EU(ヨーロッパ連合)では先週、新たな気候変動対策としてハイブリッド車を含むガソリン車の新車販売を2035年に禁止する方針を打ち出しました。

いまヨーロッパでは脱炭素社会に向けてEV(電気自動車)へのシフトが急速に進んでいます。その現場を取材しました。

日産自動車株式会社
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イギリス・ロンドン。

ロンドン支局の中村航記者。
こちらロンドンの道路の脇でよく見かける看板があります。あの緑色の看板、超低排出ゾーンと書いてあります。


2019年からロンドンでは排気ガス量が多い車両に課金する規制が始まっています。

基準に達しない車両は街に入ると1日におよそ1,900円が課税されることに。

規制は現在、半径3キロの中心地のみですが10月25日からは住宅が多いエリアにも広げる予定です。

それを知らせる広告がいま街中のいたるところに設置されています。
環境規制が強まるイギリスでは2030年にはガソリン車の新車販売を禁止。またEU(ヨーロッパ連合)も2035年にハイブリッド車の新車販売まで禁止する方針を発表し、電気自動車(EV)化の流れが押し寄せています。

企業も動き始めています。イギリス中部のサンダーランド。

日産自動車の工場で今月発表されたのが…
日産自動車のアシュワニ・グプタCOO。
EV電池の次世代技術を広めるため、ここにギガファクトリーをつくる。

ギガファクトリーとはEV生産をさらに推し進めるための巨大な電池工場です。

中国系の電池メーカー「エンビジョンAESC」などと組み、年間10万台分の電池を生産する計画です。EVへのシフトを勝機と捉えています。

これはイギリスの車産業にもいい薬だ。

需要が増える分だけ生産能力を増やす。

ギガファクトリーは雇用を生むためヨーロッパでは各国のトップも期待を寄せています。
フランスでは先月、同じ自動車連合のルノーが手掛けるギガファクトリーの予定地をマクロン大統領が訪問しました。

イギリスでもジョンソン首相が日産の工場を視察。

イギリス政府はギガファクトリー計画についてメーカー6社と協議中と見られています。

この工場はヨーロッパで最も多くEVをつくる工場になる。

EVの新車生産への動きが加速する中、全く異なるアプローチも…

こちらのロールスロイスのような高級クラシックカーがずらりと並ぶ場所、実は電気自動車に改造する工場なんです。

2018年創業の自動車ベンチャー「ルナズ」。

熟練の技術者たちが半年ほどかけてクラッシックカーをEVに改造していきます。

まずクラッシックカーを完全に分解。その後、バッテリーの配置場所や電気系統などを再び設計し、組み立て直すのです。
ルナズのデビッド・ロレンスCEO。
データで再設計することが技術の要だ。

完成したこちらは1961年製のロールスロイス「ファントムV」。EV版の価格は7,500万円からとなっています。

内装については当時の特徴をなるべく残しています。

運転席と後部座席の間には伝統的な間仕切りスクリーンも。
一方で…
エアコンなど今のロールスロイスで必要な機能はつける。

クラシックカー市場だけでなくEVのロールスロイスが欲しい人も狙う。

先月、サッカーの元イングランド代表のデビッド・ベッカムさんが株式の10%を取得し注目されました。

さらに…
これがトラックの中身だ。改造で何を節約できるかチェックする。

実は今後、トラックやゴミ収集車など産業用の運搬車でも改造EVを増やす計画なのです。

欧米だけでゴミ収集車が8,000万台もあるため、EVに改造する需要は高まると見ています。

これを見据え、ルナズは改造EVの生産能力を現在の年間120台から数年で4,000台にまで一気に拡充する計画です。

車は将来、世界で20億台になる。どうEV化するか考えないと。

全車新車というわけにいかないので改造はひとつの答えだ。
