民主主義サミットは中国を意識したものということでしたが、その中国が大国への階段を登るきっかけとなったのがちょうど20年前、WTO(世界貿易機関)への加盟がきっかけでした。
この20年間でどのような成長を遂げてきたのかを見てます。
北京市内の目抜き通りの1990年代後半の様子です。道の両側に高い建物はなく空がよく見えています。
この場所が今どうなっているかというと自転車の代わりに車が増えて、奥の方には高い建物も立ち並んでいます。
経済の成長を感じますが、ある2つの指標を見るとその成長ぶりがさらによく分かります。
まずはGDP(国内総生産)です。2010年には日本を追い抜いて世界第2位となり、いまではアメリカに迫りつつあります。
さらに輸出と輸入を合わせた貿易総額は2013年にアメリカを抜いています。
そんな世界の経済大国に登り詰めた中国ですが、実は課題も残っています。
中国WTO加盟から20年!成長の陰で知財巡り課題も…
北京支局の杉原啓佑記者。
こちらは多くの大企業が本社を置く北京一のビジネス街となっています。高層ビルが連なるように建っています。
安い労働力を武器にした「世界の工場」、そして今では消費大国として「世界の市場」とまで言われるようになった中国。
その成長のきっかけとなったのが20年前のWTO加盟です。
2001年11月、WTOはカタールで開いた会議で中国の加盟を承認。翌12月に加盟しました。
WTO加盟を機に中国は投資のルールを整備し、外国企業の工場などを積極的に誘致。経済成長が飛躍的に加速しました。
中国の習近平国家主席。
WTO加盟後の20年間、中国は加盟時の約束を全面的に履行してきた。
加盟国となった中国にさまざまな条件を求めたWTO。特に国際社会が問題視していたのが知的財産権の保護でした。
これを受けて中国政府は商標や特許、著作権に関する各法律を改め、罰則の強化などを進めました。
しかし、今もなおトラブルが…
北京支局の佐藤真人記者。
北京市内のショッピングモールに来ています。中国のビジネスの難しさを象徴するような店がこちらです。
日本人に馴染みのある無印の文字。良品計画が展開する無印良品の正規店かと思いきや全く関係のない中国企業が経営している店なのです。
お客様は…
「この無印良品は日本のではなく、中国のブランドだと知っていますか?」
知らなかった。
店の装飾がとてもいいと思ったから入った。
良品計画は2005年に中国に進出。今ではおよそ300店舗を展開しています。
しかし、中国企業が一部の商品で良品計画よりも先に「無印良品」の商標を出願し認められてしまったのです。
良品計画は商標の使用差し止めに関する訴訟を中国企業から起こされ、2019年に敗訴が確定。
判決での賠償額は40万元(約700万円)。
別の裁判で中国企業の商品を「偽物」と思わせ、名誉を毀損したとして良品計画側はおよそ700万円の賠償を命じられました。
知財強国となることを目標に掲げる中国ですが知的財産権の扱いをめぐり外国企業からも不満は依然として残ったままです。