牛乳
スーパーなどで販売されている牛乳。
価格は150~200円台。
年間を通じてほぼ一定の価格で販売されています。
その理由は牛乳の安定供給を担う指定団体がほぼ全ての酪農家から生乳を買い取り、指定団体が乳業メーカーなどに販売するからです。
牛乳の価格は指定団体と乳業メーカーなどの交渉で決まっています。
松屋銀座
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松屋銀座ではある牛乳が人気となっています。
その価格は720mLで1,188円。
お客様は
すごく爽やか、くどさがない。1,188円なら1日1本買ってもいい。
週末はこの1,188円の牛乳が完売する日もあります。
さらにこの牛乳を使用したソフトクリームも人気です。
なかほら牧場松屋銀座店の大家まりさんは
2015年度の売り上げは前年比120%。餌から育て方、全てにこだわっているので自信はあります。
なかほら牧場
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岩手県盛岡市から車で約2時間の岩泉町にある「なかほら牧場」。
ここで高級牛乳は作られています。
なかほら牧場は日本では数少ない山地酪農を行っています。
牛たちの主な餌は山に生える草。
牛舎で管理することなく約90頭の乳牛大自然のもとで飼育しています。
午後4時頃、乳絞りのために牛たちが一斉に降りてきます。
牛たちを引き連れてきたのは中洞正牧場長。
ジャージー牛ということもあるが体も小さいし乳量も少ない。ただし足腰が丈夫で草だけで乳が出る。それが最大の特徴。
牛にストレスがかからない環境のため、生乳の品質は高いといいます。
しかし1頭当たりの乳量は飼料で育つ牛の3分の1程度と少ないです。
そのため、牛乳の販売方法を変える必要に迫られました。
経営が成り立たなくなって直売を始めた。最初は農協に出荷するのが当たり前だと思っていた。
酪農家
一般的な酪農家は生産した生乳を農協の指定団体に全て出荷。
売り先や価格の決定権はありませんが、その代わりに補助金が出るため収入が安定します。
一方、なかほら牧場のように指定団体には出荷せずに独自のルートで販売する酪農家はアウトサイダーといわれています。
牛乳をコストに見合った価格で販売することができますが補助金は出ません。
中洞正牧場長
指定団体の管理から抜け出した中洞正牧場長、その牛乳は消費者からも評価され今では年間の売上高は約2億円。
この5年で4倍にもなりました。
中洞正牧場長は指定団体制度の改革がなければ日本の酪農の未来はないと主張します。
自立して企業的感覚を持って経営する酪農家を残す仕組みをつくらなければ…今の状態では本当に日本の酪農は崩壊する。
日本の酪農家
日本の酪農家の数は右肩下がりで、国内の生乳の生産量も年々減少しています。
日本の酪農は縮小傾向が止まりません。
内閣府
酪農の問題をどのように解決するのか、政府の構造改革を推進するために設置された規制改革会議では4月8日に「現行の指定生乳生産者団体制度を廃止」する提言を発表しました。
指定団体制度が廃止されると一般的な酪農家とアウトサイダーの酪農家の違いはなくなり酪農家は自由にこだわりの生乳や牛乳を売り込むことを期待しています。
河野太郎行革担当大臣は
酪農家が生乳を搾って、それを出す。というところで終わってしまって新しいビジネスをどうしようこうしようというところまで今の制度ではいかない。
この提言に反発がありました。
中心になっているのが農政に影響力のある農林族の議員です。
坂本哲志議員は
廃止になると酪農会に大変な混乱が生じることはやはり明らか。
規制改革会議に反発した自民党の農林部会は小泉進治郎農林部会長がトップを務めています。
小泉進治郎農林部会長は指定団体制度の廃止について
この問題で必ず出てくる言葉がインサイダーとアウトサイダー。中の人と外の人という村社会の論理みたいな、こういった言葉からにじみ出てくる問題・課題というのはある。
指定団体制度の是非についての名言を避けつつも今の制度では日本の酪農は衰退するといいます。
板挟みの状況だと思うが、どう打破するという記者の問いかけに
板挟みだとは思わない。何とかしなければいけないという思いは同じ。ただ制度が守られれば全ての課題が解決するのか?それは違うでしょうと。
水本牧場
小泉進治郎農林部会長が視察した北海道の水本牧場。
水本牧場は1974年に創業。
現在88頭の牛を放牧して飼育しています。
父親の水本隆夫さんと息子の水本春雄さんが協力して経営しています。
水本隆夫は指定団体の廃止について
北海道酪農には指定団体は絶対必要だと思っている。今、指定団体がなくなったとしたらすごい混乱が起きる。
水本隆夫さんは指定団体制度は必要だと主張しました。
自分で売り先を見つけて自分の牛乳をきちっと販売できるかといったら必ずしもそうならない。
指定団体制度が廃止されると酪農家は直接メーカーに生乳を販売することになります。
小規模酪農家がメーカーと対等に価格交渉をして利益を上げられるのかという不安もあります。
生産者の間でも異なる立場の日本の酪農。
今後の酪農改革がどのようになるのか注目です。