公共放送、NHKの受信契約率、世帯、事業所などを含めて約81%がNHKと契約を結んで受信料を払っています。
この契約は実は放送法という法律で決められています。
放送法 第64条
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は協会とその放送の受信について契約をしなければならない。
これはつまり「テレビを持っている人はNHKと契約する必要がある」となっています。
12月6日、最高裁判所でこの契約を義務付けている放送法の規定が憲法に違反するかどうか初の判決が出ました。
日本放送協会
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12月6日の午後2時頃、最高裁判所前の大浜平太郎キャスター、
被告人の代理人の方々が最高裁判所に到着しました。
NHKの受信料の支払いを拒否した男性とNHKの間で争われた裁判。
争点は放送法が受信契約を強制しているのか?
男性は放送法に強制力はないと指摘、強制力があるとすれば「契約の自由」を認めた憲法に違反するなどと訴えていました。
一方、NHK側は受信契約は強制できると訴え、双方の主張は真っ向から対立しています。
そして12月6日、最高裁大法廷は契約の強制力について、
NHKの一方的な申し込みだけでは契約成立せず、契約者側の承諾が必要。
としました。
一方で、NHKの申し込みは拒否できないとして実質的な義務と認めました。
こうした強制的な契約は受信料制度が国民の知る権利を満たす合理的な制度と指摘。憲法に違反しないと判断しました。
また支払い義務が発生する時期についてはテレビを設置した時にさかのぼるとしました。
男性側の弁護士
最高裁の判断についてNHKから訴えられた男性側の弁護士は、
判決はなんというか、何のために大法廷でやったのかという感じ。
「契約を結ぶこと自体は義務ではない?」
「契約について承諾せよ」という判決。当然契約は成立する。
契約を結ぶことは義務。
12月6日の判決を受けてNHK側は、
判決は公共放送の意義を認めNHKの主張が認められたと受け止めている。
とコメントしています。
街の声
この判決を受けて街の反応は、
私は払っているので払うのが当然かなと思っている。
「テレビを買う」=「受信料が発生する」というのは正直、完璧にOKだとは思わないけど、NHKが運営するための費用はどこかで確保しなければいけないとなった場合、1度でも2度でも見た人たちは払うべきだと思う。
受信料の支払いに納得しているという人もいる一方で、こんな声も、
私は1人暮らしで受信料は払っていない。テレビは一応持ってますがDVDしか見ない。ユーザーが選択すべきではないか、使うメディアは。
ツイッターやSNSの方が正確ですし、早い。それで事足りるので全然問題ない。ちょっと横暴じゃないか。
最高裁の判決
今回の最高裁の判決はこのようになっています。
- 受信契約義務付けは合憲
- テレビを設置した時期からの受信料の支払いを命じる
まず、受信料制度は合憲。
NHKから訴えられた男性に関してはテレビを設置した時期からの受信料の支払いを命じる。つまりテレビを設置した時期までさかのぼって全期間の受信料の支払いを命じたことになります。
今回のこの判決によって現在、テレビがあるにも関わらずNHKと契約していないという約2割の世帯もNHKから訴訟を起こされれば受信料を全額支払う必要が出てくるということになります。
世界の公共放送
世界の公共放送はどうなっているのでしょうか?
イギリス
イギリスでは、
イギリスの公共放送BBCもNHKと同じく予算の大半を視聴者からの受信料でまかなっています。
法律上、テレビやパソコンなどでBBCを見ている人は年間約2万2,000円を支払う義務があります。
支払いを拒否すれば罰金が課せられ、過去には刑務所に送られた人もいます。
支払い率は約94%に達していますが、ロンドン市民は、
見る番組ごとに払えるようにすべき。BBCを見ないなら受信料を払う理由はない。
強制的な支払いに反発して受信料の徴収担当者を追い払う人もいます。
受信料なんて知らない!テレビは見ていない!
受信料を払っていないと分かったら警察を呼びますよ。
呼びたければどうぞ。
支払い拒否の理由にはBBCをバカにしたような言い訳もあります。理由を見ると、
金魚の救護処置をしているから払えない。
ヘンリー王子のガールフレンドだから受信料を免除されているわ。
BBCの収入の8割近くは受信料です。そのため徴収を請け負う機関も負けじと啓発動画を公開しています。
金魚の救護処置をしているから払えない?ひどい言い訳だ。
アメリカ
一方、人口約3億2,000万人の巨大市場を持つアメリカでは、
3大ネットワークやCNNなど民間放送が主体のアメリカでも公共放送というものが存在しています。それがパブリック・ブロードキャスティング・サービス(Public Broadcasting Service)、PBSという放送局です。
全米、約350の放送局で作る公共放送のPBS。
ドキュメンタリーや教養番組、さらにセサミストリートなどの子ども向け番組に強いことで知られています。
PBSは受信料制度を取らず、財源として頼るのは政府や自治体からの補助金。
さらに企業のイメージCMを流す見返りとして協賛金を集めたり、一般の視聴者から寄付金を集めたりしています。
韓国
そして韓国。
韓国の公共放送は日本で大ヒットした「冬のソナタ」を放送したKBS。
受信料は月額約250円と日本やイギリスに比べ非常に低額です。
しかも電気料金と一緒に徴収されていて引き落とされていることすら知らない人もいるといいます。
ソウル市民は、
電気料金に含まれていて、受信料を払わないと電気が止められてしまう。
2015年の受信料収入は約625億円。収入全体の約4割です。
残りはどのように稼いでいるのでしょうか?
韓国のKBSには「1」と「2」という2つの放送があり、KBS2の方にはCMが流れていて広告収入があります。
広告収入は全体の約3割でCMは報道などを放送するKBS1には流れずにバラエティーなどを放送するKBS2だけ流しています。
運営資金 | 受信料(年間) | |
---|---|---|
BBC(英国) | 多くは受信料 | 約2万2,000円(147ポンド) 罰金あり |
PBS(米国) | 政府・自治体の補助金+協賛金・寄付 | なし |
KBS(韓国) | 受信料+広告収入 | 約3,000円(3万ウォン) 電気代と同時に徴収 |