三井物産株式会社
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三井物産株式会社。
年間の収益5兆円。日本が誇る「ザ・商社」の大手です。
でも「Q.商社ってどんな会社?」と聞かれると「A.よくわからない」。
どのへんがどうすごいのでしょう?
三井物産株式会社の経営企画部、平岡達也さんによると、
三井物産は資源分野が伝統的に強い。
資源?
是非、実際に海外で現場と人を見てきてください!
ならばと三井物産株式会社の儲かる秘密を探るべく行って参りました。海外取材!
灼熱のオーストラリアの鉄鋼山。そこで現場を駆けまわる熱血社員に密着。キーワードは「足元の需要と供給」「足元のショッピング」「足元価格が上がっている」。
足元って!?
ロシアでも商社マンが奮闘中!極寒の地で待ち受ける試練とは
メシとか毎日1人で食べる場所すらない。
三井物産株式会社の世界を股にかける儲かりの秘密に迫ります。
オーストラリアの鉄鉱石ビジネス
三井物産株式会社には儲かりのビジネスがあります。ということで飛行機で約12時間、たどり着いたのはオーストラリアの西海岸。
青空が映える街、パース。
この街で三井物産株式会社はどんなビジネスで儲かっているのか?
街の象徴、カンガルーの銅像を横目にパース中心部の高層ビルが立ち並ぶビジネス街へ。
「三井物産さんでよろしいですか?」
はい。
「お名前は?」
前田壮象と申します。
オーストラリア赴任3年目、金属資源本部の前田壮象さん(34歳)。
「やっと着きました。」
お疲れ様です。
三井物産株式会社の小会社に出向中の前田壮象さん。オフィスは11人中、日本人の社員は3名。
さて、前田壮象さんはどんなお仕事をしてるのですか?
鉄を作るのに欠かせない鉄鉱石。物流事業から投資、製鉄会社との橋渡し(仲介)などを行っています。
実はオーストラリアは鉄の原料となる鉄鉱石の世界ナンバーワンの輸出国。この鉄鉱石を日本に安定供給するのが超ビッグな儲かりビジネス。
三井物産株式会社を含めた3社がオーストラリアの鉄鉱石ビジネうを共同運営(出資比率:海外の企業53%、三井物産株式会社33%、新日鐡住金株式会社14%)し、年間約7,000万トンの鉄鉱石を生産しています。
安定供給のための前田壮象さんの役割は、
他社の生産とか順調ですか?
電話のお相手は日本の某製鉄会社の方です。
先々週、ピルバラ地区の天気がぐずつきまして、足元ちょっと価格が上がったりしてるんですけど、足元のショッピングに影響が出るほどのものではないかなと…。
電話の内容は鉄鉱石を積んだ船がオーストラリアの港からちゃんと出港できそうかの連絡。
三井物産株式会社の大きな役割のひとつが現地と日本の製鉄会社をつなぐ仲介役なんです。
でも、トークの間にちょっと気になったフレーズがあります。「足元の需要と供給」「足元のショッピング」「足元価格が上がっている」
足元、足元って専門用語ですか?
足元というのは、まさに今日・昨日、「今」の価格という事。
「足元って言うんだぁ。カッコいいなぁ」
鉄鉱石を掘る
そしてもうひとつ、三井物産株式会社がオーストラリアで手掛けるビジネスが鉄鉱石を掘ること。
以前は現地の業者が掘ったものを買って、それを日本に送っていましたが、自ら採掘も手掛け始めました。
なので前田壮象さんはデスクワークだけでなく現地へも飛びます。そこで出張に同行。
パースのオフィスを出て、パース空港から国内便で約1時間半のフライト。西オーストラリア州、ニューマン空港に到着。空港からさらに車で約2時間、いかにもオーストラリアって感じの大自然をかっ飛ばすと突如現れた物々しいゲート。
そこは、いきなり大型のトラックが前を横切ります。そんな巨大トラックでも小さく見えるほど広大なのが鉄鉱石採掘場。
ウエスト・アンジェラス鉄鉱石は年間3,500万トンの鉄鉱石を大規模な露天掘りで採掘。
早速、前田壮象さんは採掘の計画を立てるマイニング・エンジニア、アネット・ウーさんとミーティング。
採掘現場が3つあるから機材の管理が大変だわ。鉄鉱石市場が小さくなっているから作業を節約するようにしているわ。
採掘場は24時間、週7日、ずっと働いていますのでメンテナンスのスケジュールもしょっちゅう変わる。スケジュールの変化を三井物産としての事業計画に反映させていく。
現場の巨大トラックの燃料代は莫大な費用が掛かります。いかに効率よく採掘・運搬するかも前田壮象さんに掛かっているのです。
さらに鉄鋼山の気温は42度。現場で飲む水や食料などを用意して働く環境を整えることも重要なのです。
鉄鉱石の品質チェックも重要。
どんな石がいいのか?
