コロナ禍で時価総額が一時6兆円を突破し、現在もおよそ2兆7,000億円とパナソニックと同じ規模を誇る会社が医療情報を手掛けるエムスリーです。知名度はまだそれほど高くない日本の企業ですが医師の9割が利用するなど医療界の知られざる巨人です。
そのエムスリーがある革新的な事業の舵取りを任せるのが出前館元会長の中村利江氏です。どんな狙いがあるのでしょうか。
医療現場のDX化推進!「出前館」の実績生かす
東京・神田のクリニック「神田西口クリニック」。
医師が見ているのは…
何か医療に関する情報を得たい時はこのサイトを見る。
医療情報サイト「m3.com」。先端医療の情報だけでなく薬や求人、開業情報に至るまで医療にまつわるあらゆる情報を閲覧できる医師専用のプラットフォーム。
会員数はおよそ30万人を誇ります。
そのエムスリーがこの春から本格的に進めていくのが「医療まるごとDX」。どういうものなのか。
私たちが医療行為を受けるには通常、予約、問診、受付、診察、そして決済までありますが、現状は部分ごとのオンライン化が進み、扱う業者もバラバラです。それをエムスリーは予約から決済まで一気通貫のシステム「デジスマ診療」を開発しました。
実際に見てみましょう。患者はまず専用のアプリから診察の予約をし、問診を受け、体の状態を記入。
そして医療機関に行くと待ち時間なくチェックイン。
このとき医療機関にはすでに患者の問診情報が届けられていて、診察室の医師にスピーディーに転送されます。
診察室に入ると医師は電子カルテに記載された問診情報を元に患者とやり取り。効率的な診察が進みます。
そして診察を終えたその時、会計はすでに完了しているのです。
神田西口クリニックの鈴木鑑医師。
このシステムは画期的。
病院に来る前、診察、最後の決済。ここがシームレスに継ぎ目なくつながっている。
この一気通貫の売り込み隊長となるのが中村利江氏。出前館の元会長です。
アナログだった飲食店の出前を20年かけてシステム化し、日本最大級の出前運営会社へと成長させた中村氏。
その実力を買われて4月1日からこのシステムを担当する会社「エムスリーソリューションズ」の社長に就任。
日本のDXサービスは遅れているものが多いが、このサービスは世界でも通じると思う。
ブラッシュアップして世界に通用する、日本を代表するサービスになればいい。