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[WBS]独自!日産「ゴーン解任計画」入手!逮捕の半年前から準備か?[日産自動車株式会社]

2021年1月15日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日産自動車の前の会長、カルロス・ゴーン被告のレバノンへの逃亡から1年が経ちましたが、いま主役なき裁判が山場を迎えています。

その事件は日産幹部と検察の司法取引を土台に立件されたものですが、1月14日にその取引に応じたハリ・ナダ専務執行役員が出廷して証言しました。

テレビ東京はこのハリ・ナダ氏が事前に取りまとめていたと見られる「ゴーン氏解任計画」とされる極秘文書を独自に入手しました。

日産自動車株式会社

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1月9日の土曜日。

日産の専務執行役員、ハリ・ナダ氏。ゴーン被告の元側近で事件のカギを握る重要人物です。

「これはあなたのメール?」

これは社内の機密メールだ。

ナダ氏に見せたのはテレビ東京が独自に入手した日産の社内メール。

送り主はナダ氏。宛先は当時の社長、西川氏です。

そこには、

検察は報酬の過少申告でゴーンを逮捕したいようです。

ゴーンの信用を落とすためにもメディアも巻き込んで背任での逮捕に持ち込むべき。

送信日は2018年11月14日。ゴーン被告が逮捕される5日前です。

ナダ氏は事件当時、ゴーン被告らの業務を支援するCEOオフィスや法務室を統括する幹部。グレッグ・ケリー被告の直属の部下でした。

ナダ氏自身も不正に関与したとされますが、検察と司法取引に応じゴーン被告などの逮捕に協力した見返りに起訴されませんでした。

ナダ氏は1月14日、ケリー被告の裁判に証人として初出廷。事件について何を語ったのでしょうか?

検察官、

ゴーン被告の報酬について行ったことを説明してください。

2010年だったと思います。ゴーンさんが自らの報酬を減額しました。

ケリーさんは開示することなく秘密裏に減額分を支払いたいと考えていた。

私は助言を行い文書やプレゼンテーションに携わりました。

私はいつもケリーさんの指示に基づいてできるだけ積極的に行いました。

そのナダ氏、ゴーン被告とケリー被告の逮捕の1ヵ月前、こんなメールも西川社長に送っていました。

ゴーンの件で経済産業省と議論する必要があります。

彼らの強力な支援は不可欠です。

ナダ氏に真意を尋ねてみると、

「これはあなたのメール?」

これは社内の機密メールだから君が持っているべきものではない。

なぜ君が持っているんだ。これはミスター西川へのメールだ。

多くを答えませんでした。

西川元社長にも直撃しました。

「ハリ・ナダさんからのメールを受け取った記憶は?」

わかんないけど。

「ハリ・ナダさんと西川さんが逮捕を手配したのか?」

そんなのできるわけないじゃない。

そして司法取引に応じたハリ・ナダ氏が関わったとされる資料をもう1つ入手しました。

こちらがその日産の社内文書を拡大したものです。様々なシミュレーションが書かれたチャート図です。

「Charcoal is removed as Navy director」と書かれています。このCharcoalというのがカルロス・ゴーン被告のカルロス(Carlos)の頭文字、Cから取った隠語です。そしてNavyのNは日産の頭文字、Nから取った隠語です。

つまり「カルロス・ゴーン氏が日産の会長から解任される」という風に書かれているということです。

そしてこちら側には「Red」という言葉があります。これは日産の筆頭株主である「Renault」の頭文字、Rから取った隠語です。

それぞれの名前を色に置き換えてゴーン被告への対応を巡って色々なケースを想定しています。

このチャートが作成されたのはゴーン被告が逮捕されるおよそ半年前でした。この半年前というのがポイントです。隠語も使い、周到に練られていた解任計画を読み解いていきます。

これは日産の法務担当者から日産幹部に送られたメールです。

日付は2018年5月30日。ゴーン被告が逮捕されるおよそ半年前です。

送り先にはハリ・ナダ専務。

このメールに解任計画が添付されていました。

左上には「Legally privileged」と秘匿特権とあります。いかなる場合も外部に公開しないとする極秘資料を意味しています。

2018年1月、日産の西川廣人社長(当時)、

代表権そして会長職を解くことを提案して承認すべく私が取締役会を招集する予定。

ゴーン被告の逮捕直後に開いた会見で当時の西川社長は被告の解任を宣言。

日産はその3日後に臨時取締役会を開き、ゴーン被告の会長職の解任が決まりました。

さらに翌年の春には臨時の株主総会を経てゴーン被告は正式に取締役から解任されました。

解任計画と照らし合わせて見ると、シナリオ通りに進んでいました。

また別のルートを見てみると気になる記述が…

ゴーン被告が日産の代表として残る。(日産にとって”最悪のシナリオ”)

ゴーン被告の解任を目的としていることを強く印象づける記述です。

「解任の提案を決めたのはいつごろか?」

社内調査がまとまった段階。

日産の報告では2018年春頃に内部告発を受け10月からの本格調査を経て、11月にゴーン被告は解任となっています。

実際にはその年の5月にはすでにゴーン被告の解任に向けたシナリオを制作し、準備していたことになります。

さらに計画ではゴーン被告解任後の動きも書かれていました。

日産は空席となった会長ポストはルノーに返上しないと主張。

すると、

最大株主のルノーが納得しない。

ルノーは臨時株主総会を要求。

などと日産の会長ポストを巡って最大株主、ルノーとの主導権争いを予測。

実際に日産とルノーはポストゴーンの激しい駆け引きを展開しましたがルノーのスガール会長が日産との関係を重視し、日産の会長ポストは求めないとコメント。

新たに臨時株主総会は開催されませんでした。

企業統治に詳しい専門家に見てもらうと…

GIT法律事務所の西垣健剛弁護士、

取締役会でゴーンをサポートする他の取締役を解任。

ゴーン被告をサポートする取締役をどうやって解任するかを重要なテーマとして記載されている。

"ゴーン被告一派"に対する対抗策がみてとれる。

日産に真意を尋ねるため質問を送りましたが現時点で回答はありません。

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