ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS][経済WEEK]チェンジ 価格の常識!「価格に敏感」「安さを求める」に異変[南河原商工会]

2021年12月15日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

経済WEEK特別企画。今回のチェンジは価格の常識です。

こちらは「いつも買う商品が10%値上げされたら同じ店で買いますか?」というアンケートの回答です。

アメリカやイギリスなどでは6割以上が同じ店で買うと答えたのに対して、日本では逆に6割の人が別の店で買うと答えました。

日本人は価格に敏感、安さを求めるといわれてきましたが、今そんな日本人の常識が大きく変わり始めています。そこから日本の反転攻勢のヒントが見えてきました。

チェンジ!価格の常識

世界と比較!日本の価格は?

大手回転寿司チェーンのくら寿司とスシロー。

人気のサーモン、その価格は110円です。

安い、大満足。

コスパ命、これだったら家計に優しい。

世界では1皿いくらなのでしょうか?

まずはアメリカのくら寿司。

ワシントン支局の中村寛人記者。

こちらのサーモンの握りですが1皿3ドル15セント、日本円でおよそ360円です。

価格は日本のおよそ3倍。それでも…

リーズナブルで安いと持って注文が増えてしまう。

続いて中国での価格は?

広州のスシロー。

上海支局の菅野陽平記者。

サーモン1皿の値段を見てみます。15元になります。267円ということになります。

食材を日本から運ぶコストがかかることもあり価格は日本のおよそ2.5倍ですが…

価格は納得できるし、コスパは十分いい。

続いてはお隣、韓国。

ソウルにあるスシローのサーモンの価格は?

ソウル支局の横堀拓也記者。

こちらは1,700ウォン、日本円でおよそ160円です。

こちらは日本のおよそ1.5倍です。

日本に比べ高いが韓国だと安い。妥当だ。

サーモン1皿を比べてみたら日本が最も安い価格でした。

日本110円
アメリカ360円(3.15ドル)
中国267円(15元)
韓国160円(1,700ウォン)

続いて世界で展開する一風堂のラーメンでも比べてみました。

日本790円
アメリカ2,034円(18ドル)
イギリス1,725円(11.5ポンド)
オーストラリア1,377円(17豪ドル)

こちらも日本が安いことが分かります。

こうした背景には日本の物価の歴史が関係しています。

消費者物価指数は戦後大きく上昇。しかしバブル崩壊後は30年に渡り横ばいです。

東京大学大学院経済学研究科の渡辺努教授。

モノの値段を上げるとなかなか消費者が買わない。

値上げを嫌う傾向の強さを売る側が強く意識するので。

結果としてモノの値段を上げられない。

しかし価格が上がると買わない、そんな常識がいま変わりつつあります。

チェンジ!価格の常識

価格競争しない!秘策とは?

東京・渋谷の東急百貨店本店。

生活用品の売り場で人気を集める商品があります。お客様が手に取っているのはスリッパ。

柄がかわいい。

アフリカから取り寄せた生地を使ったカラフルな模様が特徴。

その売り方も少し変わっています。

東急百貨店本店のホーム・ライフスタイル、畑野充枝マネージャー。

一点一点柄が違う。好きな物を選びセットにして1組になる。

形も大きさも一般的なスリッパと同じ。

しかしその価格は3,850円とおよそ2倍です。それでも買い求めるお客様は後を立ちません。

同じものがないのが魅力。人と同じじゃない方がいい。

このスリッパを企画開発したのは埼玉県行田市の南河原商工会。

実は南河原地区はかつて年間3,200万足製造するスリッパの町でした。

南河原商工会の佐野和美さん。

かつて日本一の生産量を誇っていたが事業が衰退している。なんとか食い止めようと。

高級品を得意とした南河原地区。

しかし1990年代に入ると中国など海外製の安いスリッパが多く流通。価格競争に敗れました。

かつては40社以上あったスリッパの製造業者も今や4社だけに。

そこで価格競争を辞め、新たに開発したのが今回のスリッパです。

しかし当初、製造業者からは左右の柄が違うスリッパに反対の声もありました。

丸辰商店の和泉文夫さん。

1足そろって販売していた。

左右がバラバラのものは売り物にならず廃棄していた。

これで売り物になるの?

今年1月に発売したところ想定外の売れ行きに。一点ものというほかのスリッパにはない付加価値を武器にスリッパの町の復活を目指します。

世界に一つしかないスリッパ。

価格競争はしない。

少々高い値段で販売しているが、それだけ価値がある。

価格は5倍…ナゼ売れる?

高いと売れない。その常識を覆す商品がここにも。横浜髙島屋の地下にある1日1万個売り上げるベーカリー「ベーカリースクエア」。

人気はこちらの生クリームあんぱん。

今それと並ぶヒット商品がパンではなく発泡酒「RE:BREAD」。

価格は330mlで693円と一般的な発泡酒の4~5倍です。それでも多くの人が手に取っていきます。

ちょっと価格は高いが飲んでみたい。

高くても売れるのはなぜなのでしょうか?

午後9時、閉店の時間を過ぎると…

「何を集めている?」

消費期限間近の商品を回収している。

多い日には捨てざるを得ないパンが4キロにもなるといいます。

パンが運び込まれたのは都内のバーに併設されたビールの醸造所「ON TAP 江戸東京ビール」。

実は廃棄間近のパンから発泡酒を造っていました。

江戸東京ビールの篠原慎一醸造長。

小麦の代わりに同じ小麦を使っているパンを代用した。

パンが入るとなじむのに時間がかかる。

他のビールを造るより大変。

通常の麦芽に比べ、パンは濾過するのに時間や手間がかかるため製造コストが増え、商品価格に反映せざるを得ません。

実際に購入したお客様は…

環境を大事にするというのはいい方向性。

一般的な発泡酒より高くても売れる。フードロス削減という環境への配慮が消費の決め手になっているのです。

横浜髙島屋の加納淳平さん。

安くて質が良ければ当然売れるが、今、消費の形として、それにプラスして買う意味や買った後の満足感が大事。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-,