内閣府が発表した2021年10-12月期のGDP(国内総生産)は前の3ヵ月に比べて年率換算で5.4%のプラスになりました。GDPの半分以上を占める個人消費が持ち直したことで全体を押し上げました。

ただ今年に入って新型コロナの新たな変異ウイルス"オミクロン株"の感染拡大で消費は再び落ち込んでいます。景気の先行きはどうなるのでしょうか。

日本GDP2四半期ぶりプラス!支えたのは個人消費
都内の商店街に来ています。街の人は今の景気の状況をどのように感じているのでしょうか、取材してきます。

買い物客は…
景気はあまりいいとは思っていない。

モノの値上がり、なんでも値上がりしている。

食パンやそれにつけるジャムだったり。

車のガソリン代とか上がっているから大変。みんな厳しいよね、庶民は。

商店は…
「最近の景気は?」
鮮魚店。
景気悪い。

生花店。
あまり変わらない。決まったお客さんしか来ない。

そば店。
客足が減っている。全体的に。

「売り上げに変化は?」
多少はよくなっている。

本業は日本そばだけど惣菜を出している。

惣菜の方が本業よりもよくなっている。

値上げやコロナが消費に影を落とす中…

山際経済再生担当大臣。
実質GDPの水準はおおむねコロナ前の水準まで回復した。

去年10-12月期のGDPは物価の変動を除いた実質で前の3ヵ月の比べ1.3%のプラス、年率換算ではプラス5.4%と2四半期ぶりにプラス成長となりました。

2021年通年ではプラス1.7%と3年ぶりのプラス成長となりました。

この成長の大きな要因となったのが2.7%のプラスとなった個人消費。なかでも回復しているのが宿泊業です。

都内のホテルで話を聞くと…

ホテルニューオータニの片岡慎一郎さん。
昨年末にかけて家族連れ、記念日、ビジネスの利用が回復傾向にあった。

ただ海外からのお客さんが戻っていないためコロナ前までの回復とはいきませんでした。年明けからはオミクロン株の影響を受けているといいます。
レジャーのお客様などでキャンセルしたお客様もいたが想定していたほどの大きなキャンセルはなかった。

日本 1-3月期はマイナス?一方で"前年超え"の業態も…
年明けからのオミクロン株の感染拡大で1-3月期のGDP成長率は再びマイナスになると専門家は指摘します。

みずほリサーチ&テクノロジーズ 上席主任エコノミスト 坂井才介氏。
金額換算で1-3月期の個人消費はオミクロン株によるサービス消費の減少で2.2兆円程度減少すると試算。

1-3月期は小幅ながらもマイナス成長の可能性が高まっている。

消費の落ち込みはデータにも現れ始めています。2月15日に発表されたクレジットカード利用を元にした調査によると1月後半のサービス消費は大きく減少。

特に落ち込んだのが旅行でコロナ前の水準と比べて80%も少なく、去年8月並みに落ち込みました。

旅行には欠かせない飛行機や鉄道などの交通も同様に厳しい状況です。

そしてまん延防止等重点措置が適用されたことで外食も大きく減少しました。夜の営業時間が短くなった影響でコロナ前と比べて30%以上少なくなっています。

一方、コメダ珈琲店を運営するコメダやドトールコーヒーは1月の売り上げは1年前を上回りました。一体なぜ好調なのでしょうか。

新店舗「カフェ・ベローチェ元町・中華街駅前店」をオープンするコーヒーチェーンを訪ねました。

シーユナイテッドの市川洋一執行役員。
カフェ・ベローチェ元町・中華街駅前店、2月17日にオープンする。

ベローチェや珈琲館を運営するシーユナイテッドでは今年1月の来店客数が前の年を上回りました。

これまではカフェはコーヒーやサンドイッチ、パンだけという形だったが、コロナ禍ではおひとり様で食事を手軽にとるケースなどが増えた。

コロナ禍 日本経済の今後は?専門家「1-3月期が正念場」
今後、日本経済の見通しについて専門家は…
1-3月期が日本にとってコロナ禍最後の正念場になる可能性が高い。

4-6月期には政府が目標としている19年10-12月期の水準までGDPが回復すると予測している。

企業の経営者からも…
アサヒグループホールディングスの勝木淳志社長。
個人消費が盛り上がっていかないとGDPも盛り上がっていかない。

そういう意味ではコロナ禍の影響は日本では大きかった。

衛生用品大手のユニ・チャームの高原豪久社長は…
2022年はコロナの終わりの始まりだと思っている。

積極的に消費を活性化を促すような新しい提案をしていきたい。

このように述べ、コロナの収束に期待感を示しました。

2年以上続く新型コロナに左右される日本経済。個人消費をいかに活性化できるかが問われています。