再び円安が加速しています。9月1日、東京外国為替市場の円相場は一時139円60銭台をつけて1998年9月以来、24年ぶりの円安ドル高水準を更新しました。円安の終りが見えてこない中、新たな現象も見えてきました。
24年ぶり円安水準更新!"野獣"に「勝利宣言 間違い」
9月1日、東京外国為替市場では一時139円60銭台まで円安ドル高が進みました。24年ぶりの水準です。
今年初めの115円から25円も円安が進む背景にあるのはアメリカの利上げです。インフレを抑えるためFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は利上げを続ける方針を強調。FRBの政策決定に携わる他の幹部からも利上げに前向きな姿勢が示されています。
クリーブランド連銀
メスター総裁

インフレという野獣に対し早々に勝利宣言するのは間違いだ。
およそ24年ぶりとなる1ドル140円台も視野に入る中、今後のカギを握るのは利上げのペースにも影響を与えるアメリカの経済指標です。
マネーパートナーズ
チーフアナリスト
武市佳史さん

あすは今週最大のイベントである米雇用統計があって、その結果しだい。
「140円」いくかは投機筋の勢いがどちらに傾くか慎重に見極める必要がある。
日本政府は…
松野官房長官

為替相場はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿って安定的に推移することが重要で急速な変動は望ましくない。
改めて過度な円安を牽制しました。
24年ぶりの円安水準更新!
ハワイの指輪の価格が…
こうした中、急速な円安で影響を受ける店は…
チャイハネ
店長

売り上げ的にも痛いですし、お客さんのことを思うと心が痛い。
輸入雑貨や衣服を取り扱うチャイハネ、全国で70店舗ほど展開していて、店内にはインドネシアやネパール、中東などから仕入れた品が並びます。
この店ではアジア地区の品が大半ですが円安の影響で仕入れ価格が大幅に上昇しているといいます。
チャイハネ
店長

もともと税抜きで4,800円だった。5,200円に貼り替えている。
ネパールの布で作っているワンピース、1ヵ月で400円近く販売価格が上がりました。
ハワイから仕入れた指輪も価格が大幅に上昇。
現在、商品の仕入れの多くをドル建てで行っているため経営への影響は大きいといいます。今後は取引通貨を生産地の通貨に変えるなど、少しでも円安の影響を抑えたい考えです。
東南アジアで"日本買い"
一方、急激な円安が追い風になっている企業も。
リユース品を中心に日本メーカーの人気ブランドなどの商品を海外の消費者向けに販売する越境ECサイトの「バイイー」です。
バイイーの今年4月から6月までの売り上げは1年前と比べて20%以上上昇。四半期の売り上げとしては初めて100億円を突破して今後もさらに伸びることを見込んでいます。
ビーノス
直井聖太社長

円安はお客様のメリットが大きくて今は売り上げが拡大している状況。
さらに円安を受けてある変化が。これまでバイイーの購入者の主な居住地はアメリカや台湾などでしたが…
ビーノス
直井聖太社長

特にASEANの中でもマレーシア、シンガポールといった国の売り上げが伸びているが、日本の高級腕時計や日本の高級ウイスキーといった比較的単価の高い商材が動いている傾向がある。
東南アジアからの商品の購入が急増しているのです。
日本のウイスキーの売り上げは1年前と比べて3倍以上。高級腕時計もおよそ1.6倍に伸びているといいます。
東南アジアでの売り上げが急拡大している理由について直井社長は…
ビーノス
直井聖太社長

経済成長の過程にあるが、まだ日本の商品を買うのは高いというのが為替が円安に振れることによって手が届く範囲になってきた。
われわれとしてはこのタイミングで日本の商品を海外に販売できるチャンスであると思っているので、勝負をしかけていきたい。