転換点を迎えている日本の電力。
この夏にも原子力発電所の再稼働の問題などもあり、電力が不足する可能性が取り沙汰されています。
そこで期待されているのが再生可能エネルギーの拡大ですが、いま意外な可能性が浮上しています。
国立研究開発法人国立環境研究所
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神奈川県厚木市にあるこちらの住宅。
家の主、関原茂さん、
10年以上前に自宅の屋根に太陽光パネルを設置しました。
しかし、
売電価格が安くなった。運用方法をどうしようか。
年々太陽光の売電価格が下がり、収支が合わなくなってしまいました。
そこで購入したのがEV(電気自動車)。
EVを蓄電池として活用し、貯めた電気を夜に自宅で使うようにしたのです。
EVを蓄電池として使うのに、住宅に電気を送るための特別な装置がニチコン製EVパワー・ステーション。
価格は工事費を除いて44万円から。毎月の電気代は想像以上に安くなったといいます。
月に1万円違う。去年と比べて。
太陽光だけでほぼ賄えるので大正解。
茨城県つくば市にある国立環境研究所。
ここでは太陽光とEVを組み合わせることで都市で使う電力の大半を賄えるようになると試算しています。
国立環境研究所の地球システム領域、小端拓郎特別研究員、
太陽光発電とEVを組み合わせることで非常に経済性の高い方法で二酸化炭素削減が可能になる。
"ソーラーEVシティー"を進めていくことが重要。
国立環境研究所が提唱するソーラーEVシティーとは住宅などの屋根に太陽光パネルを設置して、EVを蓄電池として使います。
そうすることで昼に発電した余剰電力をEVに貯めて、夜にその電力を使うことで都市で消費する電力の大半を賄うことができるというものです。
建物の屋根の70%に太陽光パネルを設置して、乗用車をすべてEVに置き換えた場合、全国9都市で試算すると最下位の東京23区でも電力需要の53%が賄え、トップの岡山市は95%gは自給できることが分かりました。
太陽光パネルの価格は今後10年で半額くらいになる。
EVの価格も今後安くなっていくので非常に効率の高い脱炭素化を行える。
太陽光パネルの価格が下がったことで新たなサービスも登場。
去年10月、夢のマイホームを手に入れた西田さん一家です。
屋根の上に設置したこの太陽光パネル、通常工事費を含めて150万円ほどかかりますが…
西田篤史さん、
無料です。
無料でもらえて、使っている昼間の電気もほぼ無料。
太陽光パネルを無料で設置するサービスで全国に事業を急拡大しているのがベンチャー企業のシェアリングエネルギーです。
シェアリングエネルギーの古賀恵美子取締役、
太陽光でつくった電気を自宅で使って、余った電気を電力会社に売り、収益を得ている。
このサービスは無料で太陽光パネルを設置し、最大で2年間昼の電気代をタダに。
それでも収益をあげられるのは余った電力を10年間、シェアリングエネルギーが買い取って電力会社に売っているからです。
住宅用の屋根は空いている場所の活用になる。
もっと普及させるべき。
都市で太陽光パネルを設置できるのは住宅だけではありません。
アイ・グリッド・ラボが目をつけたのは巨大な物流センターです。
その屋上には太陽光パネルがびっしり。その数2,500枚。
アイ・グリッド・ラボの岩崎哲取締役、
パネルを敷けるだけ敷いて、発電してクリーンな電力を使っていく。
伊藤忠などが出資するアイグリッドグループはスーパーマーケットや物流センターの屋根に太陽光パネルを無料で設置して事業を拡大しています。
すでに全国170ヵ所以上でパネルを設置。
導入した企業は大手電力会社よりも安く、再生可能エネルギーに電力を使うことができます。
一方、アイグリッドは余った電力を電力会社に売ることで収益を上げているのです。
アイグリッドが特に注目する物流センターには大きなメリットも。
発電量に比べて使用料が少ないので電力がかなり余る。
屋根では1時間に最大500kWを発電しますが、物流センターで使う電気はその半分ほどなので大量の余剰電力が生まれるのです。
アイグリッドは伊藤忠と組んで、このクリーンな余剰電力を来月から一般家庭に販売していく予定です。
太陽光パネルとEVで生まれる余剰電力をうまく循環させることで都市で使う電力をその都市で賄える可能性があるのです。
都市における二酸化炭素の排出は日本の全体の50%近くになる。
"ソーラーEVシティー"を進めていくことが重要。