多くの企業がこの時期、株主総会を開いていますが今年特に目立っているのが気候変動や脱炭素に関する株主提案です。
エネルギー関連企業に限らず幅広い業種が対応を迫られています。その舞台裏を取材しました。
株式会社みずほ銀行
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伊大知明宏記者、
こちらみずほの株主総会の会場前です。環境団体による抗議活動が行われています。
横断幕には「化石燃料から今すぐ脱却を」。
なぜみずほの株主総会に環境団体が来ているのか?
国際環境NGO、FoE Japanの深草亜悠美さん、
3メガバンクは石炭火力事業への融資や炭素集約的な産業への融資が非常に大きい。
午前10時から始まった株主総会、境社長はみずほ銀行で相次いだシステム障害について陳謝。この後、株主からは経営陣の責任追及の声が上がりました。
ただ、それよりもむしろ質問が多かったのは気候変動問題についてでした。
「脱炭素社会への移行支援、具体的な施策を考えているのか?」
「二酸化炭素の排出が多い石炭関連はいわゆる抜け穴を残している。」
去年、みずほ銀行の株主総会には国内企業としては初めて気候変動に関する株主提案が出されていました。否決はされたものの賛成はおよそ34%に上りました。
みずほ銀行には融資先企業から脱炭素化に向けた相談も多く寄せられているといいます。
そこで打ち出したのが…
みずほ銀行のサステナブル・ビジネス推進室、角田真一室長、
企業の脱炭素への移行、そこに伴う資金需要に対応するために確立を目指しているのがトランジションファイナンス。
トランジションファイナンスとは現在は環境負荷が高い事業であっても脱炭素型に移行する道筋が見えているのであれば資金を供給するというもの。
すでに川崎汽船はこの仕組みで総額59億円を調達。環境負荷の小さい液化天然ガスを燃料とした自動車運搬船を購入しました。
実はみずほを始め3メガバンク全てが石炭火力事業への融資残高を2040年度までにゼロとすることを打ち出しています。
脱炭素への転換に必要な資金をいかに供給していくか。
金融機関として最大の課題。
気候変動への対応を求める声は銀行だけでなく幅広い業種にも。
先週開かれた住友商事の株主総会、石炭火力発電の建設などに関わっていることを問題視したオーストラリアの環境団体が新たな事業戦略の策定を迫りました。
住友商事に株主提案した環境NGOのマーケット・フォース、福澤恵さん、
機構関連リスクを適切に評価し、対処することは株主の資産を守り、企業の長期的な成長を最善の形で促進することにつながる。
こうした動きが先行しているのはアメリカです。
先月には株主提案が賛成多数で可決されるケースもありました。
石油大手エクソンモービルの株主総会では物言う株主が環境対策強化のためとして取締役の刷新を提案。
会社側が強く反対したにも関わらず、いわゆる環境派の取締役3人が新たに専任されたのです。
長年、株主総会の運営に携わってきた弁護士は今後、日本の株主がより強硬な手段に出る可能性もあるといいます。
弁護士の中島茂さん、
プロキシーファイト(委任状争奪戦)といって提案者が「自分たちに賛成して」と一般株主に呼びかける選挙戦みたいになる。
そうなる前に企業が世の中のニーズを先取りして、企業としてちゃんと変革して対応していけるかが問われていく。