
まもなく始まるNATO外相会合のブリュッセルの会場には中村航記者がいます。今回の会合ではどんな事がテーマになるのでしょうか。
まもなくNATO外相会合へ!ロシア"民間人殺害"への対応は
中村航記者

こちらはNATO外相会合の会場です。いま事務総長が外相会合の前のコメントを発表しています。すでにウクライナで起きたロシアによる民間人殺害について非難のコメントを発表しているところです。
今回の外相会合では成果文書が出る見通しは今のところ無いのですが、このようにロシア軍による多数の民間人殺害について非難の声が高まることは必至です。
NATOでは先月末の首脳会議でバルト海から黒海への防衛強化を発表しました。今回の会合前の記者会見ではNATO加盟を検討する北欧2ヵ国の名前を挙げ、NATOとしての対応について言及しています。
NATO
ストルテンベルグ事務総長

スウェーデンとフィンランドとは緊密にやりとりをしてきた。
2ヵ国が加盟を申請すればNATO加盟30ヵ国は歓迎し、申請から批准までの懸念事項にも対処する方法を探すだろう。
また4月7日は林外務大臣が日本の外相として初めてNATO外相会合に出席します。
G7(主要7ヵ国)の外相会合も合わせて開かれ、制裁についてもこちらでは何らかの成果文書が出る見通しです。
EU(ヨーロッパ連合)はロシアからの石炭の禁輸の方針などすでに新たな制裁を明らかにしています。
また実はヨーロッパの中で先行して制裁を強化している国があります。それがバルト三国のひとつリトアニアです。
3日に首相がつぶやいたTwitterですが…
リトアニア
シモニテ首相

ロシアのガスは1立方センチメートルも消費しない。
これはEUとしては初めてロシア産ガスの輸入をやめるという宣言でした。
このリトアニア、旧ソ連に支配されていた歴史もありますが、あらゆる面で脱ロシアの動きを強めています。
EU初 ガスの輸入停止!「脱ロシア」目指すリトアニア
リトアニアの首都ビリニュス。ロシア大使館の前の通りはウクライナへの支援を示す装飾で埋め尽くされています。
ビリニュス市はこの通りの名前を「ウクライナ英雄通り」へと正式に変更しました。
市長のレミギュス・シマシウスさんにその狙いを聞きました。
ビリニュス市
レミギュス・シマシウス市長

これは明確なメッセージだ。ウクライナの人々は英雄であり、ロシア大使館に手紙を送るならそのことを念頭に置かなくてはいけない。
新しい通りの名前を印字したポストカードを制作したほか、自ら道路にこんなメッセージをペイント。
「プーチン ハーグがあなたを待っています」
ビリニュス市
レミギュス・シマシウス市長

プーチンの居場所は国際司法の場であるハーグだ。
彼は自ら止まることはない。一刻も早く彼を止めなければいけない。
そしてロシア軍に協力する隣国ベラルーシについても…
中村航記者

こちらの看板見えるでしょうか、キーフまで779km、ミンスクまで187km「クレムリンに支配されている」と書いてあります。
ベラルーシの運転手も通る道に痛烈なメッセージです。
メッセージは経済的な分野でも。リトアニアのシモニテ首相は3日にEUで初めてロシア産ガスの輸入を止めると宣言。
さらにテレビ東京の単独インタビューにその先の戦略も明かしました。
リトアニア
シモニテ首相

電気についてはまだ送電網がつながっているので少し厄介だ。
しかし、現在ロシアとの接続をやめるプロジェクトが進行中で、すでに非常に早いスピードで進んでいる。
リトアニアはガスだけでなく、電力でも完全な脱ロシアを目指しています。
首都ビリニュス郊外の変電所に行くと…
中村航記者

実はこちらの変電所、あちらの電線でベラルーシにもつながっているということです。ただし、2020年から売買は停止しています。
この変電所の電力網は旧ソ連時代に構築されたもの。ロシアやベラルーシにつながっていてモスクワで中央管理していました。
しかし、電力網マップを見るとバツ印が。
変電所スタッフ

すでに切断されている。前はベラルーシとのラインがたくさんあった。
さらに2014年のロシアによるクリミア侵攻の後、電力網に加え電力源についても脱ロシアを進めています。
国営送電会社リトグリッド
ヴァラナヴィチュスさん

2015年から供給源も多様化し、北欧やポーランドからも供給を受けることにした。
ロシアやベラルーシとの接続を断ち始め2025年には完全に断絶されることになる。
2025年にはロシアと完全に断絶する予定。さらに風力発電など再生エネルギーへの投資を拡大しています。
エネルギー担当副大臣がテレビ東京の取材に対し、国家安全保障の一部だと強調しました。
リトアニア エネルギー副大臣
ザナナヴィチュス氏

例えばラトビアでガスが不足した場合、私たちが供給する。
エネルギー自給率を高め協力して軍事費を増やすことが自分たちの価値観を守る戦いの準備となる。