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[WBS][3.11 震災から10年!復興は今]津波で"存続の危機"日中の絆[株式会社長根商店]

2021年3月10日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

東日本大震災から10年。

震災の影響で倒産した企業はこれまでに2,000社を超える中、ある絆をきっかけに奇跡的にも経営再建に成功した被災企業があります。

株式会社長根商店

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岩手県洋野町。10年前、この港町を最大12メートルの津波が襲いました。

その海岸から1キロほど、被災した企業、長根商店があります。

従業員は17人、創業70年のきのこ専門の食品会社です。

社長の長根繋男さん、10年前の津波で会社存続の危機に立たされました。

ここが倉庫があった場所。

コンクリートの部分が倉庫だった。

加工する1年半分の原料(きのこ)がすべて入っていた。

海沿いにあったきのこの倉庫は今も更地のままです。

震災翌日、倉庫を訪れるときのこが詰まった青い樽は流され散乱。

被害額は1億円に上りました。救いは従業員が全員無事だったこと。

物に対しては「流された」という残念な部分はある。

人災がなかった、あったら多分会社を続けられなかった。

全てのきのこを失い途方に暮れていたとき、意外な場所から救いの手が…

鄒濤(スイトウ)さん。

すごく真面目で信頼できて、震災後すぐ電話をくれた。

「大丈夫?何でも声をかけてね」

中国の兄弟みたいな関係を保っていま仕事をしている。

岩手から4,000キロ。中国南部の雲南省。

きのこでつながる絆を追って山間部に向かいます。

ここできのこを栽培しているのが長根社長が兄弟と慕う鄒濤さんです。

手にしていたこちらのきのこは、

こちらは「ヤンドゥジュン」。

日本語で「アミガサタケ」。

貴重なきのこで高級食材。ヨーロッパを始め世界で有名。

長根社長は珍しいきのこの栽培を学びたがっていた。

鄒濤さんは25年前、研修生として来日。長根商店で加工技術などを学びました。

当時の写真を鄒濤さんも大事に持っています。

長根商店で勉強したいた写真。社長も一緒。

いつも私に丁寧にしてくれた。

10年前のあの日、鄒濤さんは津波が襲う様子をニュースで見て衝撃を受けました。

さらに長根商店の被害を知り、すぐに行動に出ます。津波で流されたきのこと同じ量をつてを頼り、急ぎかき集め岩手へと送ったのです。

その後、原発事故の影響で岩手県などのきのこが採れる場所が制限。

これは長根商店に送る。

長根商店も影響を受け、そこで国産だけでなく鄒濤さんの手も借りて中国産のきのこを取り入れたのです。

コロナ禍で長く往来ができない中、この日、久しぶりの対面です。

元気?

会長、社長、元気ですか?

こちらの天気はいいです。まずますの量が採れる。

鄒さんからちょうど10年前の震災のとき、「大変だ」と思っているとき電話をもらった。

うれしかった。

当然です。

必要なことがあれば何でも全力で支援します。

長根社長は震災後、雲南省を何度も訪れています。

鄒濤さんとの絆から新たなビジネスがスタート。

岩手の長根商店では、工場の横に一昨年小さな食堂がオープン。珍しいきのこを使った料理を目当てに地元だけでなく県外からもお客様が訪れています。

人気は9種類のきのこが入った自慢の鍋。

日本では珍しいあのアミガサタケも入っています。

中国で鄒濤さんが手塩にかけて育てたもの。

長根商店の売上は震災前の7割まで回復しました。

震災から10年、日中の知られざる絆。

中国と日本は太平洋で隔てられているが私と長根社長の友情は変わらない。

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