白い砂浜に青い海、こちらは世界的な観光地として知られるアメリカ南部フロリダ州のマイアミです。実はいまマイアミではビットコインなどの暗号資産を経済成長の原動力にしようとする動きが活発になっています。第2のシリコンバレーを目指すマイアミの今を取材しました。
「第2のシリコンバレー」に?アメリカ 暗号資産で成長目指す都市
4月上旬、マイアミで開かれた「ビットコイン・カンファレンス」。ビットコインに関する世界最大級の催しで企業が自社のサービスや製品を出展したり、暗号資産の将来などについて話し合ったりするイベントです。
ビットコインの祭典へようこそ!
ビットコイン好きの投資家などおよそ2万5,000人が集まりました。
ステージには女子テニス選手のセリーナ・ウィリアムズ選手の姿も。
セリーナ・ウィリアムズ選手
ビットコインは魅力的な投資先。もっと投資していきたい。
会場近くにあるホテル。暗号資産の交換所、OKコインが顧客や取引先を集めたパーティーを開いていました。
経営者のジェイソン・ラウさんです。去年、この街にオフィスを開設、マイアミが暗号資産ビジネスの一大拠点となることを期待します。
OKコイン
ジェイソン・ラウCOO
オフィスを開設してからもマイアミは暗号資産の企業を引き寄せてきた。
とても熱気を感じる。
なぜマイアミが注目を集めているのでしょうか。
OKコイン
ジェイソン・ラウCOO
暗号資産の優秀な人材が豊富でビジネス環境が発展し続けている。
市長をはじめ市役所と良好な関係も築けている。
市内にオフィスを設ける企業に補助金を支給する制度もある。
マイアミに流入したIT人材の数は去年30%以上増加。全米でも屈指の水準です。
躍進を後押ししているのが44歳の市長、フランシス・スアレス氏の存在です。
スアレス市長は給料をビットコインで受け取ると表明。暗号資産関連の企業を積極的に誘致しています。
その狙いは何なのか、スアレス市長がテレビ東京の単独インタビューに応じました。
マイアミ市
スアレス市長
マイアミに来れば事業拡大に向け地元企業や投資ファンドと関係を築ける。
新たな雇用はアメリカだけでなく全世界の利益になる。
記者
マイアミはシリコンバレーを超えるか?
マイアミ市
スアレス市長
このまま成長が続けば「イエス」だ。
暗号資産を起爆剤にハイテク産業を育て、マイアミを第2のシリコンバレーに成長させたい考えです。
街の姿も変わりつつあります。
NBA、プロバスケットボールのアリーナでは…
ニューヨーク支局
滝沢孝祐記者
ありました。FTXと暗号資産関連の企業の名前が付いています。
暗号資産の交換所を運営する企業が命名権を取得しているのです。
街では建設中のビルが目立つなど不動産市場も活況となっています。
不動産ブローカーのジル・イーバーさんです。
富裕層に人気の物件を案内してもらいました。およそ600平方メートルあるこの物件、販売価格は十数億円に上るといいます。
外に出るとマイアミの中心部を一望できます。
不動産ブローカー
ジル・イーバーさん
シリコンバレーやロサンゼルスを筆頭に世界中から移住者が押し寄せている。
マイアミの1月の住宅価格は1年前と比べて28%上昇。全米でも高い伸び率です。
高級住宅を扱うイーバーさんの会社でも去年の売上高はおよそ2倍に増えたといいます。
不動産ブローカー
ジル・イーバーさん
フロリダ州には所得税がなく、1年中温暖な気候に恵まれている。
ハイテクや暗号資産系の買い手が参入し、住宅市場は盛況となっている。
地元の住民は複雑な思いを抱いています。
地元住民
いまの不動産価格は異常で少し落ち着くことを願っている。
ただ街の成長には痛みがつきもの。
いまは若者がマイアミで仕事を探している。5~10年前には見られなかったことだ。
暗号資産に注目して成長を目指すマイアミ。その戦略にリスクはないのでしょうか。
対ロシア制裁の「抜け穴」?暗号資産の普及は続くのか
暗号資産をめぐってはウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁の抜け穴として悪用されているとの指摘があります。
日本や欧米などは制裁逃れを防ぐための規制強化に向けて動いています。
それでもイベントの参加者はビットコインの普及は止まらないとみています。
ビットコイン愛好者
ジャコモ・ズッコさん
ビットコインは「中立性」が肝で政治的な立場を取らない。
市民をあらゆる抑圧から解放するツール。
ロシアとウクライナを含む全人類の利益だ。