地域の奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は滋賀米原市にある羽毛製品メーカーです。幅広い層に支持される主力のダウンジャケット、人気の秘密は思わぬところにありました。

滋賀・米原市 羽毛製品メーカー
注目の国産ダウンジャケット!
東京・お台場にあるアウトドアショップ「WILD-1 デックス東京ビーチ店」。

キャンプ、登山用品を始め、冬に向けたアウトドアウェアなどもたくさん揃っています。
いま注目を集めているのが…
WILD-1 デックス東京ビーチ店、森田千鶴さん。
こちらが人気のオーロラダウンジャケットです。

高い保温機能に加え、防水性能も万全のダウンジャケットです。

日本製で一つ一つ手作業で縫製され、生地自体に独特の光沢があり高級感を生んでいます。しかも、634グラムという軽さです。


1着4万円という手の届きやすい価格で素材や品質の高さから毎年売り切れる。

このオーロラダウンジャケットを作っているのが「ナンガ」という聞き慣れない企業です。

人気の"ダウン"その秘密は
滋賀県米原市。昔から真綿の一大生産地として知られるこの知に1941年に創業したナンガ。


従業員100人、売上高は28億円に上ります。

主力となるダウンジャケットはアパレルブランドとのコラボレーション製品も多く手掛けています。

ナンガの横田智之社長。
熟練された縫製工たちがアイデアを持ち寄ってサンプルを作り量産製品を一枚一枚丁寧に作っていく。

生地は機械で一定の長さに広げる。同じ大きさのものを何枚も作成。
無駄な生地を減らすため設定されたデータに基づき自動裁断機で細かく部分ごとに裁断していきます。


裁断された生地を熟練の縫製職人が一枚づつ丁寧に仕上げていきます。

ナンガでは厳しい検査をクリアしたヨーロッパ産の良質な羽毛にこだわります。

国内屈指の羽毛加工メーカーにより羽毛のホコリや汚れ・あかを極限まで落とす高度な洗浄がされ、羽毛特有の匂いもほとんど無く、フワッとした保温性の高い羽毛に。

ジャケットの中に羽毛を吹き込みます。
丁寧な縫製で仕上がるこの国産オーロラジャケットシリーズは年間1万着を売り上げているのです。

そして人気の秘密がもうひとつありました。

オーロラテックスという生地。独自開発した浸湿・防水性に優れる素材。

ダウンジャケットのメインの生地としても使っている。

水をはじく撥水性と汗で蒸れにくい性質を兼ね備えています。


雨の時に内側は汗による嫌な蒸れを削減すると同時に防水もしてくれる独自の素材。

実は元々、ナンガの主力製品であった寝袋用の生地として開発されたのです。

布団から寝袋 そしてダウンへ
ナンガとはヒマラヤの標高8,000メートル級のナンガパルバットから。

困難にも果敢に立ち向かうという挑戦の気持ちを込めて名付けられました。
元々は真綿布団の加工会社として創業したのですが…

コスト削減の影響で真綿布団の縫製作業が海外にシフトし、下請けの仕事が激減。


そこで長年培ってきた縫製技術と羽毛のノウハウを生かせる寝袋の製造を開始しました。

転機を迎えたのは2002年、先代を越えようと製造を始めたダウンジャケットでした。

今いるスタッフ、今いる素材を使ってどんなイノベーションを起こしていくか。

ダウンジャケットは素材・羽毛・ミシンの共通点がある。

初年度に600枚のオーダーが入りましたが当時はまだアパレル製造を始めたばかり。

結果として納期に遅れ、採算も赤字になるなど散々な状況でした。

当然初めからできるわけではないので、ゼロの状態から学んでいくのは学ぶことの方が多かった。

そして再び依頼が入ると、マジックテープのカットを事前に仕込むなど多くの工夫をこらし、会社の信用も上がってきました。
ダウンジャケットは何のために着るかと言われると防寒。

寒さを防ぐために何が大事かと言われると絶対的な信用が必要。

寝袋メーカーが作っているダウンジャケットという信用が大きかった。

その後はメーカーとのOEMを通して加工技術を磨き、現在では年間15万着のダウンジャケットが製造できるまでになりました。


寝袋も今年8月、1.4kg未満の超軽量のものとエアマットがセットになった商品をクラウドファンディングで販売すると、目標金額のおよそ150倍となる7,500万円を売り上げました。


この小さな町工場から始めた会社が日本である程度知名度を得られた。

日本だけでなく海外に通じるのかを試していきたい。
