[WBS] 「2,000万円報告書」本当のテーマ!認知症、資産トラブルの実態!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

6月26日、国会が閉会し参議院選挙に向けて事実上の選挙戦がスタートしました。今回の選挙で野党が追求するとみられるのが老後の資金が2,000万円必要と書かれた金融庁の報告書です。

それをこちらに並べてみました。ずらりと並べてみるとかなりの枚数がありますよね。

国会で問題となった2,000万円の記述は「30年で約2,000万円の取崩しが必要になる。」と書かれています。クローズアップされたのは本当にその一部でした。

報告書はなぜ書く必要があったかという前提部分に過ぎません。実は本丸となるのは赤い線から先の部分です。

結論あたるこちらにはこう書かれています。

75歳を超えたあたりから認知症有病率は大きく上昇するとされており、今から準備を始めることが重要。

つまり認知症になったときに金融資産をどうするのかと訴えているのです。2,000万円問題の影に隠れてしまったある現場を緊急取材しました。

株式会社マックコンサルタンツ

名古屋駅前にある高層ビル。

このビルの一室から聞こえてきたのが・・・

イチローさん!跡取りで長男ならはっきり言って。

兄貴!

お兄ちゃん!

イチロウさん!

一体僕はどうしたらいいんだ。

どうして父さんが認知症になる前に大切なことを教えてくれなかったんだ。

行われていたのは演劇の練習。

13人の劇団員はなんと税理士や行政書士たちです。

7年前に有志で劇団を結成。認知症にまつわる劇などを東京や東海地方で高齢者やその家族を対象に公演しています。

この演劇も実際に親が認知症になった家族からの相談をもとに脚本化したものです。

もしもし、MAC証券さんですか。

父が認知症になり介護施設に入ることになりまして、施設の一時金を準備するために有価証券の一部を売却できないかと。

本人の意思確認が必要なんですか?

父に話しても、もう理解できないだろうし。

イチロウさん、MAC証券さんは何て言っていたの?

やっぱり本人の意志確認ができないと僕だけでは取引できないみたいで・・・

私たちには1,000万円払うなんて無理。

通常、金融期間は詐欺や家族間トラブルが起きないように認知症と診断された人の資金は凍結します。

この演劇では資産凍結により困り果てる様子が描かれています。

税理士や行政書士のもとには、今まさにこうした相談が増えているといいます。

佐藤さん夫婦

この演劇を実際に観覧した愛知県に住む佐藤さん夫婦。

同居している83歳の母親は去年冬、認知症と診断されました。

物忘れそのものが老化なのか認知症なのかわからない状態が何年間か続いて。

例えば朝出したおやつを2回目にお昼に出しても「これは初めて食べる」「こんなにおいしいものがあるんだ」って言ってまた食べる。

診断された「要介護3」は歩行や食事、入浴に全面的な介助が必要な状態。

さらなる症状の悪化による徘徊などに備えてこんな対策をとっていました。

名前を縫い付けています。

名前を見て、見かけた人が「あそこで見たよ」と教えてくれるかもしれない。

警察も捜しやすい。市役所も捜しやすい。

去年の夏、母の様子を不安に感じていた佐藤さん夫婦は行政書士から紹介されある仕組みを利用しました。

これは母親の口座から信託口座に移したもの。契約書です。

今となってはあの時がギリギリだったという感じです。

それは家族信託という仕組みです。

現金や不動産などの財産を持つ親が元気で判断能力があるうちに子供など家族間で契約を結び、財産の管理を託す仕組み。

親が認知症などで判断能力を失った後、介護費用などに充てることができます。

もし、この契約が少しでも遅ければ母親が長年積み立てた預金を凍結させられるところだったといいます。

介護などにかかるお金は予想以上で退職金を切り崩してもとても自分たちでは賄えないといいます。

介護費用月十万円はいくと思います。

医療費を含めるともう少しいくかもしれません。

やはり凍結されて、本人のために使えるお金が眠るということはまずいと思う。

本人のために蓄えたお金を本人のために使うのが親孝行。

株式会社第一生命経済研究所

認知症患者が保有する金融資産額は年々増加。2017年は143兆円でしたが、2030年には215兆円まで膨らむとされています。

専門家はこれが日本経済に大きな影響を及ぼすと指摘します。

第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは、

日本全体の金融資産の1割を認知症の方が持つ状態になってしまう。

景気全体で見ても高齢者の方々のお金が経済に回らないので非常にマイナス。

三井住友信託銀行株式会社

この問題に企業も注目し始めました。

この日、三井住友信託銀行を訪れた八田八重子さん(71歳)。

ある相談でやってきました。

「生活で不安なポイントは?」

マンションにいつも介護の人の自転車が何台もある。

私も世話になってしまうのかと思うといつも心配です。

現在、一人暮らしの八田さん。もし何かあったとき、近くに介護を行ってくれる家族はいません。

姉が亡くなって2ヵ月。その上の兄が認知症になった。

甥っ子や義姉に迷惑をかけないようにきちんとしておきたい。

三井住友信託銀行では6月から認知症など契約者の判断力が衰える前に代理人を設定すれば家庭裁判所を通さずに信託財産を引き出せるサービスを始めました。

八田さんは甥を代理人に選び、自分の医療費や介護費に使ってもらうとしています。

三井住友信託銀行の残高の6割以上を65才以上の高齢者が保有しています。

こうしたサービスを新たな事業の柱に据えていくといいます。

三井住友信託銀行の人生100年応援部、谷口佳充部長、

信託銀行というのは財産管理が1丁目1番地みたいな業務。

財産管理型の信託ということで看板の商品にしていきたい。

話題を読んだこの報告書。

その末尾には・・・

この報告書が契機の一つとなり、各々が「自分ごと」として本テーマを精力的に議論することを期待している。

しかし、政府はこの報告書を受け取らず課題は棚上げされたままです。