していますが、イギリスなどヨーロッパは上昇しています。
今回のオミクロン株、経済にどの程度影響があるのでしょうか。

"オミクロンショック"の行方は!
日本、全世界を"入国禁止"に
午後1時すぎ。

岸田総理。
緊急避難的な予防措置として、まずは外国人の入国については11月30日午前0時より全世界を対象に禁止する。

従来のワクチンの効果を低下させる可能性があるオミクロン株。その拡大を受け、岸田総理は全世界を対象に外国人の入国を一時的に禁止すると発表しました。11月30日から当面1ヵ月実施する予定です。

日本人などの帰国者についてはワクチン接種者を含め全員に14日間の待機が求められます。

こうした中、厚生労働省は11月29日に成田空港に入国したアフリカ南部ナミビアに滞在歴のある30代の男性が検査で陽性になったと発表。オミクロン株かどうかゲノム解析を行っています。

オミクロン株は金融市場も揺さぶっています。

金子律人記者。
オミクロン株への警戒感から今日も全面安となりました。日経平均467円安で取引を終えています。

JR東日本やANAホールディングスなど鉄道・航空各社の株価は軒並み下落。

日経平均は先週末から1,000円以上値を下げました。

ニッセイ基礎研究所のチーフエコノミスト、矢嶋康次さん。
デルタ株のような厳しい状況に追い込まれるのではと株式市場は心配した。

ワクチン、治療薬、今回のオミクロン株に対しどれくらい通用し効果があるのか。

現地店ではわからないので金融市場としても1回株を売ってリスク回避的な動きにならざるを得ない。そういう状況にここ数日なった。

日本の"入国禁止"でビジネスは?
外国人の入国制限をめぐっては11月8日からワクチン接種などを条件に留学生やビジネス目的の短期滞在者の入国を認めるなど正常化が進みつつありました。

再び強まる海外からの入国制限で各業界に戸惑いが広がっています。

航空大手の関係者は…
年末年始の帰国需要を期待していたのと各国の接種者の規制緩和で旅客数が増えてきた。

今後は技能実習生や留学生需要を摘み取っていくことを念頭に考えていた。

11月から徐々に回復と言っていたがつまづいてしまいそうだ。

そして交換留学に力を入れる秋田の国際教養大学。

来年4月に留学生を迎えるため渡航や滞在先の調整に追われていましたが…
国際教養大学の熊谷嘉隆副学長。
かれこれ2年間、キャンパス内に留学生がいない状況で、年明けの4月から2年ぶりに本来の本校の姿が戻ると思うので。

これで来られなくなると、ちょっとつらい。

できる準備は今まで通り淡々とやっていくことだと思う。

官邸を訪れた観光業界のトップは水際対策の徹底を求めつつも経済回復との両立を図るように要望しました。

日本観光振興協会の山西健一郎会長。
オミクロン株、これが非常に世界でまん延しつつあるということで経済の再開に向けてその辺りの検討についてもぜひ継続してお願いしたいということを要望させていただいた。

専門家は実体経済への影響について…
ワクチン接種が済んで、この先大丈夫かなという安心感が出てきたところにオミクロン株が出てきて心理的にガツンとやられた気がする。

タイミングとしても年末年始で人や金が動く時期だから非常に痛い。

各国が一斉に警戒強化へ
その影響が懸念されるオミクロン株。すでに13の国と地域で感染が確認されていて各国が対応に追われています。

ロンドン支局の中村航記者。
土曜日にオミクロン株の感染者が発見されたイギリスでは具体的な対策が始まっています。

新聞では"クリスマスを守るための戦い"などと題し、ワクチンの追加接種の拡大について大きく報じています。

イギリスでは新型コロナワクチンの3回目、いわゆるブースター接種はこれまで40歳以上が対象でしたが、18歳以上の全ての人に一気に拡大する方針です。

また水際対策としてアフリカ南部からの入国者に対し、10日間のホテル隔離措置を日曜から始めました。ホテル代は入国者の自腹で34万円ほどの出費を求める厳しい措置です。

さらにマスク着用の義務化も再開します。交通機関や小売店の店内では現地時間の30日からマスクが必須となります。

市民は…
人が多い、オフィスにも人が戻っている。地下鉄は感染が心配だ。

一方でジョンソン首相はこうした規制強化を一時的なものとし、今後3週間ごとに継続するかどうか検証するとしています。

一方、オミクロン株の感染者が見つかっていないアメリカ。29日から南アフリカなど8ヵ国の外国人の入国を一時的に禁止すると発表しました。

国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は…
ウイルスを減らすには圧倒的多数のワクチン接種・追加接種が必要だ。
さらに欧米のワクチン開発大手各社はオミクロン株に対するワクチンの有効性について調査を急ぐと表明。
ドイツのビオンテックはファイザーと共同開発するワクチンについて必要ならば6週間以内にワクチンを再設計し、100日以内に最初の出荷ができるとしています。
