去年、閉店に追い込まれた地方の百貨店があります。
何故かそこに今、多くの人が押し寄せています。
その行列のヒミツとは?
マルカン百貨店
人口約9万7,000人の岩手県花巻市。
街の中心部にあるのが「マルカン百貨店」のビルです。
1973年にできたこのビルはよく見るとところどころにひび割れがあります。
中を覗くと南京錠が掛けられ封鎖されています。
しかし、このビルの一画になにやら人だかりができています。
おいしいと聞いたので、どうしても食べたくて来た。
地方都市の古めかしいビルにできる行列のヒミツとは?
マルカンビル大食堂
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ここはマルカンビル大食堂。和食から中華、洋食まで約130のメニューが並びます。
菊池英樹事業部長は、
昔ながらのレトロな感じで3世代、おじいちゃんから子どもまで食べられる料理がそろっている。
その味を求め日曜日のこの日、できた行列はなんと3階から6階まで120人以上。
お客様のお目当ては名物メニュー、ピリ辛なあんかけそば「マルカンラーメン」とナポリタンととんかつが一皿で楽しめる「ナポリかつ」。
そして人気ナンバーワンは10段もあるソフトクリームです。
ソフトクリーム
お客様の様子を見てみると、皆一様にソフトクリームを箸でつまんで食べています。
「どうなのかな?」
おいしい。
「ソフトクリームは箸で食べるのもの?」
そうらしいです。ここでは。これを見るだけでも芸術。
この箸で食べるソフトクリーム。1日に1,000個も売れるため注文はてんてこ舞いです。
担当の藤川優樹さんはこの道10年のベテラン。
「すごい高さありますね。」
25センチぐらい。
「作るテクニックは?」
練習して、慣れですね。
閉店の危機
休日には2,000人もの人が訪れるという大食堂ですが、去年大きな危機を迎えていました。
実はこの食堂があるマルカン百貨店が去年6月、売り上げの落ち込みやビルの老朽化を理由に閉店したのです。
寂しいけど時代の流れという風に思っていた。
ただ閉店前から評判だった食堂を復活させようと市民の声が上がり今年の2月に営業を再開したのです。
運営を引き継いだのは空き物件を再活用する事業を行っている上町家守舎の子友康広社長。
元々、閉店前からにぎわいがあった場所なので復活して元通りに戻れば未来は来るだろうと思っていた。
クラウドファンディングなどで資金を調達、老朽化した電気設備や床などの工事を行い耐震工事も来年行うといいます。
さらに50人ほどいるコックやホールスタッフの半数は再雇用していて味やサービスを変えない努力をしています。
1階では名物のソフトクリームのTシャツやストラップなどを販売していて、これも運営資金につなげています。
最低10年、できれば20年続けるということでやっている。そこに行くまでは成功と思っていない。
営業再開から半年が経ちますが連日大賑わい。昭和レトロな雰囲気と懐かしい味を求め客足は絶えません。
秋田からのお客様は、
何回も来ている。復活してうれしい。
埼玉からの帰省客は、
「地元に帰るとここに来たくなる?」
そうですね。懐かしい感じで。
市民の声で復活したデパートの大食堂。地域再生の起爆剤になるかもしれません。