ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS]農家では種の争奪戦も!?常識破る「黄金のスイカ」とは[ナント種苗株式会社]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

8月10日、東京都心では今年15回目の猛暑日となるなど各地で厳しい暑さが続いています。こうした中、食べたくなるのが甘くて冷えたスイカです。実はいま黄金のスイカと呼ばれる新しい品種が登場し、一部の農家の間ではその黄金のスイカの種をめぐって争奪戦も起きているといいます。一体どんなスイカなのでしょうか。

"3日間で2玉しか入荷なし"幻のスイカ「金色羅皇」とは

埼玉県川口市にあるイオンスタイル川口。お盆のお供え用や夏が旬のフルーツがたくさん並んでいます。そんな中、今年に入り人気が急上昇しているのが金色羅皇という新種のスイカです。

イオンスタイル川口
農産マネージャー
後藤佑介さん

去年と比べて4倍売れる日がある。

この金色羅皇、幻と呼ばれるほど非常に入手困難な品種となっていて、この店では2~3日に2玉程度しか入ってこないといいます。

イオンスタイル川口
農産マネージャー
後藤佑介さん

品出しで持ってきた瞬間にお客様が待ってるときがある。
「金色羅皇探してたのよ」というお客様もいる。

幻のスイカ「金色羅皇」とは!常識破り"糖度20度以上"も!?

金色羅皇とは一体どんなスイカなのでしょうか。収穫のピークを迎えた長野県松本市の大月農園を訪ねました。

スイカ農園を経営
むぎわらぼうし
大月征典社長

これが金色羅皇。これで9~10キログラム。
今年は長野県、天気に恵まれて大きくなった。

割ってみると金色に近い真っ黄色。さらに…

スイカ農園を経営
むぎわらぼうし
大月征典社長

糖度が普通の赤いスイカよりも高め。それが一番の特徴。

糖度計を使って測ってもらうと…

スイカ農園を経営
むぎわらぼうし
大月征典社長

15.9度。
普通の赤いスイカは11.5度~12度で甘いと判断される。かつてない糖度。

スイカでは常識破りとされる糖度、食べてみると…

番組スタッフ

甘いです。食感やみずみずしさはスイカそのものですが甘さはメロンや柿を食べているような、それに近い甘さがします。

通常のスイカより4日延ばすなど手間がかかりますが1,000~1,500円程度高く売れます。

スイカ農園を経営
むぎわらぼうし
大月征典社長

特徴をもった赤色のスイカはここ数十年見受けられない。
どこのメーカーも出すスイカは似たり寄ったり。限界がみえてきた。
金色羅皇の登場で新しいマーケットが開拓できたのではないか。

しかし、この金色羅皇をめぐってある問題が。種が入手しにくくなっているというのです。

スイカ農園を経営
むぎわらぼうし
大月征典社長

今年はなんとか行き渡ったが、それでもまだ限定的に種を配分した感じ。
種がない

金色羅皇の種を開発したのは奈良県にあるナント種苗。開発には8年かかったといいます。

ナント種苗
研究開発部
宇野康之さん

品種を開発するというのは時間のかかる仕事。
8年はむしろスムーズに進んだぐらい。

現在、全国に生産者が拡大し、中には糖度20度以上の金色羅皇を育てた業者も出てきました。今後は種のさらなる需要の高まりが予想されますが…

ナント種苗
研究開発部
宇野康之さん

たくさんの生産者が作るとどうしても当たり外れが出てくる。
とにかく当たり外れを少なくするため栽培技術を指導する環境を整えていかないと生産量は増やせない。

国内2店舗でしか食べられない!?幻の黄金トマト「ティアラム」。

一方、都内のイタリアンレストラン「VINO HIRATA」。ここでも黄金のスイカに引けを取らないある珍しい黄金の食材が使われています。

厨房を見せてもらうと…

VINO HIRATA
仁保州博オーナーシェフ

黄色いトマト。

「ティアラム」と名付けられたこちらのトマト。南イタリアのプーリア州で夏の間にしか収穫できず、ほとんど市場に出回らない品種です。

VINO HIRATA
仁保州博オーナーシェフ

ミキサーにかけて塩を入れて食べるだけでもおいしい。

こちらの店ではそのティアラムをズワイガニと和えたパスタなどに使用。甘みが強いのが特徴で塩を加えるだけで濃厚なソースに仕上がるといいます。

峰村美穂記者

すごく甘みが強く感じられます。
一般的な赤いトマトより甘みや旨みが強く感じられます。

希少性が高いティアラム、現在国内でレギュラーメニューとして提供しているのはこの店を含めてわずか2店のみとなっています。

VINO HIRATA
仁保州博オーナーシェフ

お客様の反応はいい。何の抵抗もなく「おいしいね」と。
いろいろんま別の料理に変えながらメニューを考えていきたい。

"黄金のトマト"缶詰販売へ!三井物産 種子ビジネスの狙いは

そのティアラムを開発したのがイスラエルの種子会社。このイスラエルの種子会社を2017年に買収し、国内の一部の飲食店にティアラムの供給を行っているのが三井物産です。

三井物産
種子事業室
吉川周太郎室長

古くから肥料や農薬を扱ってきている中で気候変動や消費者ニーズの多様化に応えるため種子というソリューションに注目した。

いまティアラムの国内での本格展開に乗り出そうとしています。第1段となるのがティアラムの缶詰。「幻の黄金トマト」と銘打ち一般販売を計画しています。

三井物産
種子事業室
吉川周太郎室長

この夏に収穫した鮮度そのものを詰め込み、皆さんに届けるには、やはり缶詰が一番適している。

三井物産にとって種の開発から販売まで行うのは初めての事業となります。

この日訪れたのは高級食品スーパーを展開する紀ノ国屋。9月から紀ノ国屋での店頭販売を目指していて、この日は詰めの商談が行われました。

価格は1つ800円程度になる見込み。100円も切るトマト缶もある中、強気の価格設定ですが…

紀ノ国屋
営業本部
佐々木哲副本部長

「いまさらトマトの缶詰か」と感じたが実際食べてとてもおいしい。
ちょっと高い商品だがわれわれとしてもチャレンジしたいと思った。

今後はティアラムの種を日本に持ち込み、国内栽培なども視野に入れているといいます。レストランへの提供や缶詰の販売はその土台作りの一環なのです。

三井物産
種子事業室
吉川周太郎室長

イタリアのトマトソースを生から作ることを日本に持っていきたい。
それには日本の栽培環境にあった品種を選別して持ってくる、もう一段階突っ込んで取り組んでいきたい。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-,