政府は12月18日、新たな防衛計画の大綱と今後5年間の中期防衛力整備計画を閣議決定しました。
注目されるのはアメリカから購入する高価な装備や海上自衛隊の最大の護衛艦を事実上、空母化することなどですが、よくよく中身を吟味してみると日本の防衛の死角ともいえる民間企業でもお馴染みのアノ問題が見え隠れしています。
防衛省・自衛隊
[blogcard url="http://www.mod.go.jp/"]
最新鋭のステレス戦闘機「F-35」。アメリカが中心となって開発されました。
中でも注目なのがBタイプ。短い滑走で離陸でき、着陸は垂直式です。つまり滑走路が短くて済みます。
政府はこれらF-35を105機、追加で購入することを決めましたが、価格は1機100億円程度、総額は1兆円に上る見通しです。
麻生財務大臣は、
いまF-35以上にいい戦闘機は他にないので、最も優れた武器を手にしておかないと、そうじゃない武器は全く役に立たない。
そういう世界なので。
さらに自衛隊最大の護衛艦「いずも」を改修して事実上空母化し、新たに導入するF-35Bを搭載する方針が盛り込まれました。
12月18日に閣議決定された新たな防衛計画の大綱と今後5年間の中期防衛力整備計画。
中国や北朝鮮の脅威を背景に最新鋭の戦闘機やミサイル防衛強化のための高額装備の調達を図りました。
さらに従来の陸海空だけでなく宇宙の専門部隊を創立することやサイバー防衛部隊の拡充なども明記されました。
こうした状況を受け、防衛費の規模は向こう5年間で27兆4,700億円と過去最高になる見通しです。
2012年の第二次安倍政権の発足移行、防衛費は増え続ける一方で膨張に歯止めがかかりません。
人的基盤
そして問題はそれだけではありません。
岩屋防衛大臣は、
いくらいい装備をそろえても人的基盤がしっかりしていないと運用できない。
自衛隊の広報動画の中に映る子どもたち。駐屯地や基地の中に設けられた託児施設の様子です。
新たな防衛大綱では自衛隊の人員確保がより重要な課題として取り上げられました。
自衛隊の充足率は定員に対していずれも9割程度、一番下の階級に至っては7割程度と現場の人手不足が深刻化。
人口減少や少子化の波が静かなる有事として自衛隊に押し寄せているのです。
このため託児施設の整備や女性隊員の勤務環境整備が予算要求に盛り込まれたほか、自衛官の定年を延長されることになります。
このほか無人偵察機「グローバルホーク」や大型の水中ドローンの導入など省人化、無人化技術の推進も盛り込まれました。
自衛隊を襲う人手不足ですが、関連する記述は防衛大綱の中でもごくわずか。
具体的な将来像が見えないのが現状です。