新型コロナウイルスの影響が意外なところに出ています。
中国や東南アジアからの外国人技能実習生が日本に入国できない、帰国もできないという事態が起きています。
国内で38万人を超える技能実習生。
夢を抱き、日本にやって来ましたが過去には裏切られたと裁判になっているケースも少なくありません。
外国人技能実習生の闇を取材しました。
特定非営利活動法人 移住者と連帯するネットワーク
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2019年9月。
NGO移住連の鳥井一平代表理事、
私たち日本社会にとって3人のベトナム人の若者に対し感謝しないといけない。
裁判を前にベトナム人技能実習生の一人が書いた手紙です。
除染をたくさんやらされました。
危険な仕事とは知らされませんでした。
彼らが除染作業をしていた福島県の現場に向かいました。
住田瑠菜記者、
ベトナム人技能実習生は2016年からおよそ2年間、本宮市での除染作業を行っていたとのことです。
建設関連の技術習得を目的に日本にやって来たベトナム人実習生たち。しかし実態は実習とは関係のない住宅街の除染作業をさせられていたのです。
実習生が当時撮影した写真。
作業は土壌を掘り返し、黒いビニール袋に詰めるというものでした。
マスクは自費で賄っていたといいます。
郡山
彼らは隣の郡山市内でも除染作業を行っていました。
市内の住宅地では鉄板で囲われた場所が。
中に入ると遊具があります。
その隣には実習生たちが土壌を詰めたものと同じ黒いビニール袋の山。
公園が除染で取り除いた土壌や廃棄物の仮置き場になっているのです。
別の仮置き場へも。
すると、以前外国人と除染作業をしたいという男性に話を聞くことが出来ました。
うちの会社はエジプトが多かった。
あとはベトナム系・フィリピン系。
除染の危険性を実習生たちが知っていたのか聞くと、
その除染作業、なぜ白い防護服を着て、空気のいいところで、誰もいないところで仕事をするのか。
意味を説明していない会社は多い。
あの手紙を書いたグェン・バ・コンさん(36歳)。今はベトナムに帰国しています。
日本語がわからず、言われた場所に行くしかなかったのです。
会社は最初、何も説明しませんでした。
「働いている時間や作業に対する給与は?」
十分な給料は支払われませんでした。
有給休暇もなく、意見を出しても誰も解決してくれませんでした。
当時、福島県内の除染作業では1日1万円以上が支給されていましたが、実習生は最低賃金の5,000円ほど。
弁護側はその差額として3人で1,230万円の損害賠償を請求しています。
最初は来日することを楽しみにしていました。
除染作業が健康にどう影響するのかよくわかっていなくて心配です。
帰国後は結婚もできません。
訴えに対し、会社側は謝罪や補償を拒否。
取材を依頼しましたが返事をもらえず、直接尋訪ねることに。
カメラ取材は断られましたが、次の回答が、
危険なところに出すつもりはなかった。除染をさせるつもりもなかった。
そう語り、裁判で真実が分かるとしました。
現在続いている裁判では危険性を知らせていたかが争点に。
こうした外国人技能実習生の問題に取り組んできた人物がいます。
日本に住む外国人労働者を支援するNGO移住連の鳥井一平代表理事です。
この技能実習制度は1分1秒でも早く廃止すべき。
3人の裁判だけではなく、およそ30人にわたり外国人労働者の過酷な実態を訴えてきました。
2019年の入管法の改正に尽力。結果的に除染作業をする外国人を減らすことにもつながりました。
その取材中、突然事務所の空気が張り詰めました。
そこにいた若い女性はベトナム人の技能実習生です。
ベトナム人の技能実習生で統合失調症だということで追い出された。
青森県の水産業の会社で実習していたところ、いわれのない病気を理由に荷物ごと追い出され駆け込んできたのです。
全統一労働組合の佐々木史朗さん、
きょう帰るのは選択肢としては同じこと。
ただ監理団体に渡すのは心配。
鳥井さんたちはひとまず彼女を身の回りで保護することを決めました。
法改正後も続く技能実習生をめぐる問題。
明るみに出ている今でも、
私たちにたどり着くのはある意味でいうと氷山の一角。
もう少しあると思うが氷山の一角と言っていいのでは。
たくさんの問題がある。泣き寝入りというか訴えることもできないケースもある。