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[WBS]輸入牛肉が高騰する中…和牛の新たなトレンドとは[株式会社モスフードサービス]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

ある料理の平均価格を示したグラフ。10月の価格は1,021円と7年間で80円以上値上がりしていますが、その料理とはハンバーグです。材料である輸入牛肉の高騰が値上げの理由のひとつと見られています。

そして輸入牛肉が高くなることで反対に割安感が生まれ、注目されているのが和牛です。新たなトレンドを取材しました。

モス 和牛100%バーガー
「一頭買い」で手頃価格

モスバーガーを展開するモスフードサービスが12月21日に発表したのは「一頭買い黒毛和牛バーガー」と名付けた100万食限定の新商品です。

モスフードサービス
安藤芳徳上席執行役員

皆さんを驚かせる、あり得ないような商品を頑張って作った。

その名の通り、世界に誇る和牛の肉を100%使ったパティを焼き上げ、テリヤキソースを絡めてトマトやレタスとともに挟んだ高級感あふれるハンバーガーです。

しかし、価格は690円と和牛としては破格のプライスを実現しました。

そこにはある秘密が…

司会者

全19部位の肉の登場です。

実は今回の商品に使われているのは内蔵部分を除いた黒毛和牛の全19部位全てをミックスしたハンバーグなのです。

和牛の枝肉を丸ごと購入する、いわゆる一頭買いで和牛を仕入れ、サーロインやヒレといった高級部位からすね肉のような通常はハンバーグには使われない部位も使用し、低価格を実現したといいます。

果たしてその味は…

中垣正太郎キャスター

肉の弾力がしっかりしています。非常に食べ応えがあっておいしいです。
通常のモスバーガーはもちろんおいしいですが、いろんな食感の肉が混ざっていると実感します。

同じモスフードサービスが展開する高級志向の店舗「モスプレミアム」でも和牛を使ったハンバーガーを提供していますが、その価格は1,300円前後で今回の商品の2倍近くします。

モスフードサービス
安藤芳徳上席執行役員

高級バーガーとして販売している商品は部位の指定をしているので、単品では1,000円を超える価格帯になる。
1頭丸々買うということ自体、値段を下げる要因になっている。

オーストラリアなどの輸入牛を使った通常のモスバーガーは410円。今回の和牛の商品との価格差は280円まで縮まっています。

中垣正太郎キャスター

今後も国産牛や和牛を使用していく予定は?

モスフードサービス
安藤芳徳上席執行役員

国産の原料が良いメニューと輸入牛の方が値段のこともあり良い場合もある。
今回の商品は評判が良ければ定番化もしていきたい。
現在のメニューの改定もあわせて考えている。

実は今回モスが初めて取り組んだ一頭買いのハンバーガー誕生の裏側にはある男性の存在がありました。

「格之進」を運営する門崎
千葉祐士社長

肉で世界の平和。
格之進の肉おじさんです。

焼肉などの格之進を運営する千葉祐士さん。輸入牛が高騰する中で和牛の新たな可能性を切り開こうとしてきた先駆者です。

輸入牛肉高騰で注目
熟成で高級牛肉超え!?

焼肉などの格之進を運営する千葉さんの会社があるのは岩手県一関市の小学校の廃校を利用した建物です。

本社にある工場では一頭買いで仕入れた和牛のハンバーグが製造されています。

門崎 生産管理課
佐藤駿一郎課長

サーロインからバラ肉系、もも肉系、すね肉まですべての部位を使えることが特徴。
1頭すべて使えることで、すべての牛の良さを引き出せるハンバーグを製造。

輸入牛が高騰する中、千葉さんの会社が製造する冷凍ハンバーグは売り上げを伸ばし続けていて、焼肉店が苦戦する中でも会社全体では去年過去最高益を達成しました。

千葉さんは自らの目で牛肉の品質を判断。いわゆすサシの多いA4、A5といった高級牛ではなく、赤身の多いA3の肉や子どもを産んだ母牛「経産牛」なども仕入れ、コストを下げながらもおいしさと両立させています。

なぜそんなことができるのでしょうか?

門崎
千葉祐士社長

経産牛は未経産の子どもを産んでいない牛に比べればどうしても肉が若干硬くなる。
熟成の工程をすることで硬さのもとの筋膜を柔らかくする。
分解するような働き、熟成という工程。
これをやることで肉が柔らかくなっていく。

1ヵ月ほど熟成させることで肉のうま味を高めるなど独自の工夫があるといいます。

実際に高級牛肉と食べ比べさせてもらうと…

中垣正太郎キャスター

コクはこっちの方が感じるかもしれない。

経産牛を出荷するのは子牛価格の低迷で廃業も増えている和牛の繁殖農家です。

和牛繁殖農家
小林將男さん

農家にとって経産牛は副産物。
副産物が評価をもらえれば農家としては非常に助かる。

千葉さんは…

門崎
千葉祐士社長

適切に生産維持可能な金額で支えながら、食の未来に対する消費に通じた投資に一緒に参加してもらえるようなことをしたい。

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