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[WBS]熊本県産「97%が外国産」! アサリ産地偽装広がる波紋[二枚貝類産地偽装撲滅協議会]

2022年2月4日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

アサリの産地偽装問題。農林水産省の調査で熊本産として販売していたアサリの97%が外国産だったことが分かり波紋が広がっています。

熊本県は県内産のアサリの出荷停止を発表していて、国内で熊本産が大きなシェアを占めるだけに小売店では対応に追われています。

熊本県産アサリ"偽装問題"! 広がる余波…価格に影響も?

都内の鮮魚店「魚進」を訪ねました。

新鮮な魚が並ぶ中にありました、アサリです。

魚進の井上勝昭さん。

日本のアサリは柄がはっきりしている。

輸入物は柄がはっきりしないとぼけた色、灰褐色が多い。

店主によるとアサリは貝殻の模様で国内産か輸入物か見極めることもできるといいます。

ここでは愛知県産を仕入れて販売しています。

アサリを買ったお客さんに話を聞くと…

産地は気になる。国産のものが欲しい。

ただ国産のアサリのうち、およそ8割を占める熊本県産は8日からおよそ2ヵ月間出荷を停止すると発表しました。

熊本県産が市場から消えると今後影響が出てくると見られています。

問屋から高くなると言われた。

流通するアサリの量が全体的に減ると、取り合いになるから、値段は上がるだろう。

大手スーパーでも対応を急いでいます。

イトーヨーカドーは熊本県産とされていたアサリの販売を休止。イオンリテールは5日から運営する全店で中国産に切り替えることにしています。

業界・地元では暗黙の了解? 熊本県産アサリ 偽装の実態

立ち飲み居酒屋「羽田市場 銀座直営店」を経営するこちらの会社。海産物をスーパーなどに卸す事業を行っています。

今回のアサリの産地偽装は業界ではたびたび指摘されていた問題だと話します。

羽田市場の野本良平社長。

何十年も前からみんな知っていて、ずっとそういう偽装をやっていると。

是正しているという話だったが、まだやっていたのかと。

スーパーではアサリは特売にかかる商品。

100グラム98円とかで、値段が高くなると困るというところもあって、おそらく中国産だと知りながら仕入れていた人はいたんじゃないか。

アサリの産地偽装はなぜ起きたのか、産地偽装に関わる脱税の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた人に話を聞くことができました。

二枚貝類産地偽装撲滅協議会の吉川昌秀理事。

熊本産でないと相手にしてもらえない。

外国産の表記では誰にも買ってもらえないというのが一番大きな理由。

アサリは出荷する際に育てた期間を一番長いところを産地として表示することができます。

熊本の多くのアサリ業者は輸入元の中国や韓国などの業者には生育期間を短くした書類を作ってもらい、自分たちは熊本で育てた期間を長くした書類を作り、産地偽装が明らかにならないようにしてきたのではと指摘します。

何十年も前からだと思う。

一部の業者が利益をかさ増しするために偽装するというのではなく、業界全体が当たり前に熊本県産で出荷する状態だったので、そこに対して鈍くなっていた。

背景にあるのが日本のアサリの漁獲量の減少です。

この35年で26分の1にまで減り、需要に応えるために偽装が行なわれてきたといいます。

日本への輸出が盛んな韓国の漁港関係者は…

1キロあたり500ウォンくらい輸出に回した方が多くもらえると思う。

10トン日本に輸出するとすれば500万トン(約50万円)多くもうかる。

この関係者によると韓国国内に回すより日本に輸出する方が2割ほど高く売れることが多く、日本への輸出を選んでいると話します。

そして日本に輸出されるアサリの中には中国から輸入して、韓国で育ったアサリが混ざった可能性も。

浜に埋めて2ヵ月か3ヵ月が過ぎれば韓国では合法的に韓国産とできる。

中国産のアサリを持ってきて韓国の干潟に埋めるんだ。

吉川理事はいま自らしたことを反省し、今は熊本で稚貝からアサリを育てる取り組みと外国産のアサリの安全性を周知する活動をしています。

国内で1年養殖するとなれば夏を超えなくてはいけない、そのハードルが高い。

どれくらい死滅するかというとほとんどが死んでしまう。

国内にこれだけない中で外国産のアサリを「安心・安全・うまい」という形で消費者に伝えていくことが大事ではないか。

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