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[WBS][グリーン革命の未来]アメリカ 第2のテスラを独占取材[ルシード・モータース]

2021年3月30日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

シリーズ企画「グリーン革命の未来」。

世界ではEU(ヨーロッパ連合)に続き、日本やアメリカが2050年末までにカーボン・ニュートラル、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標を打ち出しました。

なかでも今回はアメリカに注目します。

現地時間の3月31日、バイデン大統領は環境インフラへの投資を軸とした成長戦略を発表します。

財政支出で3兆ドル、日本円でおよそ330兆円規模に上るとみられていて、次の3つが大きな柱となりそうです。

  • 35年までに電力のCO2排出実質ゼロ
  • 50万ヵ所に充電ステーションを設置
  • 全公用車を排ガスゼロに

こうしたバイデン大統領が進めるグリーン革命に株式市場も大きく反応しています。

青い線はアメリカの主要な株価指数であるS&P500の上昇率です。これをみてみるとほぼ横ばいです。

それに対して紫の線、これは環境関連の企業で構成されるETF(上場投資信託)ですが、去年の3月末からバイデン政権が始動した今年の1月~2月にかけて一時4.5倍以上に上昇しました。まさにグリーンバブルという状況になっています。

こうした中、あのテスラを追う注目のEVベンチャーの開発の拠点に日本のテレビ局として初めて入りました。

ルシード・モータース

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グリーン革命の最前線カリフォルニア州に拠点を置くのがEV最大手のテスラ。

去年1年で株価は8倍以上に急騰し、時価総額でトヨタのおよそ2.5倍に達しました。

その理由を専門家が指摘。

フロリダ大学のジェイ・リッター教授、

バイデン政権の環境政策は投資家に熱狂をもたらした。

バブルが起きている。環境関連株の評価が高すぎる。

なかでも投資家の熱い注目を集めるベンチャー企業が…

ルーシッド・モーターズです。

現在開発中にも関わらず、すでに第2のテスラとの呼び声が。

率いるのはピーター・ローリンソンCEO。

素晴らしい車だ。

セダンの優雅さを備えたスポーツカーで次世代の車。

ローリンソン氏は2009年から3年間、テスラでチーフエンジニアを務めました。

テスラが初めて世に出した高級EVの開発を手掛け、テスラの躍進に貢献。

2012年、テスラを離れたローリンソン氏は新たなEVの開発に着手。

それが4車種、価格で700万円台から1,700万台を揃えるルーシッド「エア」です。

ニューヨーク支局の村井勇太記者、

この車、フロントガラスから頭の上までガラスがつながっています。かなり開放感があります。

1回の充電で走行できる距離は最高830kmとテスラを上回ります。追加の充電無しで東京から広島まで走行できる計算です。

そのルーシッドは先月、今年6月までに上場すると発表しました。

すると株式価値は日本円で2兆6,000億円と試算。日産自動車の時価総額に匹敵します。

開発拠点に日本のテレビカメラが初めて入りました。

ここでルーシッド・エアの全ての試作車をつくっている。

ルーシッドはアメリカ国内で年間40万台を生産する計画。年内の開始を目指しています。

その先に見据えるのが自動運転技術の導入。テスラを視野に入れています。

まだ車を1台も販売していないルーシッドですが、投資家はなぜ高く評価しているのでしょうか?

バッテリー開発室に入ります。危険なので何も触らないで。

その答えが搭載するバッテリーパック。ローリンソン氏は自社で開発していることがルーシッドの最大の強みだと強調します。

バッテリーやモーターなどの動力源を自社でつくっているのは2社だけ。

その2社とはテスラとルーシッドだ。

ルーシッドの技術はすでに世界へ。

EVのレースの最高峰、フォーミュラEに参加する12チーム全てにバッテリーを提供。その性能は高く評価されています。

私たちが技術力で戦っていることに他のメーカーはまだ気付いていない。

グリーン革命の先頭を走るカルフォルニア。2035年までにガソリン車の新車販売を禁止します。その影響は早くも…

ニューヨーク支局の小林洋達記者、

この一帯は石油精製施設があった場所ですが今ではメガソーラー、大規模な太陽光発電所に生まれ変わっています。

2045年には州内で使われるエネルギーを全て炭素を排出しないエネルギーに切り替える方針。

今月、州内の市がアメリカで初となる条例を施行しました。市の全域でガソリンスタンドの新設を禁止。

すでにあるスタンドでも設備を増やしたり、改装できなくなったのです。

ガソリンスタンド側もこの流れに…

世の中が変われば対応するしかない。新しい仕事を探さないと。

グリーン革命の急速な勢い。

スタンドの新設禁止を提案したのがペタルマ市のフィッシャー議員です。

去年、東のナパや北のソノマでも山火事があった。

カリフォルニア州ではここ数年、過去最大規模の山火事が発生し、気候変動への意識が高まっていたのです。

ガソリンスタンドの代わりに街が各地で設置を進めているのがEV専用の充電スタンドです。EVだけの未来をすでに見据えているといいます。

アメリカでは多くのことが信じられないスピードで変わっている。

これからより急速に変わっていく。ちょうど火が燃え広がるように。

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