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[モーニングサテライト]「大浜見聞録」電子レンジの技術を応用!マイクロ波で脱炭素[マイクロ波化学株式会社]

モーニングサテライト

「大浜見聞録」です。今回取り上げるのは6月に東証グロース市場に上場したばかりのマイクロ波化学という会社です。

社名になっているマイクロ波は300メガヘルツから300ギガヘルツの電波のことをいいます。テレビや衛星放送、携帯電話などに使われる電波です。もっとわかりやすいところでは家庭にある電子レンジに使われているのもマイクロ波です。電子レンジで食品を温めるときに器はそれほど熱くならないけど中の食品は熱くなる。これは食品の中に含まれている水分に作用してちょうど発熱できるような周波帯にマイクロ波を設定しているからです。

このマイクロ波化学という会社はこの技術を化学産業の脱炭素化に結びつけようと取り組んでいる企業です。

電子レンジの技術を応用
マイクロ波で脱炭素

マイクロ波化学は2007年に創業した大阪大学発のスタートアップ企業です。

塚原保徳さんは共同創業者のひとりでマイクロ波を使って化学産業の脱炭素化を進めようと研究に取り組んでいます。

マイクロ波化学
塚原保徳取締役CSO

物質によってマイクロ波を吸収する能力。周波数が異なるのでここで検証する。

まず見せてくれたのは液体にマイクロ波を当てる様子です。実はこの分析作業自体が強みのひとつだといいます。

物質を熱くするために重要なのはマイクロ波を吸収しやすい周波数帯を探ること。最適な周波数帯は物質の種類や不純物の含まれ方によって違うため丁寧に調べる必要があります。

さらに周波数帯だけでなく、温度によってもマイクロ波の伝わり方が変わります。

この装置を使ってさまざまな温度帯で分析を進めます。

マイクロ波化学
塚原保徳取締役CSO

1,000度、2,000度まで加熱が可能。

試行錯誤をしながらの作業が進みます。集めたデータをもとに発熱させる物質を入れる反応容器の設計にも取り組んでいます。

マイクロ波化学
塚原保徳取締役CSO

反応容器でマイクロ波がどう広がるかが設計の肝になる。

物質に効率よくマイクロ波を吸収させるには精度の高いシミュレーションが必要です。

マイクロ波化学
塚原保徳取締役CSO

スパコンを2台投入しているが限界。
今後は量子コンピューターに適用させる。
より精度の高い反応容器ができる。

マイクロ波化学は火力などに頼っていた工程にマイクロ波を活用することで脱炭素化に役立つと考えています。

例えば製鉄や石油の精製などで物質に熱を伝えるには火力などで加熱する必要があります。結果として多くの二酸化炭素が排出されることになります。

一方、マイクロ波は電子レンジと同じように対象物質に直接エネルギーを伝えて発熱させる仕組みです。エネルギー消費を減らし、二酸化炭素の排出量を大幅に削減できます。

この技術をなんとか工場の実用化レベルに落とし込もうと出資者やパートナー企業を募って実証施設を立ち上げました。

現在、8社のパートナー企業が実証実験を行っています。

マイクロ波化学
塚原保徳取締役CSO

現在は全部埋まっていて、次の施設を考えている段階。

見せてもらったのは三菱ケミカルグループと共同で進めているアクリル樹脂を分解する実証実験の設備。

使用済みのアクリル板や車のランプカバーなどをチップ状に細かくしてマイクロ波で発熱させて分解、気化させます。それを冷やして液体とし、樹脂の原料としてリサイクルするのです。

従来は火力を使っていましたがマイクロ波で二酸化炭素の排出量を大幅に削減できると手応えを感じています。

三菱ケミカルグループ
PMMA技術部
岸澤明部長

従来の化石由来のものに比べると約70%のCO2を削減している。

すでに2024年には商業化が決まっています。

三菱ケミカルグループ
PMMA技術部
岸澤明部長

まじは商用機をスタートさせて、サステナブルな樹脂を知ってもらう。
幅広くアクリル樹脂を使って欲しい。

マイクロ波化学はマイクロ波の技術を提供し、企業は二酸化炭素の大幅削減を実現するという事業モデルは化学産業を変えるのでしょうか。

環境問題や資源高への対応でマイクロ波への注目度は高まっています。パートナー企業も増え、今期の売上高は11億円を予想。ようやく黒字化のめどが立ち始めたといいます。

吉野社長に話を聞きました。

マイクロ波化学
吉野厳社長

引き合いが年間600社以上ある。半分近くがカーボンニュートラル関係。
従来の技術の延長線上ではCO2は5%とか10%ぐらいは削減可能。
半分に減らすとか、ゼロにするならば全く違ったことをやらないといけない。

吉野社長が特に期待しているのが鉱物資源の分野だといいます。

今年7月に青森県の六ケ所村にある量子科学技術研究開発機構と協力して、マイクロ波でリチウム鉱石を溶かすことに成功しました。

平太郎の「へぇ~」ポイント
レアメタルの分野でもマイクロ波を活用

ここで「平太郎の『へぇ~』ポイント」、レアメタルでもマイクロ波を活用。

マイクロ波化学
吉野厳社長

鉱山では膨大なエネルギーを使ってリチウムなどを取り出している。
マイクロ波を使い、低温で効率よく精製する技術を開発している。

従来と比べマイクロ波を利用することで二酸化炭素排出量を9割以上減らせるとみています。

2028年の商用可を目指し、海外でのプラント展開も視野に入れます。

マイクロ波化学
吉野厳社長

いろいろな会社と提携して技術を広めれば事業の成長率は大きくなる。
顧客の課題を解決するほど、われわれの技術が鍛えられて強くなる。

マイクロ波を使った発熱技術は脱炭素社会を大きく前へと進めることになるのでしょうか。

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