新型コロナの感染拡大が続く中、8月2日から始まったのが東北・三大祭の一つ「青森ねぶた祭」です。コロナの影響で開催は3年ぶりとなります。感染のリスクが高まる可能性もある中、地元の企業からは祭りがもたらす経済効果に大きな期待が寄せられています。日本の夏を彩る祭りへの期待と課題を取材しました。
3年ぶり「青森ねぶた祭」!感染対策で規制も"大きな期待"
観客
らっせらー!らっせらー!
8月2日から始まった青森ねぶた祭。威勢のいい掛け声に観客の目の前を大迫力のねぶたが通ります。開催は新型コロナ前の2019年ぶり、例年は海外からの観光客を含め280万人以上が参加する東北最大級の祭りです。
観客
やっぱりいい。3年ぶり。外で見るねぶたは一味も二味も違う。
子どもは初めて、生まれて初めて見るので。
しかし今年は感染対策で制限もあります。青森ねぶた祭の名物「ハネト」と呼ばれる踊り子たち、以前は観客も飛び入りで参加することができましたが今回踊れるのは事前登録した人のみです。
ねぶたの数もコロナ前と比べて2割少ない17台と規模を縮小して開催しています。
観客
新型コロナは気になるが最低限の感染対策をして楽しめれば。
それでも3年ぶりの開催で地元では失った2年を取り戻そうと大きな期待が寄せられています。
ねぶた祭"日本一"の経済効果!100万円の観覧席がほぼ完売!
ねぶた祭の会場にほど近い青森市内のホテル「アートホテル青森」。新型コロナの影響で2年近く宿泊客が低迷していたといいます。
ただ祭りが開催されることになり予約が集中。期間中は連日ほぼ100%の稼働率となっています。
アートホテル青森
上村敦支配人
ホテル業もそれに付随する飲食業なども考えると青森市に対する経済効果はねぶたがあるのとないのとでは大きく違う。
実は青森ねぶた祭はその地域内の経済に与える影響が全国で最も大きい祭りとされ、例年の経済効果は推定で505億円。
青森を支える一大イベントに今年は新たなチャレンジも。
オマツリジャパン
菅原健佑さん
今回ホテルの敷地に1階席と2階席の1日限定3組のプレミアム観覧席。
ホテルの敷地内に特別な観覧席を設置。密にならない空間で青森の特産品6品とそれぞれにあったお酒が飲み放題のプランです。価格は1階席が20万円、2階席は100万円と高額ですが、ほぼ完売に近い売れ行きだそうです。
オマツリジャパン
菅原健佑さん
誰でも無料で観覧できるのが長らく日本では続いてきたが、お金を出してでもひとときをリッチなものにしていきたい、プレミアムにしていきたいというお客様がしっかりいる。
一方、地元の商店は…
甲州屋
内藤亘社長
非常に売上は上がってきている。まさにきょう、ねぶたということで観光客がたくさん買ってくれて非常に懐かしい忙しさ。
創業は明治28年の甲州屋。長年ねぶた祭とともに歩んできたといいます。普段は洋服などを取り扱っていますが今回、オリジナルねぶたグッズ100点以上を揃えました。
ただ今年はまだ新型コロナの影響が色濃く残っているといいます。今年のねぶた祭では踊り手が事前登録制になったため例年、踊りに参加したい人のために行っていた衣装レンタルは中止に。収益の大きな柱がまだ戻っていないといいます。
甲州屋
内藤亘社長
リアルな数字を見ると決して2019年以前に戻ったわけではなくて、まだまだ半分以下ではあるがここからがスタートだと思う。
コロナ禍での祭り開催!「高円寺阿波おどり」苦渋の決断
新型コロナ渦で過ごす3年目の夏。全国では京都の祇園祭や高知のよさこい祭りといった日本を代表する祭りも3年ぶりに復活しましました。
一方で7月に行われた栃木の山あげ祭では参加者などの間で大規模なクラスターが発生。これまでに140人以上が陽性となり、コロナ禍での実施の難しさが浮き彫りとなっています。
こうした中、通常開催の中止を余儀なくされたのが東京を代表する祭り「高円寺阿波おどり」です。毎年およそ100万人が訪れ、東京の夏の風物詩となっていましたが3年連続で開催が見送られました。
阿波おどりを主催する振興協会は…
高円寺阿波おどり振興協会
冨澤武幸専務理事
街路を封鎖して行うので踊り子・見物客・商店街の利用客・通行人を分けることがなかなかできない。
この現状では難しいだろうという判断に至った。
屋外での踊りができない代わりに今年は地域の劇場を使った屋内公演を実施予定。ただ外での開催とは違い観客の数や企業などからの協賛金も限られるため運営する振興協会の収入の減少が課題となっているのです。
高円寺阿波おどり振興協会
冨澤武幸専務理事
五里霧中というか闇の中で手探りで運営しているような状況。
番組スタッフ
高円寺阿波おどりがなくなってしまう可能性もあるか?
高円寺阿波おどり振興協会
冨澤武幸専務理事
そういう危惧をわれわれはいつも抱きながら日々を過ごしている。