ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] 「自動運転」がやって来た!(1)

2016年9月20日

「自動運転」がやって来た

日産自動車株式会社

[blogcard url="http://www.nissan.co.jp/"]

8月のお盆休み。

初めての祝日、山の日も加わり高速道路はどこも長い渋滞が起きていました。

中央自動車道の談合坂サービスエリア、駐車場は満車状態です。

横浜から来た一家、普段はここまで1時間半ほどで着くそうですが、今日はここまで来るのに…

5時間。

一方、千葉からきた家族は

平日、運転しないのでこたえる。

交代は?

絶対にやりません。

日産プリンス埼玉販売株式会社 熊谷店

同じ頃、埼玉県熊谷市の日産の販売店。

営業マンたちが今か今かと待っているものが…

やって来たのは一台のミニバン。

この車が渋滞のイライラを解消してくれるというのです。

新型セレナ

6年ぶりにフルモデルチェンジした新型の「セレナ」。

1991年の発売以来、8人乗りのファミリーカーとして高い人気を得ています。

そして今回、一番の目玉が…。

ハンドルに2つスイッチ、右側が自動運転。

国内メーカーとしては初の自動運転ができる車。

渋滞の時、運転が楽になるといいます。

この機能が付いて価格は291万6,000円から。

日産自動車株式会社 決算会見

国内のほかのメーカーに先駆け、自動運転を世に出した日産自動車株式会社。

5月12日の決算会見でカルロス・ゴーン社長は

今年度は最新の「自動運転」技術を国内で発売する。より安全で効率的な運転を提供する。

かつては夢の技術だった自動運転。

それがいよいよ手の届く時代に。

この車は私たちの生活をどう変えてくれるのでしょうか?

新型セレナ

6月、栃木県にある日産自動車株式会社の栃木工場。

そのテストコースで新型セレナの最終調整が行われていました。

この時、発売の2ヶ月前。

細かいデザインを隠すためボディはまだら模様のシートが貼られています。

他社が開発中の自動運転車は複数のセンサーを搭載していますが、新型セレナは1台だけ、その分コストが大幅に減り価格を抑えることができました。

この画期的な技術をまずファミリーカーに搭載した日産自動車株式会社。

それにはワケがありました。

須賀芳実さん

横浜市にある日産自動車株式会社の本社。

開発陣が作り上げた自動運転をどう売るか、託されたのがマーケティング本部の須賀芳実さん(48歳)。

自動運転と聞いただけで「居眠りしていい」とか「何か食べていてもいい」とか期待している人もいる。正しく利点を理解してもらうことが大事。

須賀芳実さんは学生の頃、日産自動車株式会社のスポーツカー、シルビアに惚れ込んで入社しました。

5年前の2011年からセレナのマーケティングを担当。

ファミリー層、特に子育て中の母親から高い支持を受けました。

2014年にセレナがベストマザー賞を受賞しました。

実は自動運転も家族のため。

交通事故で一番多いのが追突事故、4割近くを占めます。

そして追突事故の約7割が20~40代による事故です。

まさにターゲットのファミリー層。

こうした事故を自動運転で減らそうというのが須賀芳実さんたちの狙いです。

試乗会

6月中旬、神奈川・横須賀市にある日産自動車株式会社のテストコース。

集まっていたのは全国の営業マンたち。

全国に約2,100ある販売店から順次呼んでいました。

いかにお客様に伝えていくか、やはり乗って初めて分かることはたくさんある。

自動運転は営業マンにとっても初めての体験。

試乗して売るための方法を考えてもらおうと須賀芳実さんは考えていました。

参加者の一人、森健一さん(40歳)。

正直あまり信用していない。車任せにすると不安になってしまうのでは。

助手席には開発メンバーが講師役として同乗します。

そして出発。

ハンドル動いています。大丈夫なんですか?これ。

怖いですね。居眠りはまずいですよね。

当然ダメですね。

もしぶつけたら誰が悪い?

現時点はドライバーの責任。

森健一さん、次々に疑問が沸いてくるようです。

伝え方を考えないといけない。

誤解のないように、かつ魅力的に伝えないと。

過剰な期待はさせず、一方で期待を裏切らない、難しい挑戦が始まります。

日産プリンス埼玉販売株式会社 熊谷店

試乗会から5日後、埼玉県熊谷市の販売店。

森健一さんはここの営業マンです。

この日は同僚を集め、自動運転の車をどう売るか話し合っていました。

機能をお客様に分かりやすく説明するなら、どうやって説明する?

