[ガイアの夜明け] 「地方からの挑戦」「世にない商品」生み出す新手法!(2)

シリーズ「地方からの挑戦」(2)「世にない商品」生み出す新手法

株式会社ツカダ

岐阜県関市。名工、関の孫六の流れを汲む日本一の刃物の町です。

700年の歴史を誇る関の刃物は「折れず」「曲がらず」「よく切れる」といわれ刀から実用的な刃物まで世界的に高く評価されています。

分業制の関の刃物業界でプレス加工を受け持つ会社が株式会社ツカダ。

1970年創業、従業員は20人。包丁やハサミ、爪切りなどの原型をさまざまな厚みの金属板から高い精度で打ち抜く技術には定評があります。

4年前に家業を継いだ2代目社長の塚田浩生さん(41歳)。もどかしい思いを抱えていました。

プレス加工というものが完全に下請けの業態になっていて、どんだけ頑張っても発注元の製品が売れなければ注文の数が減っていく。やはり何か自社製品をつくりたいと何年も前から思っていた。

経営環境が年々厳しくなる中、将来を見据えて自社製品の開発に取り組み始めたのです。

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Makuake(マクアケ)

そんな塚田浩生社長のもとにクラウドファンディングサービス「Makuake」を運営する株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングの取締役、坊垣佳奈さん(33歳)がやってきました。

塚田浩生社長、ぜひ見てほしいものがあります。起死回生を狙った自慢の新製品。

一体これは?

Key-Quest(キークエスト)

自社製品の開発に取り組む岐阜県関市の株式会社ツカダ。マクアケの坊垣佳奈さんが訪ねてきました。

塚田浩生社長は早速、試作品の製造現場に案内します。

最初の状態は真っ平らな状態。ここを斜めに削るという加工をして。

形を整えていく?

これはキークエストと名付けた製品。6つの機能を持つカギ型の便利ツールです。

先端の部分はマイナスドライバーに、ナットを回すこともできます。起こしにくい缶のプルタブも簡単に、栓抜きとしても使えます。ダンボールを開ける時はカッターになり、硬い糸も切ることができるのです。

この製品、金属の細かい加工や質感、また強度を高めるために関市の刃物づくりの技が生かされた優れもの。

しかし、下請けメーカーの株式会社ツカダには販売のノウハウがありません。また量産化のための設備投資の資金も足りないのです。

そこでマクアケに頼りました。

坊垣佳奈さんは、

ああいった商品は好きな人はすごく好きだと思う。ツカダの持っている技術力を生かしたすごくいい商品であることをいかに伝えていけるか。

Makuake(マクアケ)

マクアケはクラウドファウンディングサービスの大手です。そのサイトにはインターネットを通じて不特定多数の人から資金を集めることを目的としたプロジェクトが多数掲載されています。

マクアケの特徴は集める資金が目標に達しなくても製品が受け取れることです。そのため支援者は買い物感覚で参加できます。一方、企業は新製品のテストマーケティングにも利用しています。

そこで株式会社ツカダもキークエストをマクアケでテスト販売することにしたのです。

岐阜信用金庫

株式会社ツカダを訪ねた坊垣佳奈さんが、その足で向かったのは岐阜信用金庫。

出迎えたのは営業統括部の棚橋俊介さん。

実は岐阜信用金庫は株式会社ツカダから融資を求められていました。その際、まずはマクアケのクラウドファウンディングで資金を募ることを勧めたのです。

棚橋俊介さんによると、

マクアケはかなりサポーターになる人が多いと聞いている。テスト販売をやることによって融資の判断材料にするためにマクアケを選択した。

マクアケはこうした金融機関との連携を進めています。現在、約20の信用金庫や地方銀行と協力関係にあります。

坊垣佳奈さんは、

地方には非常に可能性を持っている事業者がたくさんいると思うので、これから新しいことにチャレンジしたい可能性のある事業者と金融機関の融資の架け橋になりたい。

では、株式会社ツカダの製品がクラウドファウンディングでどのくらいの資金を調達できれば融資が可能なのでしょうか?

