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[WBS]サンマ不漁で価格も高騰…新たな"秋の味覚"に熱視線[株式会社マルハニチロ北日本]

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東京・目黒で3年ぶりに開催された「さんま祭り」。サンマは近年不漁が続いていることから今回無料で提供されたのは例年の5分の1、1,000人分に限定されました。今後もサンマの漁獲量が復活するか見通しがつかない中、実はいまサンマに変わるある魚が注目を集めています。

サンマ不漁で価格も高騰
新たな秋の味覚はイワシ?

北海道の東部に位置する釧路港。

大手水産会社「マルハニチロ」の桐山翔太郎さん。

マルハニチロ北日本
桐山翔太郎さん

鮮度の悪い魚を買わないように気をつけている。

漁を終えたばかりの漁船に急いで向かいます。お目当てはこの時期が旬のマイワシです。鮮度を吟味し、新鮮なものだけを買い付けます。

マルハニチロ北日本
桐山翔太郎さん

時間が経つと魚が硬くなって鮮度が悪くなっていくので。
やわらかい方がいい。

この日は80トンものマイワシを購入。

大量に仕入れた理由とは?

マルハニチロ北日本
桐山翔太郎さん

いま釧路でサンマが少なくなっていて、代わりになる大衆魚がないかということでマルハニチロはイワシに着目した。

近年、サンマが不漁となる一方でイワシの漁獲量は年々増加。そこに目をつけたのです。

そしてマルハニチロの工場では、イワシ(鰯)は読んで字の如く傷みやすい魚のため水揚げしてからすぐに加工します。

その獲れたてのイワシを使って作っているのがイワシをこんがりと香ばしく焼き上げ、特製のたれで味付けしたイワシの蒲焼の缶詰です。

サンマの缶詰が主力でしたが十分な漁獲量が確保できず、売り上げは7割も減少。そこでサンマに代わり豊漁が続くイワシの缶詰を主力にしたい考えです。

イワシは価格が安いだけでなく、さらに優れた点があるといいます。

マルハニチロ北日本
釧路工場 工場長
平野浩美さん

健康的にもEPA・DHAの量はサンマやサバよりもイワシの方がもっと高い。
イワシは今後とも皆さんの中に溶け込んでいく。

一方、北海道の十勝では大衆魚のマイワシをブランド化する動きも。

仕掛けているのは地元で水産加工会社「池下産業」を経営する池下藤一郎社長です。

この日も契約しているまき網漁船からイワシを大量に買い付けていました。

池下産業
池下藤一郎社長

今日は2,500トンくらいです。
金額にすると1億1,000万円くらい。

そして水揚げされたイワシは港に隣接する工場ですぐさま加工。池下社長は今から5年前に厳選したイワシを使ってブランド化に乗り出しました。

それが「大トロいわし」と名付けられた特別なイワシです。

一体どんなイワシなのか?

池下産業
池下藤一郎社長

脂の乗りが全く違います。
僕はマグロの大トロよりおいしいと思っている。

サンマに代わる秋の味覚
超絶品大トロいわし

北海道・広尾町。今から5年前に厳選したイワシを使って大衆魚のブランド化に乗り出した池下社長。

大トロいわしは大きさで5段階に選別。回転すしやスーパーなどに卸しています。

池下産業
池下藤一郎社長

これはXLです。

その中には200gもある特大イワシも。

池下産業
池下藤一郎社長

希少なイワシです。
こんなに丸々太っている。

体内に脂肪を豊富に蓄えているため大きな魚体を誇ります。

池下産業
池下藤一郎社長

本当に100万匹に1匹とか、もっと少ないかもしれない。
それくらいこのサイズはいない。
脂の乗りが全く違います。
僕はマグロの大トロよりおいしいと思っている。

獲れたてのイワシを新鮮なうちにマイナス120度の液体窒素で急速に冷凍していきます。

イワシは足が速いため生のまま空輸するより、むしろこの方法がベストだといいます。

池下産業
池下藤一郎社長

もう生ですよ。生と変わらない。
ここまでしっかりと凍らせないと鮮度も維持できない。

この冷凍方法ならばイワシの体内に含まれる豊富な栄養分を逃さずにキープでき、解凍して刺し身にしても獲れたてのイワシの刺身と遜色ない味だといいます。

そんな徹底的にこだわり抜いた一品「大トロいわし」。今年は1億円以上の売り上げを見込んでいます。

東京・神楽坂。路地裏にひっそりと佇む和食割烹「神楽坂うお輝」。

訪れるお客さんのお目当ては100万匹に1匹ともいわれるあのXLサイズの大トロいわしです。

店主は…

神楽坂うお輝 店主
高柳輝人さん

この背の厚さで見る。
これだけパンパンなのはなかなかない。
すごく本当に脂が乗っていて、いいイワシです。

炭火でじっくりと焼き上げます。この脂の乗りが大トロいわしならでは。

値段は1尾900円。

かぶりつくと脂が…

お客さん

イワシはパサパサなイメージですが、これはとっても脂が乗っていてとてもおいしいです。

お客さん

魚は臭いイメージで苦手だったが、大トロいわしはすごく食べやすくておいしいです。

初挑戦から5年、当初は誰も信じなかったイワシのブランド化を成功させた池下社長は…

池下産業
池下藤一郎社長

秋の風物詩はサンマですけど、サンマに負けないような日本の秋の味覚になる魚にしていきたい。

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