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[WBS]アジアに脱炭素技術を売り込む!日本の"ロードマップ"戦略とは

ワールドビジネスサテライト(WBS)

9月26日に都内で脱炭素に向けた国際会合が開かれ、日本をはじめ東南アジアなどの閣僚らが参加しました。実はいま東南アジアの脱炭素化をめぐっては世界各国が主導権を握ろうと水面下で激しい駆け引きをしています。その知られざる舞台裏を取材しました。

アジア脱炭素をめぐる"舞台裏"
「ロードマップ合戦」とは?

都内のホテル「ホテルニューオータニ」、続々とやって来たのが東南アジアや中東などのエネルギー関係の閣僚たち。

22ヵ国と国際機関が参加するアジアの脱炭素を進める国際会議「アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合」が開かれました。

主催したのは日本の経済産業省です。

西村経済産業大臣

日本のCO2排出を削減するクリーン技術は欧州各国からも改めて期待と注目が寄せられている。

再生可能エネルギーの導入が遅れるアジアの新興国。国際エネルギー機関の調査では東南アジアは2050年時点でもエネルギーの7~8割を化石燃料が占めるとみられています。

そのアジアがこぞって脱炭素に移行するとき巨大なマネーも動きます。それを手にするのは誰なのか。

そんな水面下の駆け引きを間近で見つめる経産省幹部。舞台裏で何が起こっているのかを答えてくれました。

経産省 資源エネルギー庁
石油・天然ガス課
早田豪課長

実はアジアではロードマップ合戦と言っていいほどに先進国がアジアに入り込んで、自分たちの産業に都合のいいロードマップを相手国政府にある意味提示する。

経産省幹部が語るロードマップ合戦とは何なのか…

東南アジアの風力発電の能力を示した図で、濃い青の地域ほど風が強く発電に適しているといいます。つまり複雑な地形と気候のアジアでは再生可能エネルギーのポテンシャルがそれぞれ違うため、一国一国ごとに脱炭素へのロードマップが異なるのです。

そこに目をつけた先進国は自分たちの産業に有利になるような脱炭素のロードマップをアジア各国に売り込んでいるというのです。

経産省 資源エネルギー庁
石油・天然ガス課
早田豪課長

日本としてカーボンニュートラルに向けたロードマップ作りのサポート支援をぜひさせていただきたい。

実際に経産省がある国に提案した脱炭素のロードマップ。理想的なエネルギー構成などが示され、それに必要な技術を交渉で売り込むといいます。

ここで強調されていたのは水素とアンモニア。

主に肥料として活用されてきたアンモニア。いま燃やしても二酸化炭素を出さない脱炭素のエネルギー源として注目を集めています。

そのアンモニアをエネルギーに変える技術を持つのが三菱重工です。

液体にしたアンモニアだけを独自のガスタービンで燃やし発電、二酸化炭素ゼロのエネルギーをつくる技術を開発しています。

三菱重工は今回の会議に向けアンモニアをつかった脱炭素技術をシンガポールの政府企業に売り込み、発電事業を共同で進めることで合意。

経産省のロードマップに基づいて官民連携で臨んだ成果だといいます。

三菱重工
正田淳一郎シニアフェロー

発電から入り陸の脱炭素を実現する。弊社は船舶エンジンもやっているので船舶燃料のアンモニア化を進めて海の方でも脱炭素をしていく。

日本政府は独自の脱炭素ロードマップに基づきインドネシアやタイなどと競技を継続しているということです。

経産省 資源エネルギー庁
石油・天然ガス課
早田豪課長

エネルギーのゲームチェンジ、大きくその地殻構造が変わっていく。
エネルギー地殻変動の新しい世界。
それに対するファイナンスの支援、人材育成の支援、知見の共有、全部合わせ技で日本としては提案をしていきたい。

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