500~600万円くらいになってきた時に融資の提案をさせてもらえればと思っている。

有限会社コバヤシヒーティング

この日、塚田浩生社長は仲間の町工場を訪ねました。

有限会社コバヤシヒーティングは刃物の焼き入れ専門。塚田浩生社長は新製品の工程の一部をここに依頼しているのです。

焼き入れとは刃物に高熱を加えてから急速に冷やすことで硬さを増す工程。

焼き入れをするか、しないかで硬さは5倍も違うのです。これも伝統の技。

新製品には他にも金属の角を滑らかにする工程など3社が関わっています。関の刃物工場のチームプレイの賜物なのです。

有限会社コバヤシヒーティングの小林慶三専務は、

今までと同じことをしていても、この先乗り切っていけるかわからない。いい刺激になって自分もやってやろうという仲間が増えたと思う。

クラウドファウンディング

7月19日、関市内のレストランの駐車場に大勢の人が集まっていました。

今日は株式会社ツカダの新製品のクラウドファウンディングが始まる日です。刃物関連会社が集まってくれました。

最盛期には約900社あった関の刃物業者。海外との競争で今や100社余りに激減しました。今回の取り組みは反転攻勢の起爆剤として注目されているのです。

関商工会議所の直井貴史事務局長は、

関市のいろいろな技術があるので、そういったところがうまくつながって、新しいモノを生み出すことで活性化できるのではないかと期待している。

夕方6時のページ公開に向けてカウントダウン。みんな期待しています。

マクアケのサイトに公開されたキークエストのページには6通りの使い方や関ならではの製造技術が詳しく掲載されています。支援は1個2,400円から。

これで500万円以上の支援金を集めれば信用金庫の融資にもつながるのです。

塚田浩生社長の戦いの始まりです。

打ち合わせ

約2週間後の8月1日、東京・渋谷のマクアケの会議室。

坊垣佳奈さんがインターネットを使ったテレビ電話で塚田浩生社長と株式会社ツカダ担当の部下と3人で打ち合わせをしていました。

実は開始から3日間で100万円の支援金を集めたものの、その後伸び悩んでいたのです。

男性のキャンプとかアウトドア派にご支援いただいているケースが多いかなと。

岐阜信用金庫が融資の目安としているのは500万円から600万円。残りの1ヶ月半であと300万円以上集めなければいけません。

坊垣佳奈さんは、

実際に送ってもらったサンプルを使ったんですけど、結構利用するシーンが多くて。

女性にも活用シーンがあるんじゃないかなと。

打ち合わせの結果、支援が少ない女性にもっとアピールしていくことが決まりました。

まず行ったのがページの改定。女性が使うことを意識した写真を追加しました。これまで謳っていた「男の道具」という言葉もやめました。

一方、塚田浩生社長はあることを、

思ったほど、ちょっと売れていないと思って、こういった作戦で。

それはこれまで仕事で付き合いがあった取引先にダイレクトメールを送ること。その数、千数百社。そこからさらに口コミで情報が広がることも期待してのことです。

クラウドファウンディングの結果

岐阜県関市にあるプレス加工の株式会社ツカダ。

2ヶ月間、クラウドファウンディングで支援金を募ってきたカギ型の便利ツール「キークエスト」。

その最終日、信用金庫から融資を得るためには支援金を500万円以上集めることが必要でした。

果たして結果は?

なんと760万円。2,300人以上から支援が得られたのです。

塚田浩生社長は、

まさか760万円を超える数字になるとは思っていなかった。これだけ支援をいただいたということで増産体制に入らないといけないなか、今の設備では追いつかないような状態。

量産化のための設備投資にはクラウドファウンディングで集まった資金だけでは足りません。なんとしても岐阜信用金庫からの融資が必要です。

融資

翌日の夕方、雨の中、岐阜信用金庫の棚橋俊介さんがやって来ました。

予想以上に集まって、すごく良かったなと思う。今後、増産体制をとらないといけないくらい集まってきた。ぜひ融資を提案させていただきたい。

塚田浩生社長、これで新製品を大きなビジネスにつなげる足掛かりを得ることができました。

早速、量産化するために必要な金型の設計に取り掛かります。まずはマクアケで支援してくれた人に送る約3,000個の製造に入りました。

一方、マクアケでも大きな動きが。

12月26日、暮れも押し迫ったこの日、渋谷のマクアケに背広姿の一団が。

みずほ銀行法人マーケティング部の太田圭一さんは、

地方の地ビールのメーカーで地ビールをいくつも造っていて。

ビールとか日本酒は成功例が多いので、ぜひご一緒できれば。

マクアケがみずほ銀行と手を結ぶというのです。メガバンクとクラウドファウンディングサービスの本格的な連携は国内では初めてのこと。今後は様々な計画がスタートしていくことになります。

坊垣佳奈さんは、

大きな金融機関と組むことで全国的にノウハウがたまっていくところもある。それによって事業者の成功事例ができて事業者がより発展し、地方の活性化につながっていく、地方創生につながっていく。

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