いま若者を中心に昭和レトロがブームとなっていますが、中高年の間では昭和のクルマが人気となっているそうです。古き良き名車をどう甦らせるのでしょうか。
よみがえる昭和のクルマ!レストアで新車同様に!?
大阪湾を望む公園の駐車場。そこにやって来たのはちょっと懐かしいクルマたちです。
こちらは「スカイライン 2000GT-R」、通称ケンメリ。
てんとう虫の愛称で親しまれたスバル360も。
どのクルマもまるで昭和からタイムスリップしたかのようにピカピカです。
しかし、驚くのはこれから。ボンネットの中には派手なエンジンを積んでいます。これは一体?
全部、色を塗り替えてレストアした。
フルレストアして悪い部品は替えた。
古いクルマのエンジンや内装を直して新車のように甦らせるレストアが人気となっているのです。
女優の伊藤かずえさんも去年、バブル期を象徴する高級車「シーマ」をレストアして話題になりました。
イベントを主催する関西舞子ドットコム
石塚只弘代表
80年代、90年代のクルマを買って乗ってくる。
古いクルマが今はやりなんだと思う。
こちらはお父さんたちの憧れだった7代目クラウン。走行距離は46万キロを超えていますが、新車の時からのビニールがそのままなのが自慢です。
オーナー
中屋正規さん(41歳)
やっぱり今のクルマにないところ、豪華な感じ。
クルマが一番クルマらしい。
次の20年、30年乗れたらいい。
そんな国産車のレストアブームに対応しようと自動車ディーラー「ネッツトヨタ富山 本店」も動き始めました。
新車の隣には往年のトヨタの名車が誇らしげに展示されています。これは全てレストアしたクルマ。
新車を売る傍ら旧車を修理するレストア事業に本格的に乗り出したのです。
一体なぜなのでしょうか?
ネッツトヨタ富山
笹山泰治社長
競合がある中での差別化要因。
技術力の高さのPRにもなる。
この会社は4年前にレストア専用のガレージを作りました。
中を覗いてみるとちょうどレストア作業の最中。
ハチロクの愛称で知られるAE86 カローラレビン。中古市場では今でもおよそ300万円で取引される人気スポーツカーです。
レストアを担当するのが林雅一さん(61歳)。この道40年のベテラン整備士です。
去年、定年退職後にレストア専門の整備士として再雇用されました。
ネッツトヨタ富山
林雅一さん
楽しい。プラモデルを作っているみたい。
錆びついてボロボロだったハチロクがガレージに持ち込まれたのが2年前。エンジンやシートをすべて取り外し、骨組みにしてから復元していきます。
新車のように復元するフルレストアとなると500万円以上かかりますが、年間30台ほどの依頼があるといいます。
この日、レストア中のハチロクのオーナーがガレージにやって来ました。
オーナー
砂崎正充さん(48歳)
この度はありがとうございます。
すごくきれいになった。うれしい。
オーナーの砂崎さん、若い頃は高くて買えなかった憧れのクルマを新車同様にレストアしてもらうことにしたのです。
オーナー
砂崎正充さん(48歳)
エンジン音が聞こえてくるような気がする。
当時の整備士が当時のクルマを手がけてよみがえらせてもらえるのはすごく誇らしいというか頼もしい。
ずっと乗り続けます。
熟練のレストア技術が古き良き昭和を蘇らせます。