株式会社良品計画
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東京。・有楽町にある無印良品。生活雑貨やインテリアなど独自のブランド商品を約7,000点揃えています。
そしていま力を入れているのが家電製品。特に統一感があるキッチン家電にはファンが多く2014年にはグッドデザイン賞を受賞しています。
これらを手掛けてきたのが株式会社良品計画の家電の開発責任者、生活雑貨部の池内端さん(40歳)。
いま新たなものを生み出そうとしていました。
それが全く新しいコンセプトのコーヒーメーカーです。
「豆」を生かせる機械がないので、そこをしっかり作っていきたい。
その開発にあたり、池内端さんが目標とした人物がいました。
その人が株式会社ミカフェートの川島吉彰社長。
川島吉彰社長
川島吉彰社長はかつては大手コーヒーメーカーなどに勤務。世界中でコーヒー豆の栽培技術を指導する、この道40年のプロです。
日本航空株式会社の機内で出されるコーヒーも監修。日本を代表するコーヒーのスペシャリストです。
コーヒーはフルーツだから。フルーツって何が楽しみかというと甘みと酸味。それをぜひ楽しんでほしいし、再現できる機械ができれば最高。
池内端さんは川島吉彰社長が入れるコーヒーの味を家電で再現しようとしていました。本当にそんなことができるのか?
ツインバード工業株式会社
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コーヒーのプロ、株式会社ミカフェートの川島吉彰社長が入れる味。その一流の味をコーヒーメーカーで再現しようという株式会社良品計画の池内端さん。
11月上旬、無印良品を展開する株式会社良品計画の本社。
この日、試作機の第一号が届きました。
池内端さんは今回、新潟県の家電メーカー、ツインバード工業株式会社に製造を委託しました。その責任者が金子収さんです。
実際に飲んでみるのが一番ですね。
一体どうやってプロの味を再現しようというのでしょうか?
まず豆を挽きます。プロと同じように豆が均一に挽けるように設定。お湯の温度は川島吉彰社長オススメの87度。
抽出方法は川島吉彰社長直伝です。まずお湯で全体を湿らせたら一旦止めて蒸らします。時間は30秒。そして再びお湯を投入。真ん中付近で円を描くように注ぎます。
これを再現したのが独自に開発した「斜めシャワー方式」。注ぎ口を内側に向けているのでお湯が真ん中付近に集まります。
こうしてプロが入れる一連の動作をこの機械で忠実に再現しようとしているのです。
まさに究極のコーヒーメーカー。
いい香りですね。口の中がコーヒーを欲している。
豆を挽き始めてから約8分で抽出が完了。果たしてその味は?
若干、キレが甘いような気がする。
あっさりした感じ。
プロの入れ方を再現したはずですが一体何が原因なのか?
ミル
池内端さん、試作機を分解してチェックしてみることにします。
どうですか?