アクセルとブレーキを踏まなくても前の車に付いていく。

それだと機能を説明しているだけ。使っている状況を想像できるようなワクワクするような説明の仕方。

発売まで2ヶ月、皆、自動運転の伝え方を必死に考えていました。

そんな中、あるニュースが飛び込んできます。

テスラモーターズ

6月30日、アメリカで自動運転を搭載したテスラモーターズの車が死亡事故を起こしたことが分かりました。

自動運転で走行中、横切ってきたトレーラーと衝突したのです。

亡くなったドライバーがネット上に投稿した動画では

すごい、両手を離しても勝手に運転してくれる。全くストレスはありません。

自動運転の車としては初の死亡事故として報道され、世界に衝撃を与えたのです。

事故を受け、テスラモーターズはコメント発表しました。

自動運転中は必ずハンドルに手を添え、自己責任で車を操作する必要がある。

と警告しました。

新型「セレナ」の発表会

7月13日、横浜の日産自動車株式会社の本社。

新型「セレナ」の発表会。

晴れの舞台、しかし須賀芳実さんは険しい顔です。

予想通り、記者から厳しい質問が相次いだのです。

テスラの車両が自動運転中に事故を起こしたが、日産が発売したものも事故が起こる可能性はゼロではないと思うが。

坂本秀行副社長が応えます。

自動運転というよりは運転支援システム、全ての条件をカバーできるものではない。

自動運転は本当に安全なのか?一気に関心が高まっていました。

車に任せられないという第一印象はごもっとも。それが普通の人の普通の印象。それをどう乗り越えるかがマーケティングの仕事。

メルセデス・ベンツ

7月、愛知・豊橋市。

ドイツから1隻の貨物船がやってきました。

現れたのはメルセデス・ベンツの高級セダン「Eクラス」。

各社自動運転の技術は横並びといわれる中、この車はずば抜けていました。

高速道路、日産自動車株式会社は単一車線だけの走行ですが、メルセデス・ベンツは自動で車線変更ができます。

操作はウインカーを出すだけ、隣の車線をセンサーが確認してハンドルが自動で動きます。

さらに来年にはスマートフォンを使って、自動で駐車できる機能を搭載する予定です。

狭いところでも、車が隙間を見つけて駐車をしてくれます。

搭載されたセンサーは全部で13ヶ所、価格は675万円からとセレナの倍以上します。

発売に合わせて来日した自動運転の開発責任者、ヨアヒム・ミセルさん、かなり強気です。

ベンツは自動運転において日産より歴史が長い。我々は自動運転で常にNo.1企業であり続ける、当然だ。

須賀芳実さん

ルセデス・ベンツ「Eクラス」発売の翌日の7月28日。

日産自動車株式会社の須賀芳実さん、その情報をチェックしていました。

かなり進んだ技術を持っている。あのクラスで採用しても日本に広がる台数は知れている。事故を減らす目的には合致しない価格帯。

新型セレナ

9月3日、埼玉・熊谷市の販売店。

新型セレナが発売され、フェア最初の土曜日です。

店はセレナ一色。

販売担当の森健一さん、開店の準備をしています。

しかしピリピリしている様子です。

感触があまり良くない。

開店しても客足が伸びません。

そこにやって来た日産自動車株式会社の須賀芳実さん。

本当に申し訳ない。フェアに水を差してしまった。

須賀芳実さんの謝罪、一体何が起きたのだろうか?

リコール

販売店では発売後、フェア最初の土曜日を迎えていました。

お客様がやってきました、子供連れの夫婦。

営業マンの森健一さん、必死に売り込みます。

誰よりも早く、誰よりも最新の車を。

自動運転の魅力を精一杯伝えますが、なかなか契約にたどり着けません。

そこにやってきたセレナのマーケティング担当の須賀芳実さん。

各販売店の様子を見て回っていました。

タイミングが悪かったですね。

本当に申し訳ない。フェアに水を差してしまった。

実はこの日の前日、セレナの出荷停止を伝える報道が流れたのです。

原因は信号待ちなどでエンジンが自動で停止する「アイドリングストップ機能」の不具合。

自動運転とは関係ないものの、その影響は小さくないようです。

ネットニュースのコメント欄には厳しいコメントが書かれていました。

試乗しに行こうと思ったが止めときます。

明日に主人と車を購入しようとしてましたが、一旦辞めます。

須賀芳実さんは

非常に苦しいです。

その後、日産自動車株式会社は9月7日にリコール届け出を国土交通省に提出。

無償の部品交換で対応することになりました。

リコールから4日後、9月11日。

セレナのフェアは最終日を迎えていました。

出荷停止の報道後、森健一さんは1台も契約が取れていませんでした。

そこにやってきた1台の車。9年前のセレナです。

こちらの男性、そろそろ買い替えを考えているようです。

森健一さんが電話で営業したところ、孫と一緒に来店してくれました。

自動運転が付いているので、ぜひ体感して欲しい。

車は気に入ったようですが、自動運転は気が進まない様子です。

自動運転も付けると価格は約24万も高くなります。

自分はバリバリ運転できる。そこまで機械にお世話にならなくても。

それでも何とか試してもらえることになりました。

何もしなくていいです。アクセルもブレーキも。

森健一さん、自動運転の機能を丁寧に説明します。

ハンドルが右、左に動いているのが分かりますか?

仮に高速で渋滞していても。運転に自信があるから車に任せるより、自分で運転したほうがいいと言っていましたが、試してみたら?

いいですね。

20分ほど試乗したところ、印象が変わったようです。

この先の年齢を考えると、自動運転に補ってもらいましょう。

そして、この日のうちに契約。

自動運転をオプションとして付けてくれました。

森健一さん、ホッと一安心。

実績

9月16日、横浜の日産自動車株式会社の本社。

マーケティング担当の須賀芳実さん、各販売店からの実績を確認していました。

目標としていた月8,000台を大幅に上回り、そのうちの約7割が自動運転を選んでいました。

車といえば自動運転が付くのが当たり前、という時代が遠くない将来くる。その時に日産を思い出してもらえるような仕事をしていきたい。

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