三井物産株式会社と共同出資した会社Rio Tintoのキャッシー・カールさんによると、
これはプレミア価格がつく塊鉱石です。製鉄所の溶鉱炉の処理が少ないので高価なの。
製鉄所の高炉で鉄鉱石を溶かす時、目詰りしないように大きな塊のまま使うことがベスト。小さいと一度、塊にする手間がかかるそうです。塊の鉄鉱石は目詰まりを起こさず高価な値段で売買されます。
キャッシー・カールさん、貴重なお話ありがとうございます。
そして採掘された鉄鉱石は貨物列車で400キロ離れた港へ。1両あたりの鉄鉱石のお値段は約100万円。この貨物列車は230車両編成。ということは2億3,000万円が走っています。
三井物産株式会社、貨物列車を見送った後、港でもお仕事が待っているとすぐに出発。その移動手段は、
Private charter.
「プライベートチャーター!」
さすがスケールが大きいオーストラリア。やって来たのはケープランバート港という港。
貨物列車が港に到着すると積んできた鉄鉱石はひっくり返して荷降ろし。
すると前田壮象さんは階段を登り始めました。どんどん、どんどん登って向かった先は鉄鉱石を船に積み込むシップローターという操縦室。
この前、別のシップローターに乗っていたんだけど、エアコンが壊れていて大変だったんだよ。
操縦士のロバート・リーさんによると別の操縦席でエアコンが壊れていたそうです。細かいことのようですが、こうした働く環境のトラブルにも耳を傾けなければいけません。
健康に関わるもの、食事の面を含めてきちんと取り組む必要がある事業。
パースのオフィスに戻ったらテレビ電話でのミーティング。
豪州三井物産株式会社の取締役COO、ウエンディ・ホルデンソンさんは、
MITSUI is People. こういう人材が日本から来てくれて助かっています。
商社トップのお仕事とは?
続いていは東京の三井物産株式会社の本社。
黒塗りの車で現れた安永竜夫社長のお仕事ぶりを拝見させてい頂きました。
午前7時20分、お早い出社ですぐに社長室へ。結構広いお部屋、これは居心地が良さそうです。
でもデスクにつくなり新しいプロジェクトの進捗状況や関係会社の軽視状況と確認すべき資料は多い。でも、それほどでもないかな?
今日はコレが(取材)があるので遠慮して秘書が書類を少なくしたのかも。
それは失礼致しました。
ところで気になったのはデスク周りに置かれた様々なグッズ。飛行機やスポーツカー、ショベルカーのミニチュア、これは?
乗り物本部長というのをやってまして。
乗り物本部長?
実は安永竜夫社長、以前は機械輸送システム本部、つまり乗り物を扱う本部の本部長でした。取引先から頂いた想い出深い品々ということですね。
午前9時、翌週に控えている東南アジア出張の打ち合わせ。
インドネシアでは面談が6件、会食4件、現場視察3件、さらにシンガポールの地鎮祭。
東南アジアへのお土産は日本のお菓子にしました。
日本酒でもいいかなと思ったけど。
お土産の気配りも欠かさない、さすが商社のトップです。
そして午前11時、日本経済新聞社の記者さんの取材を受けます。
非資源分野で今期力強いなと。
機械、インフラ、化学品、鉄鋼といった我々の伝統的な強みを持ったビジネス分野でしっかりとした数字が出せてきている。
会社の現状をしっかりと伝えて朝からオフィスでみっちりとお仕事。
12時30分、そろそろランチかなと思いきや三重出張のために東京駅へ。明日の朝には戻ってくるそうです。
「こうやって社長が動くのは大切?」
大切です。社長が動いている以上、部下も動き回れと常々言っている。
社員時代から自ら相手に会いに行くがモットーの安永竜夫社長。訪れた国は約70ヵ国。
毎日ハードだけど、
仕事と出張が趣味!
