ロシアのウクライナ侵攻は日本の中古車市場にも影響を及ぼしています。2月に平均100万円を突破した中古車の価格は3月には91万円と1割近く急落しました。日本の中古車の最大の輸出先だったロシア向けが急減し、国内で中古車が余ったからだとみられています。
一方で新車は半導体不足が続いていて供給不足は解消されていません。中古車の人気は今後も続くのでしょうか。
都内で新車や中古車を取り扱う販売店「U-Carひろば三鷹店」。
いま中古車の価格にある変化が…
日産東京販売
飯高宏昭さん
これが日産のエクストレイル。価格が下落している状況が続いている。
日産エクストレイル(2016年式)は175万円。この車種はオークション価格が2月と比べて15万円程度下落しているといいます。
日産東京販売
飯高宏昭さん
車種にもよるが大体数万円から数十万円くらい下落している車種がある。
コロナ禍の半導体不足で新車の納品が遅れる中、中古車の需要は右肩上がりとなり平均価格は2月に100万円を突破していました。
しかし、3月にはロシアへの制裁の影響でロシア向け中古車輸出が急減。国内で中古車が余ったことで価格も急落したのです。
一方で価格が上がっている車種も。
日産東京販売
飯高宏昭さん
リーフという電気自動車は2月、3月の相場から比べると15万円から20万円くらい価格が高くなっている。
EV(電気自動車)はガソリン価格が高騰した影響で需要が増加。ロシアへの輸出が減る中でも値上がりしているといいます。
価格面で見るとガソリン車の中古車の買い時が続くのでしょうか。
日産東京販売
飯高宏昭さん
価格は下落傾向にあるが半導体不足による新車の納期遅れの影響がある。下期に入って価格がどうなるかはわれわれにも見当がつかない。
半導体不足で新車を手に入れづらい状況が続いているため、中古車全体の価格がまた上がっていく可能性はあるといいます。
火災から1年 ルネサス工場!半導体不足はいつ解消?
では、その半導体不足はいつ解消されるのでしょうか。
去年3月に起きたルネサスエレクトロニクスの半導体工場の火災事故。数万台の自動車生産に影響を与えたといわれています。
ルネサスは4月21日に復旧した工場を報道陣に公開しました。
ルネサスエレクトロニクス
柴田英利社長
もう言葉も出ない。涙が出てくるぐらいひどい状況だった。
火災時を振り返るといまこんな状態で整然と工場が動いているというのはなんとなく感傷的になる。
火災が起きた半導体を製造するクリーンルームにはスプリンクラーや好感度の煙探知機などを設置。
従業員のチェック体制も見直し、火災だけでなく地震にも対応できる災害に強い生産体制にしました。
現在は自動車向けの半導体などに使われるウエハーの加工を1日およそ600枚のペースで行っています。
ただ、会見では…
半導体不足で自動車生産が遅れているが生産再開で解決するか?
ルネサスエレクトロニクス
柴田英利社長
私たちの生産品目に関して言うと確実に改善していると思う。
ただ、自動車は使っている半導体も多岐にわたるのでどうしても調達に苦慮しているものがここそこで起こっている。
実際、半導体不足のためトヨタは5月に国内の工場の稼働を一部停止します。影響は10万台の生産に及ぶとしています。
中古車の"格安"売買サイト!安さの秘密は…出張鑑定士
新車の供給回復が見通せず中古車の需要が依然高い中、注目を集めているサービスがあります。
個人間で売買することができる中古車の売買仲介サイト「カババ」です。
こちらでは3,000万円を超えるスーパーカーや10万円を切る軽自動車などさまざまな車種が出品されています。
最大の特徴はその価格です。
こちら2020年式のトヨタのハリアーの場合、ほかの中古車サイトの最低価格と比較して15万円も安く売られています。
また他社では160万円のスポーツカーも120万円と格安です。
一体なぜここまで安くできるのでしょうか?
カババ 鑑定士
薮中心一郎さん
こんにちは、カババの薮中です。よろしくお願いします。
出品者のもとにやって来たのはカババの出張鑑定士です。
鑑定士は車体にできた小さなキズなどをチェック。さらに…
カババ 鑑定士
薮中心一郎さん
板金修理すると塗装が光の角度によって表面のざらつきなどが若干違うことがある。
光で塗装のざらつきに違いがないか確認している。
車の状態を隅々まで細かくチェックします。
カババはこうした鑑定士を全国で10人抱えていますが、店舗はないため全員自宅から直接現場に来ているといいます。
実はここに価格を抑える秘密があります。
カババを運営するアラカン
田中一榮社長
店舗・在庫リスク・営業人員を抱えると1台売るコストが平均約30万円かかる。
店舗を持たない、在庫を抱えない、営業の人員を抱えないと最終的に1台のマッチングにかかるコストが3万円くらいに抑えられる。
通常の中古車ディーラーは店舗や在庫管理にコストがかかるため下取り価格に数十万円の手数料を上乗せして販売価格を決めています。
しかし、カババは管理費用がかからず、手数料は3万円程度です。売り手が通常の下取り価格より高い価格を設定したとしても買い手は通常より安い価格で買うことができるのだといいます。
売り手も買い手も満足できるシステムが人気を集め、カババの出品台数は1年でおよそ2.6倍に急増しました。
カババを運営するアラカン
田中一榮社長
新車が供給されない限り中古の相場は高い状態が続いていく。
少しでも高止まりしている車を安く買いたいということで弊社のサービスもニーズが上がってきているのではないか。