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[WBS][白熱!ランキング]稼げる農家に変身!農業生産性"押し上げ"要因は

2022年10月4日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

地方の農地では今さまざまな創意工夫によって農業の生産性を上げようとする動きが活発化しています。ITを活用したスマート化や販路の拡大などで生産性の向上につながった取り組みをランキング形式でお伝えします。

"創意工夫"で農業生産性アップ

高齢化や後継者不足など大きな問題を抱える日本の農業。農業の担い手は右肩下がりの状況です。

そんな中でも農業生産性がアップ、稼げる農業へと進化した産地が。

そこで今回は農業生産性がアップした都道府県をランキング。

全国の産地の秘策とは…

8位~10位

まずは8位から10位。

8位岡山県24.3%アップ
9位青森県23.9%アップ
10位高知県22.0%アップ
1ヘクタールあたりの農業産出額の増減率(05年・20年比)

高知県

10位の高知県はこの15年で生産性が22%アップしました。

その大きな要因が高知県の農家の8割が行うハウス栽培です。

ハウスでピーマンを生産する小松敏央さん。この日、小松さんの下にやって来たのは高知県からの指導員。

高知県安芸農業振興センター
松尾知佳さん

かん水のデータをまとめたので持ってきました。

取り出しのは水を与える量を分析した資料。

オレンジの線は過去10年間の県全体の平均。緑色は小松さんのハウスでの水量です。

高知県安芸農業振興センター
松尾知佳さん

日射量が多いときは水をもう少し与えてもいい。

もう少し水を増やすようアドバイス。

その根拠になっているのが…

小松敏央さん

プロファインダーといってハウス内の温度・湿度・CO2濃度を測ることができる。
ハウスの中の環境が目で見える。

高知県が普及を進めるハウス内の環境をデータ化するシステム。

データ化するのは温度湿度のほか、暖房の使用率や日射量など10項目以上にも及びます。

高知県はこれらのデータを県内の1,700ヵ所のハウス農家から収集。最適な栽培環境をフィードバックする仕組みです。

小松さんのハウスではシムテム導入で生産性がおよそ15%増えました。

高知県農業振興部
小笠原香さん

高知県としては9割のハウス農家に。
経験と勘だけではなくデータで栽培することを実現させていいきたい。

4位~7位

続いて4位から7位。

4位山形県26.1%アップ
5位広島県25.1%アップ
6位鹿児島県25.1%アップ
7位和歌山県24.7%アップ
1ヘクタールあたりの農業産出額の増減率(05年・20年比)

和歌山県

注目は7位の和歌山県。

和歌山県といえば生産量全国1位のミカン。全国のミカンの購入額は減少傾向にありますが和歌山県は生産性が25%近くアップしました。

その要因となっているのがミカン農家の新たな取り組みです。

早和果樹園ではミカンの生産に加え、加工品を製造。そのひとつが…

早和果樹園 製造部
森川知法さん

果汁100%です。

果汁100%のミカンジュースです。

1つ1つ皮をむいてから実を搾ってジュースにしています。苦味がない味が人気の商品です。

しかし、これまでむいた皮は使い道がなく、廃棄していました。

早和果樹園 製造部
森川知法さん

ミカンの皮を乾燥させる機械。
乾燥させて"陳皮"にして漢方薬などを作っている。

乾燥させたミカンの皮は陳皮と呼ばれ漢方薬の原料として売れるのです。

さらに陳皮を使った入浴剤や乳液などの化粧品も開発しています。

皮の有効活用で売り上げは12億円と4年前の1.5倍に。

こうした取り組みが県全体の生産性を押し上げました。

早和果樹園
秋竹俊伸社長

我々はもともと生産者なので作ったものを丸ごと何とかしたい。
それをずっとやっていくことが農業生産の付加価値や生産額が上がっていくのかな。

1位~3位

いよいよトップ3。

1位群馬県31.6%アップ
2位山梨県29.0%アップ
3位長野県26.7%アップ
1ヘクタールあたりの農業産出額の増減率(05年・20年比)

群馬県

1位に輝いたのは生産性が30%以上アップした群馬県です。

その大きな要因がキャベツ。県全域で生産拡大を進めていて、この15年でおよそ1.3倍に増加しました。

明和町の島田照康さん。実はもともと米農家でしたが5年前からキャベツも作り始めました。

島田照康さん

コメや麦をつくっていたが消費が減って、価格も落ち込んできたためつくるようになった。

明和町ではコメからキャベツへの転作を進める農家が増加中。

およそ5ヘクタールの農地でキャベツを作っている島田さん。収入は2倍にアップしたといいます。

そんなキャベツの主な出荷先が富士食品工業の工場。

ここで作られているのが…

富士食品工業
坂原稜平さん

カット野菜の製造を行っていて、キャベツの千切りを行っている。
10年前と比べると2倍くらいに需要が伸びている。

個食化が進み需要が拡大しているカット野菜。材料を安定的に確保するために付近のキャベツ農家と契約しています。

カット野菜用の場合、工場への出荷は箱詰めではなくコンテナで行われます。箱代などのコストが抑えられることも生産性の向上につながった一因です。

明和町役場 産業環境課
島田伸隆さん

所得が向上することで息子が地元に帰ってきて就農したという話も聞く。
キャベツに転換することである意味、土地の再生ができた。

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