
欧米を中心に世界で感染が急拡大しているのがサル痘というウイルス性の感染症です。これまで主にアフリカで発生していた感染症ですが、今月始めにアフリカからイギリスに帰国した人の感染が確認されて以降、急激に世界各国に広がって、現在251人ほどの感染が報告されています。このサル痘にはどのような危険性があるのでしょうか、そして日本に入り込む恐れはあるのでしょうか。
世界19ヵ国に感染拡大"サル痘"!高まる危機感 日本の対応は…
サル痘に感染した人の写真です。症状は発熱や体の痛みからはじまり、顔や手足に発疹が現れます。
感染者が最も多いイギリスでは25日までに78人が感染。
ヨーロッパ各国やアメリカのほか、中東のUAE(アラブ首長国連邦)などこれまでに19ヵ国で251人の感染が確認されています。
欧米の患者に死者は出ていませんが、各国の首脳は危機感を強めています。
アメリカ
バイデン大統領

誰もが心配していることだ。広まれば大変なことになるため懸念している。
59人の感染が明らかになったスペインはワクチンの購入を表明。
またドイツはワクチン4万回を購入したほか、感染者とその濃厚接触者全員に少なくとも21日間の隔離を勧告しました。
こうした中、日本の対応は…
松野官房長官

現時点で日本国内で感染例や疑い例の報告は確認されていない。
引き続き国内外の発生動向を監視しつつ、必要な対応を講じていく。
このサル痘、日本ではまだ確認されていませんがどのような特徴があるのでしょうか。
そもそもサル痘という名前ですが、1958年に実験動物の猿から発見されたことから名前がつきました。1970年に初めて人の感染が見つかり、それ以降、アフリカでは散発的に確認されていますが、今回世界19ヵ国で報告されたことで警戒感が高まっています。
そして症状は1977年に根絶した天然痘とよく似た特徴で高熱や悪寒に加えて顔や手足に発疹や傷ができます。
致死率は最大10%程度とされていて、まだ欧米では死者は確認されていません。
このサル痘はどのような対策があるのでしょうか。
サル痘は重症化しなければ2~4週間で自然治癒していきます。また天然痘のワクチンが有効とされています。
各国がワクチン確保に動いていますが日本の備えはどうなっているのでしょうか。
厚生労働省が天然痘ワクチンの備蓄はしていますが、これはあくまでもバイオテロ対策のもので量や保管場所などの詳細は公開されていません。ただ今後、国家備蓄の放出も含めてさまざまな検討を進めているということです。
サル痘に詳しい森川茂教授は日本での急拡大は考えにくいとしています。
岡山理科大学
獣医学部 微生物学
森川茂教授

コロナほどは感染力、広まりは強くない。
感染者や患者に近づかないこと。そういう人は隔離されているので一般の人が接触する機会はないと思う。