日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告のレバノンへの逃亡からおよそ1年。主役のいない裁判にはかつての盟友や腹心が相次いで出廷し、1月13日も証言が行われました。
テレビ東京は今回、一連の不正の原点ともいえる日産の内部資料を新たに独自入手しました。
日産自動車株式会社
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「Payment for CEO(CEOへの支払い)」と書かれた1枚の紙。
これはテレビ東京が独自に入手した日産の社内文書です。日付は2011年3月16日。
CEOとは日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告のことです。
検察の違法行為は問題ないのになぜ私だけ問題になるのか。
およそ1年前、違法に日本を出国し、自らの正当性を主張したゴーン被告。巨額の役員報酬を開示しなかったなどの罪に問われています。
文書はその報酬隠しの具体的な方法をゴーン被告に提案するために作られました。
「Proposal」、提案者として「SK」の文字が。
これはゴーン被告のかつての腹心、日産の志賀俊之元COOと共同で会長を務めた盟友の小枝至元相談役の2人のイニシャルです。報酬隠しを当時の役員が提案していたことを示すものです。
提案には3つの方法が示され、退任後に相談役名目で報酬を支払う案などが記載されています。
さらに、
国税庁から「決定の経緯」や「金額の妥当性」について調査が行われる可能性がある。
NML(日産)内での秘匿性も高く、開示に必要はない。
などとしています。
ゴーン被告の共犯として罪に問われている元代表取締役のグレッグ・ケリー被告の裁判。
11月13日、提案書を作成した小枝氏が証人として出廷しました。
被告側弁護士、
書面を作成する上で何も考えずに作ったのか?
私は考える立場にない。
犯罪を行ったという認識はなかったのか?
当然、確信はあった。
きっかけは2010年に日本で1億円を超える役員報酬が開示される制度が導入されたこと。
高額な役員報酬が開示されることを嫌がったゴーン被告はケリー被告や小枝氏などに役員報酬を隠す方法を提案させたと検察は指摘しています。
犯罪と考えていたら日産を守るためにゴーン氏に言ってもよかったのでは?
私一人では頑張っても止められないと思い言うのはやめました。
ゴーン氏には誰が言っても無駄だという空気があった。
2人の提案をもとに8日後に作成された合意文書。
それを見ると取締役退任後は相談役か顧問に就任し未払いの報酬を受け取ること。
2009年、2010年の未払い報酬の総額が10億2,591万9,049円と1円単位まで金額が記載。
検察は志賀市、小枝氏の両名は報酬隠しの実行に関わっていないとして訴追しませんでした。
またケリー被告は「ゴーン被告とは共謀していない」と訴えています。
内部告発をきっかけに発覚したとされるゴーン被告の報酬隠し事件。告発を受け内部調査を主導した元監査役がテレビ東京の取材に応じました。
内部告発もありましたのできちっと対応しようと。
大変重要な問題だと思った。
調査は1年以上に渡って行われ、その結果は最終的に6ページの概要のみ公表されました。
しかし、報告書自体は170ページにも及びます。今回、その一部を入手しました。
内部調査では一連の報酬隠しとは別に「SAR(株価連動型報酬の権利)」を巡る問題が発覚していました。
SARとは業績に連動する報酬の一種。会社から権利を与えられた日の株価を基準とし、設定された権利の行使日に株価が上がっていればその差額を報酬として受け取れるというものです。
ところが利益を増やす目的でこの報酬が不正にずらされていました。
2019年9月、日産の西川廣人社長(当時)、
SARの件。
私が本来もらう分でなかった分についても返還する。
当時のトップ、西川廣人社長にも不正な支払いが行われていたとして退任を余儀なくされました。
今回、我々が入手した資料から内部調査を主導した元監査役も取締役だった時に受け取っていたことが分かりました。
「内部調査を統括する立場にもかかわらず報酬を受け取っていたことについて?」
自分自身が指示をしたとか操作をしたことはなかった。
迂闊だったといえば迂闊だった。
「恣意的に行使日をずらしたわけではない?」
はい。
「支払われたものは返納したか?」
そうですね。
一部の役員を非公表にしたことについて日産は、
これらの役員らは、いずれも、自己の報酬が不正な手法により増額されたことを認識しておらず、公表する理由はないと判断しています。
増額分は全て返納されています。