お気をつけて!
ロシアの天然ガスビジネス
冬場の平均気温、氷点下20度の、
寒いです。ロシアのサハリンに来ました。
北海道の北東に位置するロシア連邦共和国のサハリン。
ここで三井物産株式会社はどんなビジネスで儲かっているのか?
町並みは結構、新しいマンションが建っています。
サハリンは景気が良いのかも?
たどり着いたビル、ここに三井物産株式会社の人が働いているそうです。
社員と思われる女性にカンペをみながらロシア語で話しかけてみます。
三井物産の社員の方を知っていますか?
ヤマサキさん?
「三井物産の方は?」
はい。私です。
「やっと辿り着きました。」
どうも初めまして!
エネルギー第二本部の山﨑大輔さん(35歳)。
6ヶ月前にサハリンにやって来た山﨑大輔さん。只今、こちらの会社に出向中。
ここ、サハリンエナジー社は三井部さんを含む4社が出資(出資比率:ガスプロム50%、シェル27.5%、三井物産株式会社12.5%、三菱商事株式会社10%)し共同運営。
三井物産株式会社はどんなお仕事を?
私は液化天然ガスの販売を行っています。
天然ガスビジネス。
ロシア連邦共和国は天然ガス埋蔵量が世界第2位。サハリンと日本は近いので輸送費がそれほど掛かりません。なので三井物産株式会社は天然ガスを採取して輸出するビジネスを手掛けています。
しかし天然ガスのプロジェクトには大きな課題もあります。
もし新しいプラントを作らなければ2022年か2023年には天然ガスの供給量が落ち込むんじゃないだろうか。
山﨑大輔さんの上司は、
問題はきれ(データ)を信じるかだ。
確かに、この予測通りになるかどうか…。
注目を集めるサハリンの天然ガス。需要と供給が追いつかなくなる可能性もあります。新たな製造プラントの建設に対して年密な打ち合わせが必要なのです。
製造現場はどうなっているのか?
特別に許可を頂き、サハリンの南、フル稼働中の施設の中に。
天然ガスのプロジェクトをどんなものか簡単に説明すると、まずサハリン島の北東の海の深いところに埋まっている天然ガスを海上プラットホームがどんどん、どんどん吸い上げます。そこから地下に埋められた全長800キロのパイプラインで島の南のプラントへ。気体のままだと体積が大きすぎるので冷やして液体にして、あとは専用のタンカーに乗せて日本に運ぶという段取りです。
撮影が許されたのはプラント内のモニターがたくさんある部屋。
案内役は少し強面のロシア人、ニキータ・パガマゾフさん。
ここは液化プラントのコントロール室です。えーっと…。
ニキータ・パガマゾフさん、とってもシャイな感じです。やっぱりロシアの方もコメントは緊張するのかな。
気を取り直して、
ここは液化プラントのコントロール室です。ここで工場内の全ての工程を管理しています。
中央管制室とは冷却システムのコントロール、船への積み込みの指令など工場の全てを行う心臓部。
さてサハリンで働く商社マンのプライベートとは?
厚かましくも山﨑大輔さんのお宅にお邪魔させて頂きました。
2人の娘さんと奥様と共に赴任。商社マンは転勤が多い、今回で4回目の引っ越し。なので、
妻は引っ越しはプロ級の腕前。仕分けも上手。
一番引越しで忙しい時に先に行ってしまって家にいないので。
奥様も大変ですね。
長女で6歳の直ちゃん。忙しいお父さんが会社で何をやっているか知っている?
ガスを売る人。
間違ってないよ。
丹羽正雄さんによると、ロシア連邦共和国では会話が大変らしく、
サハリンエナジープロジェクトだと共通言語は英語。細かい現地でのすり合わせやロシア内の提出書類はロシア語。
サハリンエナジー社で使われる言葉はスタッフ全員全て英語を使うものの、現地での細かい作業にはロシア語がどうしても必要になってくる。
このロシア語というのが外国語の中でもかなり難しい。
赴任6ヶ月の山﨑大輔さん、仕事帰りに同僚と食事に行ったら注文は勉強も兼ねてロシア語で挑戦。一流商社マンもビール頼むのに一苦労です。
厳しいなロシア語。
寒い大地で悪戦苦闘しながら戦うジャパニーズ商社マンたち。