肝心の「ミル」が、ちょっと見てもらった方がいい。カッターの角が出ていない。
問題とされたのが「ミル」という豆を挽く部分。刃の鋭さが足りないというのです。
豆をひいた時にしっかり切れないという現象が起きている。
実はこのミルには大きく2つのタイプがあります。
ひとつは一般的なコーヒーメーカーが採用しているブレードグラインダー。1枚の刃を高速回転させて豆を砕きます。粒にバラツキが出るのが欠点。
一方、コーヒー専門店でよく使われるフラットカッター、向き合う円盤状の刃で豆を挽きます。粒にバラツキが少ないのが特徴です。
2つを比べると一目瞭然。この粒のバラツキの違いはコーヒーの味を大きく左右するといいます。
このフラットカッターミルが採用されていなかった、家庭用のコーヒーメーカーでは。これを入れたことで美味しいコーヒーが安定して淹れられる。
株式会社日研シェルモールド
11月中旬、新潟県小千谷市。
池内端さんがやって来ました。訪ねたのは株式会社日研シェルモールドという会社です。
株式会社日研シェルモールドの品田明憲社長。
株式会社日研シェルモールドは昭和48年創業、従業員は18人。鉄を溶かして固める鋳造技術に定評があり建築資材や自動車部品などを製造しています。
うちは砂を焼き固めるやり方をしている。
砂を焼き固めて作ったというフラットカッターの砂型。何枚も重ね合わせ溶けた鉄を流し込むことができます。一度にたくさんの部品を作れることが特徴です。
冷めてから砂型を叩くと中から鋳造品が現れます。こうしてフラットカッターが作られていました。
少ない工程でできるのでコストダウンには向いている。
池内端さん、やはり刃の部分が気になる様子です。
砂型ではエッジの尖りまではいかない。
品田明憲社長、すでに対応策を考えていました。
こちらで1個1個、目で見ながら仕上げています。
手作業でフラットカッターの表面を研磨していたのです。
早速チェック。すると、
しっかりエッジは立つようになっているが、
表面を研磨した分、丸みは取れています。しかし池内端さんが気になったのはこの加工方法でした。
職人さんの体調でずれる可能性もあるので、どう安定させるか。
コストと生産性を考えると手作業は避けたいというのです。品田明憲社長、一体どう改善するのでしょうか?
品田明憲社長
11月下旬、新潟県小千谷市にある株式会社日研シェルモールドの品田明憲社長。
株式会社良品計画から新たなコーヒーメーカーに使うカッターの改良を求められていました。
コーヒーの豆をひくにあたって、そこまで精度がいるとは思わなかった。コーヒーのひき方のこだわりが感じられた。
品田明憲社長、株式会社良品計画側のこだわりにどう応えるのか。新たな方法を模索します。
カッターの改良
12月中旬、そのカッターの刃を鋭くするため品田明憲社長、ある方法をカタチにしました。
一緒に開発する家電メーカーのツインバード工業株式会社の金子収さんは、
この表面を安定して平らにするため治具を作った。
カッターの表面を研磨するために作られた治具。
切削前のカッターをセットして、刃物が下りてきて削ります。
まずはカッターを動かないように台座に固定。その表面を削るのが台座の上にある治具。それを高速回転させます。そしてカッターの表面を研磨していく仕組みです。
1回で研磨できる数は5枚。生産性も向上します。研磨していないものと比べると明らかに刃が鋭利になっています。
そして厚みの精度は、
7.01ミリ。7.00ミリ。誤差100分の1ミリ。やっとここまで来ましたね。
こうして改良した試作機を手に株式会社良品計画の池内端さんが向かったのは…。
豆から挽けるコーヒーメーカー
1月下旬、東京・港区。
量産を見据えた最終の試作機を手に株式会社良品計画の池内端さんが向かったのは、あのコーヒーのスペシャリスト、川島吉彰社長です。
川島吉彰社長、コーヒー業界の仲間たちも集めていました。
すごくコンパクトにできたね。
プロの味を再現できるという無印良品のコーヒーメーカー「豆から挽けるコーヒーメーカー(3万2,000円)」。
そして、こだわりの機能が、
平日の朝に飲んでもらいたいと思ってタイマーの機能を付けた。夜にセットしておくと朝、コーヒーが出来上がる。
さらに豆を挽くためのカッターを見てもらいます。
この時点で美味しいコーヒーが出てきそう。ミルは大切じゃないですか。
プロの味を目指したコーヒーメーカー。川島吉彰社長の評価は?
おいしい。クリーンに出て味がしっかりしている。
集まったカフェオーナーやバリスタ達は、
甘みがあってフルーティー。僕たちコーヒー屋がやっていることを機械がやってくれている。
「バリスタ殺し」だなと。
池内端さんは、
ホッとしました。
2月の発売を控え大きな自信になったようです。
美味しいコーヒーを飲みたいお客様に本当の美味しさを伝える道具として非常に重要な機械になったと思う。
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