新型コロナの影響で飲食業の倒産は今年800件を上回り過去最多となりました。
その影響が及ぶのが伝統ある日本酒の酒蔵です。生き残りをかけた老舗はオーダーメイドという新たな手法に乗り出しました。

福顔酒造株式会社
[blogcard url="https://www.fukugao.jp/"]
記録的な大雪となった新潟県。

この地にある異変が起きていました。

新潟市内にある酒蔵では…
中村寛人記者、
新型コロナによる経営悪化で来年3月で休業が決まったということです。

こちらの越後伝衛門という酒蔵、飲食店の不況で日本酒の売上が減少。休業に追い込まれました。


酒の町、新潟が揺れています。
明治30年創業の福顔酒造です。

看板商品の純米大吟醸「越後平野」。上品な甘みと香りが特徴です。

こちらはその酒蔵。熟練の職人達が手作業で原料の米を蒸し上げ、自然の冷気で冷やす昔ながらの製法で作っています。

この酒蔵も苦しい状況にありました。
タンクの中を見せてもらうと…
福顔酒造の小林章社長、
量的に少ない。在庫もある。

新型コロナの影響で生産量を3割ほど落としているといいます。

例年なら忘年会など日本酒の受注が多くなりますが、今年は違います。
この第3波の大きい衝撃。飲み会の開催は期待が薄い。

正直、先行きが見えない。不安がいっぱい。

原商株式会社
[blogcard url="http://www.sake-harasho.com/"]
新潟県では日本酒離れの影響で出荷量は年々減少。そこにコロナが直撃し、減少に拍車が掛かると見られています。

こうした中、酒蔵を救おうという動きも。日本酒の販売を手掛ける原商。

次々と運び込まれてくるのは新潟各地の日本酒です。

中にはこんなものも…
原商の高橋一誠さん、
越後伝衛門の商品だが、こちらの蔵は来年3月で休業する。

行き場を失った日本酒を買い取り、格安で販売する取り組みをスタートしました。それがロスゼロ「酒蔵支援」です。

銘酒の日本酒需要を狙い12月4日から格安販売を始めています。
原商の原和正社長、
中小の酒蔵は本当に頼るところがないところもある。

酒蔵を応援したいという気持ちで利益を多少削ってでも販売していきたい。

株式会社武蔵野酒造
[blogcard url="https://www.musashino-shuzo.com/"]
一方、百年以上の歴史を持つ老舗の酒蔵も大胆の改革に踏み切りました。

「こちらはどういった場所か?」
武蔵野酒造の営業企画課、荻原亮輔部長、
こちらはお客様がオーダーした純米大吟醸。

香りがあるもので辛口の純米大吟醸がいいということで。

11月から始めたのが日本酒のオーダーメイドです。

およそ1億2,000万円をかけ生産を開始しました。

味を決めるのは酵母、こうじ菌、コメの3つ。

お客様は香りに変化をつける酵母を10種類から選択。

味わいを変えるこうじ菌は5種類から。

原料のコメは4種類から選択。飲み口が変わります。

生産量は下がりますが飲食店や個人の新たなニーズを取り込み生き残りを図ります。
注文は30本程度から受け付けていて、世界に1つの味を実現できます。

武蔵野酒造の大島誠社長、
洋服と同じようにオーダーメイドの日本酒を造ることができる。

今までは自分の酒造で造った酒を買ってほしいという売り手側の理屈。

これからは消費者側からの要望に応えた酒を造る。

取り組み方が逆になる。そこに商機がある。
