シリーズでお伝えしている「コロナクライシス トップの決断」です。
3回目となる今回は総合商社、三井物産の安永竜夫社長です。
海外への異動が制限される中、巨額のビジネスを新たな手法で成立させたといいます。
三井物産株式会社
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皆さん僕の事を覚えていますか?
東京・大手町のカルガモです。30年前、道路を渡って皇居のお堀にお引越ししていました。
元々住んでいたのがこの池。
三井物産本社の池です。
当時はちょっとした観光名所になっていたけど、その本社が今年、隣の真新しいビルにお引越したんです。僕たちと同じだね。
本社の中は意外な光景が…
違う部署の人たちが集まって仕事をしている。
自分のプレゼンテーションを披露している。
フロアには仕切りがありません。事業部ごとにサイロ化された従来の総合商社のイメージを一新。
そこには変革を迫られたトップの決断が。
世界中で人や物の移動が止まった4月。
NY原油は初のマイナス価格に、市場は大混乱に陥りました。
資源・エネルギー分野が収益の6割を占める三井物産は大ダメージを受けたのです。
人が動かなくなったことで需要が消えてしまった部分。
モビリティ関連、自動車、船、航空機のビジネス。
こういったものが例年に比べてマイナス。
今年の事業計画は1,800億円に下方修正。
需要がいきなりなくなったわけではない。
供給過多という状況の中で投げ売りが起こった。
いずれは戻ると思っていた。ただ戻りは今回は遅い。
世界を舞台にビジネスをする総合商社が海外に行けない事態に…
そこで社長が決断したのが事業のリモート化とオンライン化です。
その象徴的な現場がインド。
日本のカレーチェーン「CoCo壱番屋」の看板が…
三井物産は壱番屋とタッグを組みカレーの本場インドで8月に1号店をオープンさせる予定です。
インド三井物産の野村保さん、
インドで消費者ビジネスをやりたい三井物産とインドに進出したい壱番屋の思いが一致。
最後は三井物産が背中を押した。
カレーのルウは日本から輸入し、お米も日本米。
果たしてインド人の口に合うのかどうか?
カレーのルウは最高だ。チキンカツもサクサクしてジューシーだ。
インド13億人の胃袋をどこまで満たせるか、三井物産の野望も膨らみます。
そうした海外事業を支えているのが東京のリモート部隊。
いよいよオープンも近づいて来る。
マーケティングの最近の状況いかがかな。
コロナで現地に人を送り込めなくなった今、三井物産ではリモートでマーケティングや事業運営を指揮しています。
デジタル化の流れは働き方もそうだし、ビジネスも非接触型の仕事に移っていく。
いま私が社員に言っているのは、かつては商品知識や業界ネットワーク、契約の基礎知識、ファイナンスが商社パーソンの基本要素と基礎実務だった。
そこにデジタルトランスフォーメーション、AIも入ってくる。
この部分の知見なくしてビジネスの変革を起こすことはできない。
一つ嬉しいニュース。
アフリカのモザンビークでLNGプロジェクトを去年投資決定した。
1兆5,000億円の巨大な融資だが全部オンライン会議で済ませた。
アフリカ向けの投資で過去最大級となるLNG(液化天然ガス)の巨大プロジェクト。
本来なら現地に飛ぶはずがオンラインで成立。
こうした交渉が世界で進行中です。
日本経済は世界経済とともに緩やかに回復していくという見立て。
その理由は…
ロックダウンの状況がいつまでも続くわけではない。
いずれ経済活動の再開と感染対策と両立しながら動いていく。
構造調整をしながら経済活動をしていく中で回復の道筋は緩やかにならざるをえない。